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研究ディスカッションにおける技術士的「問いかけ」

私は化学メーカーで技術者として働く技術士です。

技術者として仕事をする上で欠かせないこととして、研究ディスカッションがあります。

研究ディスカッションとは何か


ディスカッションとは、「研究の成果を発表後、その成果について他者と議論する行為」です。

大学の研究室、学会会場などのアカデミックな場や、企業の研究開発、製造部で、研究を深めるためや業務を進めるために行われます。

技術系の職場で働く私自身、チームメンバーから受ける進捗報告、週次のミーティング、研究計画案の磨き上げなど、ディスカッションをする機会は多いです。

良いディスカッションは、プロジェクトを推進してくれるし、スポーツを楽しんだ後のような充実感があるんですよね。
なので、ディスカッションを種々の業務の中でも重視しています。

良いディスカッションをするスキルの一つとして、「問いかけ」があります。
今回は、ディスカッション中の「問いかけ」に関して、技術士的な観点で考えます。

ディスカッションにおける問いかけのルール

研究ディスカッションは、研究の主体者と、問いかけをする質問者から作り出されます。

質問者として重要なのは守らないといけないルールがあります。
それは、攻撃的な指摘をしないことです。

ディスカッションの目的は、研究テーマを推進することです。
決して、失敗や進捗の遅れを指摘するために行うわけではありません。

研究内容を理解するために質問をすることもありますし、課題突破のためのアイディアを出したり、論理的に弱い部分を指摘したりすることもあります。
しかし、人格攻撃をしてはいけません。
戦うべきは、技術的問題だということを前提にしましょう。

技術士的な問いかけ


問いかけの指針として、技術士試験の問題が参考になります。
技術士試験では、エンジニアが身に着けておくべき考え方を問います。

この試験問題を参考にすることで、ディスカッションでも良い問いかけをすることができます。

技術士試験においては、問われることはパターン化されていて、2種類に大別されます。
1つ目は問題解決アプローチ、2つ目は業務推進アプローチです。

問題解決アプローチでは、以下のことが問われます。

  • 技術的問題

  • 課題

  • 最も重要な課題

  • 解決策

  • 解決策を実行したときの波及効果

  • 解決策を実行したときのリスク

  • リスクに対する対策

この考え方を研究ディスカッションにあてはめると、以下のような質問になります。

  • このテーマの問題はどこですか?

  • どのようにして問題が起きたと考えていますか?

  • 今後問題が起きるとすると、どの工程ですか?

  • このテーマの課題は何ですか?

  • 解決策として何を考えていますか?

  • 今回実施した解決策は、他の研究にも活かすことができますか?

  • 解決策を実行した際のリスクはありますか?また、その対策はありますか?

企業や大学の研究室、学会でも使える問いかけです。

業務推進アプローチでは、以下のことが問われます。

  • 調査・検討事項

  • 業務を進めるうえでの工夫点・留意点

  • 関係者との調整方策

これを踏まえてディスカッションに応用すると、以下のような問いかけになります。

  • 研究を進めるために、今後の検討事項は何ですか?

  • この実験の工夫点や留意点は何ですか?

  • 今後、関係者との調整は必要になりますか?その場合、どのようにアプローチしますか?

業務推進アプローチは、学生よりは企業の技術者向けの問いかけです。
関係者との調整など、技術と離れた質問もありますが、研究開発を前進するという点では重要です。


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