技術者全員が持つべきリーダーシップ
技術士試験では、コンピテンシーに基づいて合否が決定されます。
よってコンピテンシーの理解が重要です。
しかし技術士コンピテンシーの1つであるリーダーシップは、一般的にイメージする言葉の意味と異なるため、注意が必要です。
技術士試験における「リーダーシップ」の定義
技術士リーダーシップは、組織の中で1人だけが持つものではありません。
「リーダーシップ」と聞くと、「リーダー」が持つものであると考えないでしょうか?
リーダーは部長やチームリーダーなど、役職と結びついていることが多く、チームで1人だけのことが基本ですよね。
しかし技術士におけるリーダーシップは、技術者全員が持つべきものです。
ここで、技術士におけるリーダーシップの定義を確認してみましょう。
業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
普段使用するリーダーシップとは異なる意味だと感じたのではないでしょうか。
技術士リーダーシップの特徴
技術士リーダーシップの特徴は、利害が異なる多様な関係者の存在を想定している点にあります。
技術士は、所属する組織だけでなく、作業者、調達、製造、取引先、エンドユーザー、地域住民、行政など多様な関係者の利害を理解し、問題を技術的に解決することが求められます。
自身の組織ではなく、社会全体の利益最大化が目的なんですね。
なぜ技術士リーダーシップは多様な関係者を考える必要があるのか。
技術の影響は自組織のみならず、多岐にわたります。
使用する技術は効率性、経済性、安全性、環境、持続可能性など、様々な観点から評価する必要があります。
技術は、社会の様々な側面に影響を与えるのです。
よって技術者は自組織だけの利益を考えるわけにはいきません。
技術士リーダーシップは、組織のリーダーだけが持つべきものではないわけです。
技術者であれば、全員が持っておくべき考え方なんですね。