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アバター2体験記/ジェームズキャメロンの世界観

どうも!こにゃにゃちわ!
さて今回は、ジェームズ・キャメロン監督の、SF超大作アバター2について語りたいと思います。

【LIVE ZOUND×HFR(ハイ・フレーム・レート)】2D字幕で観賞。

あらすじ

前作から十年以上が経過し、地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイク・サリーはパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリと結ばれる。現在は息子のネテヤムとロアク、娘のトゥク、グレース・オーガスティンの家で生まれた養女のキリ、そして人間であり、今は亡きマイルズ・クオリッチの息子のスパイダーと平和に暮らしていた。一方人類はパンドラでブリッジヘッドシティという名前の新しい主要な作戦基地を建設する。人類の中には、生前の記憶をアップロードされ、ナヴィの体を手に入れ復活を遂げたクオリッチの姿があった。

後に再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる“海の部族”のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。

前作から13年待った続編

アバター2はSF大河ドラマですね。
全体的な感想としては、三時間という長さを感じさせない展開で、最後まで楽しめる作品でした。

■映像体験
IMAXに比べて色彩が暗く解像度も低かったが、パンドラの作り込みと海水の表現力は、アップデートされていた。キャラクターメカニクスのCG造形とアニメーションは、現実との違いが分からないレベルまでに進化している。このクオリティであと三作も観れると思ったらありがたい気持ちになった。

■音響体験
音響はLIBE ZOUND の効果が高く、360度の方向からリアルなサウンドが体を包み込み、アバターの世界への没入体験を高めてくれる。若干、激しいので心臓に注意が必要だ。

■ストーリー体験
前作から家族が増えており、前作で描いたジェイクの内省的なストーリーではなく、家族愛がテーマになっている。その中で父親に成長したジェイクと、母親に成長したネイティリを中心にストーリーが展開する。子供たちとの絆、スカイピープル達との抗争、海の民としての生き方など、ストーリーが多重構造になっており楽しめる内容だった。人類の科学文明とアバターの自然文明との対立構図は、地球史の植民地時代を描いており、人類側の自己中心さがさらに醜くなっていて笑えた。

■キャラクター設定
・次回作への伏線として、スパイダーの描き方が意味ありげで、アバター側かスカイピープル側に味方するのか曖昧で面白かった。
・キリも人間とアバターのハイブリットとして異常者扱いされるが、エイワとのシンクロ能力を持っており、次回作でもキーマンになるキャラクターだ。
・次男のロアクは、トゥルクンのバヤカンと心の交流を通じて争いの原因を知る。次回作では、トゥルクンを率いる次世代のリーダーとしての活躍が予想される。長男の死が彼を救世主に導くはずだ。
・マイルズは前作でネイティリによって殺されたが、アバターのゲノム編集で再び蘇り、残虐性がさらにパワーアップしている。マイルズのキャラを観ていたら、プラトーンの鬼軍曹バーンズを思い出した。戦争でしか自分の価値を表現できない、愚かな軍人としてどういう生き様を見せるのか次回に期待したい。

■映画作品
作品総評としては、キャメロンの映像美への執念が結集された作品といえるでしょう。間違いなくターミーネーターから続く、最先端VFXと撮影技術の最高到達地点です。衝撃度は昔ほどではないにせよ、現実にない仮想世界を現実にあるかの如く創造してしまった。アリータ: バトル・エンジェルでも、キャラクターモーションキャプチャ技術の高さに感動したが、それをさらに越えたレベルまでに進化しており、違和感なく世界に没入できた。また、演出面ではキャメロン映画の総決算で、アビス、タイタニック、エイリアン2、ランボー怒りの脱出、ハートブルーなど、かつての名作シーンを思い起こされた。これまでにない娯楽SF超大作に仕上がっている。金と時間と優秀なスタッフがいないと、こんなスペクタクルSFアクション超大作は作れない。そう意味でもキャメロンは史上最強の映画監督であり、アバターシリーズは既に大成功したといえるでしょう。

ジェームス・キャメロンの世界観

SF映画の名匠、スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、キューブリックなどの偉人らが創造した映画と比較しても、ジェームス・キャメロンの創造する世界観は、ワクワクとドキドキ、映像とドラマ、総合的に高いレベルで融合されている。

ジョージ・ルーカス監督の、スター・ウォーズ6部作が20世紀のSF金字塔だとしたら、ジェームス・キャメロンのアバター5部作は21世紀のSF金字塔になると私は予感しています。特に人類文明が科学技術の発展で栄華を誇った20世紀後遺症として、地球の環境破壊、エネルギー問題など、人類文明は持続可能性の危機に見舞われている。そのような時代の中で人類文明は、科学技術を持続可能な方向に利用できるのかが問われている。現代の地球では、人類同士の戦争がリアルに続いている。未だに終りが見えないウクライナ戦争では、ロシアのプーチン独裁政権による、民間人の虐殺、核兵器の脅し、軍事拡大、戦争犯罪など、人類のエゴが剥き出しになり、第三次世界大戦への不安が今も消えないでいる。

経済システムから人間性を解放できるのか

ジェームス・キャメロンがアバターという映画の中で描いている、人類のエゴはまさにこれとシンクロしている。2009年公開の時よりも、2022年公開の本作は現実の世界へのアンチテーゼとして、私に強く訴えてきた。また一方では、ジェームス・キャメロンが描くアバターの世界観は、科学技術と資本主義という「経済システムから人間性を解放できるのか」という問いを我々、現代人に訴えかけてくる。

アバターはルネサンスだ

ルネサンスとは、イタリアで起きた人間性重視の芸術活動です。本来、ルネサンスはイタリアでおこった文化活動ですが、イタリア以外の地域・地方にも広がりを見せました。ルネサンスという言葉は「再生」「復活」を意味するフランス語です。ギリシアやローマなどの古典文化を手本として、人間性を尊重しようという文化的運動でした。かつては、「文芸復興」と訳されることも多かったのですが、現在はあまり用いられませんが、キャメロンはアバターという映画を通して、このルネサンス、人間性の「再生」と「復活」を表現している。

新時代の世界観

私はよく、25世紀の歴史の教科書で21世紀がどう書かれるかということを想像します。今の歴史の教科書では、12~13世記は宗教システムが主で人間が従の関係にあった暗黒時代だとされ、それが15世紀のルネサンスで解放されたと位置づけられています。それに対比させると、20世紀は経済システムに支配されて人間性がないがしろにされた時代と言えるでしょう。そこから人間を解放し、第二のルネサンスが到来したと、後の教科書に書かれるかどうかは、21世紀の100年間に文化・科学技術をどう発展させるかにかかっています。

最近、よく耳にする、SDGs、サスティナビリティ、web3なども、これまでの中央集権型の社会システムから、自然と調和した分散型の社会システムへの転換を意味しており、これまでの世界観から新時代の世界観へ変容していくと期待されています。

ジェームス・キャメロンが描くアバターの世界観は、人類が自ら生み出した経済システムから人間性を取り戻す、新時代のSF超大作大河ドラマだと私は思います。



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