【小説】同じ雪は降らない #シロクマ文芸部 「雪化粧」
雪化粧を施したみたいに、繊細で真っ白な粉糖が、パンケーキの表面を覆っている。
パンケーキの隣には彫刻のようなホイップクリーム、彩りを添えるベリー。
芸術作品のようなバランスで盛られたそれらをきちんと視界に収めることもなく、うろんな目つきのまま、園子はパンケーキにダバダバとメープルシロップを回しかけた。
「どうも、職場の女じゃないみたいなの。アプリかもしれない。いま探偵に調べてもらってるんだけどさ、なかなか時間がかかりそう。お金もすごいことになってるわ。ま、それはあの人に