英国総選挙? 香港、「逃亡犯条例改正案」を正式撤回、アルゼンチン部分的債務不履行... - 揺れ動く世界情勢とマーケット。

 8月31日付の投稿「ボンド回顧録 其の2」で書いたばかりだが、さすがイギリス人、予測通りに早速「総選挙」の話が持ち上がってきた。イギリスの総選挙では本当にろくな目にあっていない。損をした記憶のみである。

 筆者はポンドを買い込むタイミングを計ろうとは思っているが、相当な相場変動を覚悟しなければならないだろう。何しろシナリオが①EUとの合意なき離脱、②EUと合意の上離脱、③離脱期限の延期、と相場のベクトルがばらばらな上、各々確率の予測は困難だ。総選挙でさえ実現するか不透明だし、「世論調査」がいかに当てにならないか、先のBREXITが証明している。

*ポンド高 ← ② > ③ > ① → ポンド安

 為替で言えば、対ドルならポンドは@1.1000~1.5000ぐらいまであるだろうし、対円なら@110~150円ぐらい大幅に見込んでおいた方が良さそうだ。とにかくポンドは中途半端では駄目。そのくらい Crazy なのである。

 香港からも大きなニュースが飛び込んできた。あのおとなしそうに見えた香港の人達もなかなかなものである。一時的とは言え、「逃亡犯条例改正案」を正式撤回させた力は凄い。ちょっと見直した。その影響で香港のハンセン株式指数は4%近く急伸。

 派生的には、これは中国の譲歩を示す動きでもあり、米中貿易戦争にも妥協の動きがあるのではないか、とマーケットに想起させ、アジアから欧州にかけて世界的に株式市場が反発している。為替で言えば、1人民元=7.18まで元安に進んでいたのが@7.15まで反転、連れるように韓国ウォンも1ドル=@1.210台から@1.204近辺まで戻している。やはりウォンは人民元との連動性がかなり高まっているとみていい。(中国向け貿易が一番多いのだから当たり前といえば当たり前)

*日韓のニュースは、ちょっと食傷気味になって来ており、マーケットも一旦休戦の様子見になっている。「年金2,000万円問題」の時と一緒で、連日ワイドショーやゴシップ誌で騒がれるようになると、騒ぎは一度終了。ネットでも急速にヒット率が下がっていることだろう。「タマネギ男」の話などもううんざりである。残る焦点は、文在寅政権の継続か否か、の1点のみ。

 南米では債務の返済期日繰り延べがきっかけで、アルゼンチンが「部分的債務不履行(デフォルト)」と見なされ、格付け会社が相次いでC級に格下げしている(しかし、相変わらず無責任でいい加減な格付けだ)。ただマーケットに対する影響は限定的。何しろデフォルト常習犯である。

 経済弱小国の通貨危機に強いと言われてきたビットコイン(BTC)、買われるかと思いきや、どうも今回は様子が違う。ドル建なら@1万ドルを挟んで行ったり来たりだ。やはり0.7%の参加者に80%のシェアを握られているという異常性 ↓ に皆気付いてきており、かなり学習効果が働いている。(99.3%の参加者が0.7%の逆を取って儲け始めると面白くなる。そうなれば取引の厚みも増してくるだろう)

 デフォルトの話がでたが、人間も病気で亡くなるときは徐々に衰えていくように、企業でも国でもある日突然ばったり倒れる、というよりも、徐々に弱っていく事の方が多い。倒産を回避しようとして必死にあがくわけである。実際リーマンショックの時も、筆者の担当していたマネーマーケットで「不穏な噂」が出てから実際の破綻までは1年近くかかっている。山一証券の時も同様だ。

 (ゴシップ的報道には一度うんざりするかもしれないが)容態は刻々と変化していく。例えば昨年まで低金利を理由に発行が活発だった「サムライ債」。ほとんどの場合、市場流動性の豊かなドル円のベーシスワップを使ってドルに変換して使われる。買い手の中心はもちろん日本の機関投資家であるが、最近の国際情勢の変化から今後借換や新規の起債が難しくなる国や企業が出てくるだろう。それでも返済期日は続々とやってくるのである。

 本当にね、資金繰りって嫌な仕事ですよ、特にお金が借りられない時は。だから引き続き市場動向に注意を怠ってはいけない。状況が本当に深刻なら、時期が来れば必ず市場に兆候が出てくるはず。見逃さないように。

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