見出し画像

FRBは ”肉”(=株価)を斬らせて "骨"(=インフレ) を断てるのか?

 FOMC@11/2を直前に控え、米国債が金利低下方向に突っ込んでいる。これまでマーケットは+0.50~+0.75%もの「大幅利上げ」に脅え、米国債を売り込んできたが、今回はどうも様子が違う

 絶対金利 @5%に接近「最終局面」と見る向きは多い。 ”複利効果” ↓ も考慮すれば@5%は「金利」が急激に効き始めるポイント住宅ローンも@7%を突破し、20年で元金の約4倍も払う負担は半端ではない > e.g., @3%なら元金の約2倍長い目で見ると「金利」は怖ろしい

 「損切丸」では何度か説いているが、アメリカは「マーケット資本主義」、もっと具体的には「株本位制」だ。+29兆ドル(@2022.9)もある株式時価総額が経済の根幹をなし、「株こければ全てこける」

 「利上げ」は ”肉” =「株」を斬る行為に他ならない。大事な大統領中間選挙を控え本来やりたくないが、"骨" が脆くなり=「インフレ」で "苦い薬" =「利上げ」を飲まざるを得なくなった。

 だが "強い薬" には副作用が付き物 ”肉” も削げ大分具合が悪くなってきて、 ”ウォール街” などの取巻きが「気持ちが悪くて我慢できない」と騒ぎ出している。それが直近の「金利急低下」とNYダウの急反発だ。

 だが 世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸|note なのは明らか。 ”中毒患者” に "甘い薬" =「利上げ停止」を処方すれば、 "骨"  はまた脆くなってしまうその状態で "肉" を増やしても症状はかえって悪化してしまう。

 さて "ドクター” =FRBはどのような「診断」を下すか"患者" 達の文句に耐え切れず "苦い薬" をやめてしまうのか、それとも ”肉” を斬らせて "骨" を断つか。今後10年のアメリカの行方を左右する重大な判断になる。

 「インフレは一時的」と頑固に主張して早期治療の機会を逃し、 ”ヤブ医者” とのレッテルを貼られた汚名をすすげるか。11/1 NY時間に米10年国債は@3.93%→@4.06%まで急速に売り戻されており、相場の "揺らぎ" を感じる。正直あまり楽観できない

 これはECB率いるヨーロッパも同じ。いや、むしろ病状はアメリカより重い。既に政策金利が@1.5%に達しているのにドイツの10年国債は@2%そこそこ。こちらはエネルギー価格の上昇が急過ぎて "苦い薬" の副作用による痛みでもう死にそうな状況だ。 "骨" などと言っている余裕はないのかもしれない。全ては極度に「天然ガス」に依存したエネルギー政策の失敗に起因しているのだが、ラガルド総裁にとっては「究極の選択」になるだろう。

 日本は欧米の心配をしている場合ではない。こちらは主治医の黒田先生(苦笑)が強烈な ”バズーカ薬” で患者を動けなくしたため、痛いとか苦しいとかの感覚が麻痺してしまっている。長い間寝た切りで起き上がるのも困難な状況だ。やっと体温が平熱に戻って起き上がろうと思ったら「無制限」に鎮静剤を打たれてベッドへ逆戻り。一体いつになったら普通の生活に戻れるのか。幸い若年層がリハビリ開始を訴え始めてはいる

 米中2大国が問題を抱えて経済の足腰が弱る中、分け合えるパイは減る一方。おまけに3京円もの「大借金」でばらまいた「お金」はその価値が薄まりつつあり、今後は強烈なサバイバルが繰り広げられる。今思えば「脱炭素」がその号砲だったが、その結果「戦争」まで引き起こした。

 世界的な金利上昇は「お金」の価値が急激に減っていることを示しており、それを嫌った日本やトルコでは強烈な「通貨安」に見舞われている3京円もの「大借金」がすぐに解消することは困難なため、「生き残り」をかけて各国、各企業、各個人は "選択" を迫られる「現金」「預金」が駄目なら「株」か「外貨」か「不動産」か、はたまた原油などの「商品」か

 おそらくファーストチョイスは必要な物の購入になる。個人なら衣・食・住に必要な家屋・消費財の前倒し購入企業なら自社ビルや設備投資「金利」上昇に備えて(固定金利で)「借金」するのも手だ。

 これが「国」になると状況が変る「徴税権」を持つ彼らはツケを国民に回してくる。あとは現在の様に「超マイナス実質金利」を放置して「インフレ税」を試みる。いわゆる ”借金帳消し” の「徳政令」だ。あまりに巨額の「大借金」なので、この両方を発動しなければいけない

  だから今後個人・企業にとっては「国」が最大の敵になる。日本は一種の実験場のようになっているが、まずは「選挙権」を活用したい。また、日本は既にモノも人も足りないのだから、「円」を国外に出す=外貨投資も1つの手段だし、国外に職を求めるのも回り回って国内の「賃上げ」に繋がる"闘い方" はあるのであとは "覚悟" の問題。「お金」があって「インフレ」が穏やかなうちにチャレンジしたいアメリカ欧州のようになる前に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?