タイミングを計る日銀・財務省。ー "値段が上がっているのではなくお金の価値が減っている”
ドル円が変な動きをしていたので 前稿.行き場を失った「お金」はどこへ? ー 米国債が売られるとろくな事がない。|損切丸 (note.com) でも触れたが、結局 "飛び道具" はなし。何事もなかったように@148円台に戻し、筆者の考え過ぎ、杞憂に終わった。
「総合CPI < コアコアCPI」の状況を見ても、今の「インフレ」は「円安」や食品・エネルギー等の原材料高による、いわゆる "コストプッシュ" でないのは明らか。立派な「真性インフレ」だ。来年以降のCPI見通しを+2%以下に設定するのは無理筋なのに、「マイナス金利廃止」や「利上げ」を先延ばしにする理由はどこにあるのだろうか。
総務省が「エネルギー補助金によるCPI引下げ効果は▼1.03%」と公言しているから、「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。|損切丸 (note.com) は解消されつつある。CPIの「低め誘導」については「損切丸」でも度々解説してきたが、やっと一般にも浸透してきた。ここまで指標と体感物価が乖離すれば政府も誤魔化しがきかない。「正常化」への一歩としては評価できる。
10年JGBの想定金利を従来の@1.1%→@1.5%に引き揚げ、日銀・財務省も「利上げ」方向にある程度腹を決めた節がある。増税に寛容で "財務省フレンドリー" な現首相に出来るだけ長く続けてもらいたいのが本音のはずで、そうなると次の総選挙、あるいは自民党総裁選で応援するには「円安」是正が必要になる。次の政策決定会合は10/30、31日。「ゼロ金利廃止」や「ドル売介入」のタイミングは選挙日程と絡んでくるだろう。
それにしても今のマーケットは節操がなさ過ぎる。
WTI(NY原油先物)を見ているとちょっと目を離した隙に±1ドル上下動したりする。ずっと値動きを追っていると倒れそうだ(苦笑)。昨日欧州時間に@147円台前半まで急落したドル円然りで、もう何でもアリ。
年末が近づくに連れウォール街では「ボーナス」が気になってくる季節だが、青息吐息の投資銀行業界は今それどころでは無い。多くのトレーダーが生き残りに必死で首筋が寒くなっている。駄目元で無茶をしてくるので、こちらとしては "巻き込み事故" に遭わないよう十分注意したい。
「利下げ」しているはずの中国でも長期金利に上昇圧力がかかり、日銀がいくら「利上げ」を先延ばしにしてもJGBの下落(金利の上昇)傾向は変わらない。トルコは昨日@25%→@30%に+5%も「利上げ」しているし、ヨーロッパも南米も金利は上がる一方だ。
教科書的には:
こういう悲鳴が良く聞こえてくるが、これは東京に限った話ではない。そもそも「高過ぎる」はおかしい。これは株価やFXにも言える事だが、実際その値段で売買いが成立しているのだから、これこそ究極の ”リアル” 。
こう考えてみてはどうか:
実際「金利が上がる」ということは、それだけ付加価値をつけないと保って貰えない、ということ。明らかに「お金」の価値は減っている。主要通貨のドル金利が上がる時は世界中でこういう事=「インフレ」が起きる。だから米国債が売られるとろくな事が起きない。一種の経験則だ。
これは株もそうだが、JGBを1,200兆円も発行して「お金」をばらまけば希薄化が起きて価値は暴落する。世界の債務額は300兆ドル≓4京円超え。ドルもユーロも人民元も同じ理屈で陳腐化していると言っていい。これで「お金」の価値が保たれていると考える方がおかしい訳で、反対側でモノの値段が上がるのは至極当然の理屈だ。
対処方は2つ:
どちらを選ぶかは国民性に負う所が大きいが、いずれにしろコストは「インフレ税」あるいは「金利」「税金」で一般庶民が負担することになる。こういう時、残念ながら大きな「お金」を動かせる富裕層の方が有利。だから「貧富の差」はますます拡大することになる。
ただ「金利」だけは全員平等に配分されるので、せめて「インフレ率」に見合う水準に調整する必要がある。それが中央銀行の役割。その点はFRBの方がフェアで日銀は不誠実。日本国民の一人としてはその点だけでも早く「正常化」して欲しいと切に思う。