どんどん貧しくなる日本人。
「これで@180円か、安いなあ」
2000年頃シンガポール出張に行って、ローカルスタッフと一緒にお昼を「屋台村」のようなところで食べた。「ホッケンミー」という麺が@S$3。為替レートが@59円ぐらいだったので@180円。それでお腹一杯。
それから5年ほど経って再度出張するとガラリと様変わり。お昼の単価は@S$4以上に上がっており「日本風うどん」なら@S$5。為替レートも@80円に急騰し円価で@320~400円だ。日本はデフレの真っ只中で牛丼一杯@300円以下なんて時期だったので、*価格が逆転してしまった。
*翌年今度はシンガポールのスタッフが東京に出張で来たが、「X風堂」に連れて行け、とうるさい。「安い、安い」と喜んでいたが、シンガポールで日本のラーメンを食べると@1,500~2,000円もすると言う。
特に変化が目立ったのは「港湾」で、所狭しと船が停泊している。こうして横浜や神戸が「ハブ港」としての役割を奪われたのだろう。東京の港区のタワーマンションなど目じゃないほど高層ビルが林立し、建築中の棟もいくつもあった。街ゆく人々も笑顔が絶えず、何しろやる気に満ちている。当時の東京とは好対照だった。
「ビッグマック指数」で見ても日本は2000年の2位をピークに近年では25位程度で低迷しており ↓ どんどん貧しくなる日本人を痛感する。日本だけがこの20年間、価格がほとんど変わっていない。
どおりであれだけ海外から観光客が押し寄せるはずだ。単純に日本で色々な物が安いからである。かつて日本人がヨーロッパや香港に「お買い物」で旅行に出掛けたのと同じ現象。国内ではあれだけ「高い、高い」と騒いでいる「タワマン」でさえ、日本に旅行するような「富裕層」にとってはただの「バーゲン品」。デベロッパーも国内より海外を向いている。
日本ではいわゆる「世代間闘争」で若年層に「お金」が流れていないのが問題だ。政治・経済とも未だに60~70代の「団塊の世代」が牛耳っており、選挙の票田もそこに集中、「既得権益」を守ろうとする。若年層は「使い捨て」のような状況で、これでは「未来」が見えてこない。
だが「団塊」が引退時期を迎え、ようやく長いトンネルの先に ”光” も見えつつある。**元々数学・科学系に地力のある日本人。DX(デジタル・トランスフォーメーション)や自然エネルギーなどの分野はやはり若い世代に任せる事案であり、そろそろ世代交代が必要。残念ながらおじいちゃん、おばあちゃんには無理だろう(50代の筆者でもかなり厳しい。笑)。
**第2次世界大戦でこんなちっぽけな日本が序盤善戦したのは「暗号技術」が優れていたからだそうだ。活躍したのは「若き数学者」。暗号「紫」など、アメリカ基準ならコンピューターを使った演算が必要なものを、日本の数学者は「職人技」で編み出したという。
思えば今「コロナ危機対策」「非常事態宣言」で上手くいっていないのはこの「世代間闘争」が原因かもしれない。本来科学的アプローチが必要なはずなのに、政府が繰り出すのは「みんなで我慢しましょう」の「精神論」のみ。経済的に冷や飯を喰らっている20~30代が反発するのも無理はない。半ば ”指示” を無視する行動は「金よこせ!」的な抵抗なのかも。重症化するリスクが「高齢者」の方が高いのもなにやら示唆的だ。
今回の「危機」で多くの日本人の「政治」に対する意識が変わったのは間違いない。次の選挙は「不戦勝」にはならないだろう。日経平均が@28,000円を超えてきたのは、やっと始まったこの***「変化の芽」を評価した結果なのではないか。同時に不要・不毛な「異次元緩和」「ゼロ・マイナス金利」も役目を終えるはずだ。
***コロナの治療薬候補には日本発のものも多い。だが研究者に言わせれば「減点主義」に支配された日本では認可が遅いし研究費補助も少ない。結果海外に出て行く人材、企業が増えてしまい、逆輸入で儲かるのは外国企業、なんてことが相次いでいる。国家にとって物凄い損失。少なくとも許認可行政で官僚の責任を厳しく問う ”仕組み” ”文化” は変えるべき。そうしないと「若者」にお金が回ってこない。
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」
まさに今日本は「悲観」「懐疑」のステージ。「非常事態宣言」等でとかく世相は暗くなりがちだが、マーケットに目を向けてみるのもよかろう。そこに「真実」が隠れている可能性がある。他国から出遅れている分、案外日本の ”伸びしろ” は大きいのかもしれない。