
「塔」2022年6月号掲載作品(山下泉選・前鍵外6首)
6月号では、山下泉さんの選による6首が掲載されました。前鍵外で、選歌後記でも1首引いていただき、目次にも名前がありました。
熟練の先達ひしめく作品2でも通用するのか不安だったので、嬉しい限りです。
そして一番嬉しかったのは、現代口語短歌のみの作者としてはトップに載っていたこと。
文語の歌にはいずれ挑戦したいのですが、やはり現代口語短歌を究めていきたいと思っているので、今回の結果にはとても勇気づけられました。
戦争が始まった夜コンビニで買ったプリンの耐えられぬ味
雪の朝きみを見送る玄関にひんやり残る「いってらっしゃい」
指を開くようにふうわり舞う鳶の風切羽に平和を恃む
手のひらに夕陽を受ける去ってゆくものでもいいから光が欲しい
夕焼けの終わりは見ない色褪せた今日のひかりをこくりと飲み込む
時計とは違うふたつの心臓が刻む時間はやわらかな時間
選歌後記で取り上げていただいたのは6首目「時計とは〜」でしたが、この歌は同じく塔会員の蒼音さんによるTwitter一首評シリーズ「#蒼薔薇短歌」でも紹介いただきました。
また、4首目「手のひらに〜」も複数の方にTwitterで引いていただきました。僕は自然が歌を作るきっかけになることが多く、我ながら自分らしい歌だなと思います。
また、「四月号 若葉集(栗木京子選)評」では竹内亮さんに1首紹介いただきました。
きみの手とまだ温かいバゲットをやさしく握って歩く陽だまり
この歌も何人かの方にTwitterで紹介された歌で、やはり多くの人の目に止まる歌には何かしら僕らしさが滲み出ているものなのかもしれません。
2022.8.13. 丘 光生