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続・ ”リアルマネー” の壁 - 「もし100億円持っていたら...」?

 ”リアルマネー” の壁|損切丸 の続編

  ”2年米国債かなぁ…。でも5年超の長期債は止めた方がいい”

 元同僚に余裕資金の運用について尋ねられ直感的にこう答えた。ただこれは海外を拠点に常に「ドル」を使う人へのアドバイス。 さあどうする?「ドル建資産」 - 「金利」が上がれば通貨が買われるとは限らない|損切丸 的感覚で言えば、ほとんど日本で暮らす人にはなかなか出来ない

 12月米ISM非製造業指数 54.1 予想 52.1 前月 52.1
 *雇用 51.4 予想 51.2 前月 51.5
 *新規受注 54.2 予想 54.2 前月 53.7
 *仕入価格 64.4 予想 57.7 前月 58.2

 予想を上回る米非製造業ISMを受けて長期債を中心に米国債は急落。特に市場を驚かせたのが「仕入価格」の急上昇(58.2→64.4)。「スティープニング」(長期>短期金利の傾向)がより明確になり、30年は目処となる@5%に接近FRBの追加「利下げ」が5月以降に後ずれしたこともあるが、この長期金利上昇はそれだけでは説明が付かない

 ここでポイントになるのが ”リアルマネー” の壁「お金持ち」の買いは入ってくるのか

 「金利」@5%の威力|損切丸 で「利上げ」は@5%を超えると急激に効いてくる、という話をしたが、これを運用・投資側で考えれば「@5%は魅力的」となる。既に20年超の英国債では@5%を大きく突破 ↓ しているが、マーケットの流動性や実需の弱さを考えると「インフレ」に関しては ”炭鉱のカナリア” (危機察知の予兆)的な役割を果たしているとも言える

 ここで感覚的に大事なのが「もし100億円持っていたら...」。そんな "大金" 持った事がない人には感じ難いが、マーケットは「お金持ち」が動かしている100億円あったら30億円ぐらいは@5%で運用したいと思わないだろうか。それだけで年間利息が+1億5千万円。全額突っ込めば利息だけで+5億円だ。かつての日本でもそういう時代はあった

 では@5%は本当に「儲かる」のか?

 ”これ1個400円かぁ...”

 よく買うヨーグルトドリンクの値段がとんでもなく上がっていることに気がついた。感覚的には@200円だったのでほぼ倍。パンの値上がりも酷い。都心という事もあるが、スーパーでちょっとまとめ買いすると以前なら@7,000~8,000円だったのが@1万円を超えることが珍しくない。ここに来て急激な「インフレ」を感じる

 賃貸の家賃もそうだが、日本は総じて動きが緩慢で「値上げ」が後追いで来る30年近く慣らされてきた「デフレ脳」はそう簡単に解消するものではないが、逆に言えば上がる時は早い。 日本の「インフレ」はまだまだ続く ー 「お金」<「人」の時代へ|損切丸 はこれからが本番ではないのか

 モノの値段が年間+20~30%も上がるなら@5%の金利投資は必ずしも有利とは言えない。ましてアメリカもイギリスも「値上げ」は日本のように生易しくない。だから米英国債も売られる(金利が上昇)時は生半可でない。一定の ”リアルマネー” の壁は期待できるが@5%で上げ止まるとは限らない

 と書いてくるとJGBの金利がいかに低いか気が付く。30年は上がったとはいえまだ@2.30%台。これでは 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 「自国通貨建ての国債はいくら発行しても問題ない」と嘯く向きもあるがとんでもない誤解。それこそ20年も続いた「低金利脳」に犯されている。*国内預金(1,100兆円)を国債残高(1,200兆円)を超えた今、JGBは危険水域に入っている

 *「私は国債なんて買ってないんだから預金とは関係ない!」。こういう反論も目にしたが、これも誤解あなたの預金は銀行に預けられ、それを元に銀行はJGBを買う「バランスシート」で考える - 世界最大の「円キャリートレード」=財務省管轄の「外国為替特別会計」|損切丸 なら当たり前のこと。「異次元緩和」ではJGBをもぎ取られた銀行が500兆円もの「日銀当座預金」を預ける羽目になり、それを元に日銀は500兆円余りのJGBを買い込んでいる「預金」はしっかり「国」に使われているのである。当然財務省も日銀もその事は認識しており、だから "限界" は近い

 そんな異常な低金利の円を借りてドルに運用する「円キャリートレード」が大流行りするのは当然でもあり、いくら「円買介入」しても+0.25%なんて小幅「利上げ」では反発は一時的で、伸びたゴムが元に戻るように「円安」になる**1/24の政策決定会合で今回も「政治的理由」で「利上げ」を見送るようならかなりヤバい事態になるかもしれない

 **筆者が「日経平均@5万円」を言い始めたのは決して前向きな要因だけではない市場が「円安」に走ってしまうことへの恐れも含まれている。トルコリラは価値が5分の1になる間、株や不動産は10倍以上に「値上がり」。そこまで急激な動きはないにしても、仮にドル円が@170円、@180円に向けて走るなら色々なモノの値段がギャップアップして上がる事態は十分あり得る。そんな事を望んではいないが心の備えは必要かもしれない

 まして 「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?|損切丸 なら尚更。グリーンランドを巡るやりとりを見ていると、FRBや日銀に「利下げ」「利上げ」を強要して「ドル安円高」を誘導するなんてまどろっこしい戦略よりも「関税戦争」を仕掛けてくる可能性が高い。そうなるとマーケットは「インフレ」まっしぐら

 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 が止まらない

 もっとも金利が上がれば米株等「非金利資産」に売り圧力がかかるため、利に聡い ”Tariff Man” に抑制が働く事も期待したいが...。考える事が多すぎて頭がパンクしそうである(苦笑)

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