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Visionを実現化する鉢③‐さらなる高みへ

マイノリティ実践の再評価


 そんなある日(6月15日))、阪大で行われた博士論文公聴会に行くこととなった。それは意味深い日だった。
 同じ研究室で学んできたTさんが発表。非常に完成度が高い博論へのT先生のコメント「この論文の評価の一つはこれまでの長年の同和教育などの実践を再評価し、かつそれを今の社会課題である子どもの貧困の解決などに汎用したこと。そのことを丁寧に学術的にまとめたことにある」。

 そのコメントを聴きながら自分自身が実践(高槻富田タウンスペースWAKWAKの実践)と研究(社会的包摂のコミュニティ研究)の往還(アクションリサーチ)を通して成し遂げしようとすることと重なった。同時に次の生き方の方向性がみえ、この間見えなくなりかけていた「心が躍る感覚」が奥底から湧き上がってきた。

この数年、自らを動かしてきたビジョン

 この数年、自分自身を動かすビジョンは、「マイノリティ発の実践を実践分野、学術分野ともに全国のフロントランナーに押し上げること」

 本当に多くの方々のおかげさまで、高槻富田地区タウンスペースWAKWAKの実践はNHK全国放送などにも3度放映され、内閣府の政府広報にも放映された。また、むすびえさんのお力もお借りし子ども家庭庁などへも実践報告をさせていただく機会を得てきた。まだまだではあるけれど、実践分野は一定ビジョンの実現につながってきた。ただ学術分野は「修士論文」の完成というまだ道に入ったところだった。


実践研究者としての道

 2019年、人生の巡り合わせのなかで故池田寛先生の流れを汲む志水宏吉先生、髙田一宏先生のもとで学び研究を深めるべく大阪大学大学院へ入学した。当時、自分がまさか阪大に行けるとも、修士論文を終えられるともまったく思っていなかった。はるか高い山をふもとから見つめていた。ただ、4年を経ておかげさまでそこに現実に立つこととなった。

 修士論文の執筆中は業務でこれまでの富田エリアを対象にした支援から市域全域に挑戦したこともあり、あまりに怒涛すぎ修士で十分だと思っていた。
 ただ、できあがった修士論文を冊子化し全国の地域や大学の研究者などさまざまな方々へお礼とともにお送りしたあと、その道の第一人者の方々からのあたたかいフィードバックを頂く中で苦労して書いた意味(自身が願っていた富田の実践を通して、他地域の課題解決の一助となること)に少しでもつながったことを感じられたこと。そして、「人の育ちに関わる必要性を痛感させられる出来事」も重なり、再び学び続けたいとの思いに変わってきた。


次に目指す山の頂上

 さらなる高い山が目の前に見えてきた。それは4年前に見た山よりもはるかに高い山。
 ただ、その山に登るモチベーションはたしかにある。困難を伴ったとしても心が躍る道、自分自身はいつもそんな道を選んできた。

被差別部落というマイノリティ地域が長い年月をかけ教育やまちづくりを通して培ってきた実践には日本全国の支援のフロントランナーとなり得るだけの価値が十二分にある」それを確信してきた。ただ、一方でこれまでの実践は同和対策事業という部落内完結型で外との接点が十分ではなかった。だからこそ、実践としてこれまでを再評価しかつ今の社会課題に汎用する事。これは今WAKWAKで行っている富田、市域の実践そのもの。その実践と並行してアクションリサーチとして学術的にまとめ学術分野においてもフロントランナーに押し上げること。

自身の次のビジョンはそこにある。

 ビジョンの更新とビジョンを実現化するための鉢を大きく組み替える時にきた。今年の旅でその方向性を決める。

 あとは、By Vision(与えられるビジョン)にまかせて。
 
今年の旅の問いの一つは昨年得たビジョン「全体に豊かさをもたらす者」、それを地に実現化する方法はどんな道でしょうか?
  旅で示されるものに身をまかせて


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