「価値が減る!!」 ー 「法定通貨」から逃げ惑う「お金」の行く先は...。
「 ”お金” の価値が下がってるから株が買われているんでしょ」
最近こういうコメントをネット界隈で良く見かけるようになった。日本は「 ”お金” 教育後進国」だと思っていたが、この数年で随分変わった。特に30代以下の世代で「株式投資」で儲かった「成功体験」が増えていることが元になっているのだろう。
今持っている「現金」「預貯金」が「安全資産」だと信じていたら実は「リスク資産」だったー。これは「富裕層」にとっては「原則論」でもあり「投資」の出発点でもある。「マイナス金利政策」まで登場している作今、一般庶民もこの「現実」に真剣に向き合わなければならない時が来た。
まず出発点である「金利市場」だが、「過剰債務」を抱える日米欧の殆どの国が*物価上昇率を下回る「マイナス実質金利」になっている。これは「預金税」と同じ効果を持ち、「現預金」の価値が目減りしていく仕組み。
*(注)日本のCPIには「下方操作」の疑念があるため、単純計算では実質プラス金利の表示になるが、「生活費増大」の実態から見てマイナス。
そこでファースト・チョイスとして浮上してきたのが「株式市場」。この環境下、「コロナ危機」による株価暴落は投資家にとって絶好の買い場を提供する結果になった。3月以降の主要株式市場の反発は凄まじい。
だがそれもかなり「伸びきった状態」になってしまい、「過剰流動性」が弾切れになってきて、今度は金利が上がり始めた。局面が「第2段階」に入ったといっていいだろう。こうなると「株式市場」は「金利」が気になって仕方がない。ただ、まだ金利水準は「実質金利」がプラスに転じるほど十分に上昇しておらず、「お金」が株から債券に動くほどではない。
ただ主要株式市場の上値は今までのようにガンガン追っていける状況にはない。そこで登場するのが取引量の少ない「Bold Markets」である。逃げ惑う「お金」は比較的小さな市場を狙って、より高い利益を狙う。その代表格がアジアなら韓国の「KOSPI指数」、仮想通貨ならビットコイン(BTC)。
まず最近の「KOSPI指数」が凄い。NYダウが下がろうが日経平均が売られようがものともせず上がり続けている。通貨ウォンもかなり高くなって輸出企業の業績にはマイナスになるはずが、投資家にとっては株を買う理由にさえなってしまっている。↓
ちょっとした「バブル」と言って良いレベルだ。3月以降「KOSPI」に投資した「ドルベース」の投資家は為替価値も合わせると3倍近くになっており笑いが止まらないだろう。「ドルのバラマキ」による世界的な**「ドル安」進行が背景としてあるが、「Bold Markets」の利点は少ない金額で「大波」を起こせることだ。
**FX「ドル売」で随分儲けた人もいると思う。だが、円もユーロも「通貨価値毀損リスク」からは逃れられない。「実質マイナス金利」のうちは「目減り」を防ぐために「預貯金」「国債」よりも「割高」と分っていても日経平均やDAXという選択肢になってしまう。
そして「Bold Markets」といえばBTC。つい先日@$20,000.-に接近したと思ったら、昨日(12/9)は一時@$18,000.-割れ。「通貨」と名乗っているがその性質は不明瞭なままで、一種の「特殊株」と考えた方がいい。売買の動機付けが「相場の上げ下げ」だけの、日本語で言う「鉄火場」。最近ウォールストリート筋が取り上げているのがどうも ”きな臭い” が、誰かが ”意図” を持って仕掛けているのは間違いない。
今のところ「金利」の上昇速度がゆっくりなので、多少おっかなびっくりながらも株も「Bold Markets」も価格上昇をエンジョイできている。だがここからは徐々に「チキンレース」の様相を呈してくるだろう。誰が先に「ブレーキ」を踏むのか。
”熊” (Goldilocks)だと思っていたら、突然 "黒い白鳥" (Black Swan)が舞い降りるかもしれない。その時本当の意味で「お金」は逃げ惑うことになる。「投資」で利益を得るには「忍耐」も必要だが、時に「逃げ足」の速さも必要だ。 ”備え” が出来ているかどうか、その差が命運を分けるだろう。
「儲かっている時こそ要注意」がトレードの鉄則。「気持ちいい!」と羽を伸ばしていたら突然 ”土砂降り” -それがマーケットである。