「世界」のつくり方【掌編】
「ブドウ」って知ってますか?
ブドウって、果物のことちゃうんか?
そう、果物の。
そりゃあわかるけど、それがどうしたん?
じゃあ、「海ブドウ」は?
わかるで、沖縄系の居酒屋によくあるやつ。めちゃ好きやもん。
そうですそうです。
なんなんや、話を逸らすつもりか?
いやいや、これは可能性の話というか、「言うなれば」ってスタンスで聞いて欲しいんですが、、
回りくどいなぁ、時間ないねんから早よ。
もし、「海ブドウ」が先に見つかってたらって思うことってないでしょうか?
ん、そんなん考えたこともないなぁ。
要するに、「ブドウ」が陸で見つかって、そのいくらか後に「海でブドウに似たもの」が見つかったから、それが「海ブドウ」なわけでしょう。
んーーせやな、そういうことになる。
じゃあ、「海ブドウ」が先に見つかる世界線があれば?「今の海ブドウ」が「ブドウ」になって、「今のブドウ」は「陸ブドウ」になるわけです。可能性の話として。そういうことって、結構ありませんか?つまり、宇宙の偶然と人間の恣意によって世界が規定されるということ。
ブドウ一つで随分熱心に哲学するんやなぁ、お前は。確かにそうかもしれんけど、まぁ、「言うなれば」のハナシやろ。
そう、そこなんです!世界は「言うなれば」の次元でできている。つまり、言葉の次元で!
飛躍に寛容になれば、そうかもしれんな。で、何が言いたいん?
つまり、私はIpodを「万引き」をしたのではなく、「一旦借りた」のです。「言葉」を通して正確に現実を考えれば、僕の行為は断じて万引きでは
はいはい万引き犯。刑法235条窃盗罪ね、はよ書類書いて。
酸っぱい!旬手前のブドウのように酸っぱい!
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