「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ7 銀行預金
<銀行預金は安全資産?>
よく現金や銀行預金は「元本保証」の「安全資産」ということが言われているが、本当にそうだろうか?ここまで読んでこられれば、必ずしもそうで無いことにお気付きの方もいらっしゃるだろう。少なくとも「お金持ち」はそうは感じていない。
保証されているのは「元本の金額」だけであって、実は「資産価値」は保証されてはいない。インフレが起きればたちまち価値が減少してしまう。厳しいことを言えば、今の「貨幣経済」の世界で生きていく以上、何をしていてもリスクはある。ボーっと生きていては駄目なのである。
例えば銀行預金。銀行預金を現金と同じと考える方が多いようだが、実はちょっと違う。よく見てみて欲しい。今は金利がほとんどゼロなので目立たないが、銀行ごとに普通預金や定期預金の提示金利が違ったりする。それはなぜか? 預金が集りやすい銀行と集りにくい銀行があり、それが金利差となって現れているからである。
つまり預金とは個人が銀行に「お金を貸す」行為である。銀行が潰れれば貸したお金は返ってこない。だからこれからは預金者も意識を変え、「お金」の「貸し手」として「借入先」の銀行をよく見つめていなかればならない。預金保険の上限は1,000万円であるから大抵は大丈夫だと思うが、それ以上は預金といえども返ってこないかもしれないのである。
<金融の自由化を経て大変な時代に>
戦後日本では長らく銀行が潰れない時代が続いたため意識されなかったが、2000年台初頭の金融危機を通じていよいよ日本も金融機関が倒産する時代に突入した。いわゆる「金融の自由化」というやつである。一応預金保険というものがあって、一行あたり1,000万円まで個人の預金(外貨預金や当座預金など決済性預金は除く)の元本は保証されている。
そして銀行は預金保険機構に対して一定の保証料を収めているが、そのコストも実は銀行が手数料や金利という形でこっそり預金者に転嫁されている。何のことはない、我々の「お金」で元本保証されているだけなので、銀行預金は安全でもなければましてお得でもなんでもないのである。
あえて一つメリットがあるとすれば、金庫代わりに使うことで強盗など物理的に奪われるリスクが低くなる事ぐらい。もっとも近年ではネット詐欺やフィッシングなどが蔓延ってきており、銀行に預けていてもより安全とまでは言えなくなってきている。おまけに知らない間に自分の口座からお金が引き落とされても日本の銀行は保証しない。(欧米では保証するのがスタンダードの銀行・国もある)
-大変な時代になったものである。
其ノ8は<投資の基本マニュアル>。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?