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【インドネシア】10月は「インドネシア語月間」。詩を通してその街の言葉を知る

Selamat malam!
インドネシアからこんばんわ^^
2023年春、家族でインドネシアに赴任しました。
初めての海外生活も2年目です。


インドネシアでは、10月は「Bulan Bahasa(インドネシア語月間)」だそうです。「青年の誓い」と言うものが1928年の10月28日に行われて、そこで「Satu Nusa(一つの国家), Satu Bangsa(一つの民族), Satu Bahasa(一つの言語/共通言語)」が掲げられたからだそうです。元々は各地に独自の言語を持つインドネシアが【インドネシア語】という共通の言語のもとで団結するという意思を持った誓いだったのだと思います。

そういえば、私が母語は「Bahasa Jepang(日本語)」だと言った時、「日本語の中にも色々あるんじゃないの?例えば、ジャワ語とかバリ語みたいに。」と聞かれたことがあり、ふと考えさせられました。「……日本各地にも方言はあるけれど、やっぱり日本語は日本語だよな。日本語は1つしかないよな。」というのが私の中の結論でした。が、それでよかったのでしょうか?


詩の朗読コンテストに応募してみた

「インドネシア語月間」に際して、外国人インドネシア語学習者を対象にした詩の朗読コンテストが開催されており、インドネシア語を声に出す練習になるのではないかと、応募してみることにしました。

3つの課題詩の中で私が選んだ詩は『Hujan Bulan Juni / by Sapardi Djoko Damono』です。この詩は、歌になっていたり、インスパイヤーされて映画が作られていたりする結構有名な詩らしいです。
朗読するにあたって、意味がわからないと感情も込められないなと思ったので、私なりの翻訳をつけてみました。

Hujan Bulan Juni /6月の雨

tak ada yang lebih tabah /こんなに頑なでつよいものはない
dari hujan bulan Juni/6月の雨よ
dirahasiakannya rintik rindunya/彼への寂しさが雨粒のように降り注ぎ
kepada pohon berbunga itu/秘めていく先に 花が咲く

tak ada yang lebih bijak/こんなに賢いものはない
dari hujan bulan Juni/6月の雨よ
dihapusnya jejak-jejak kakinya/彼の歩んできた一歩一歩が
yang ragu-ragu di jalan itu/この道に さもなかったように消されていく

tak ada yang lebih arif/こんなに物分かりのいいものはない
dari hujan bulan Juni/6月の雨よ
dibiarkannya yang tak terucapkan/何も言わないでおいて
diserap akar pohon bunga itu/その思いは 花の根っこに届いていく

Sapardi Djoko Damono/サパルディ・ジョコ・ダモノ

言葉はその街の生活とともにある

この詩を読んで一番最初にハテナ?と思ったのは、インドネシアって6月に雨は降らないよね?!というところでした。日本だと6月はまさに梅雨!雨の時期ですが、インドネシアの6月は乾季で全く雨が降らないんです。

不思議に思った私は、インドネシアの人に「6月に雨は降るの?」と聞いてみました。答えはやはり「降らない」とのこと。この詩の中の「6月の雨」はあくまで比喩であって、雨は心の中に降り注ぐものなんだと説明してくれました。

なるほど。この比喩って日本ではきっと使われることのない比喩で、インドネシアの気候と生活があるからこそ伝わるものがあるんだなと気づきました。言葉の持つ意味って、感じられる印象って、その街と切り離せないものなんだなと思いました。

今年の「Bulan Bahasa(インドネシア語月間)」は、街と言葉のつながりに気がつくことのできた時間になりました。

2024年3月。さとゆみゼミ4期の仲間と共に始めたnote1000日チャレンジ
51投稿目。今日も最後まで読んでくださってありがとうございました!