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女将が考える一流店とは?ホスピタリティの極意①

こんにちは。女将です🙇‍♀️
「思いやりのおすそ分けで笑顔が伝播していく社会をつくる」をビジョンに活動をしております。

さて今回は、私が日頃接客をする上で、気をつけていることをまとめてみました。私は常に「こう接客にした方がいい、なぜなら◯◯という理由で気持ちがいいコミュニケーションになるから」と考えていて、「なぜなら」の部分を大事にしています。

ちなみにこの内容は接客業の方にとって「当たり前なこと」ばかりです。しかし人間ですから「気が緩んでいるとできないこと」って結構あるんですよね。私自身もたくさんあります。私は定期的に自分の考えをまとめて、自分の振り返りの機会にしたり、従業員に共有して全員の底上げができるようにしています。せっかくまとめたので、公表してみようかと考えました。読者の方の気づきにもなれば幸いです。私も日々勉強中ですので、フィードバック嬉しいです😊


●女将が考える「一流店」とは?

一流店とは、「あらゆる面で気遣いやホスピタリティが行き届いており、お客様が心から満たされるサービスができる店」だと定義しました。大将と議論して出した答えです。
「あらゆる面」とは、接客/食材/調理/店構え/掃除など…店を構成する一つ一つの要素のこと。「ホスピタリティが行き届く」とは、それぞれの要素に真剣に細やかに向き合うこと。
大将いわく、「調理において一流の技術はたかが知れていて、誰でも技術にたどり着くことはできる。一流店とそれ以外の違いは、食材の細かな変化に気付けるかどうか。食材に真剣に向き合わないとできないこと。一流店は食材だけでなく、全てにおいて細かに気づくことができている。」と言っておりました。私も同意です。「さまざまなことに気づくこと」は一朝一夕ではできません。日々修行です。


●クレームは決してないがしろにしてはいけない

どんな些細なクレームやネガティブコメントも必ず自分事として受け止めましょう。ネガティブなフィードバックを受けると怒りや悲しみが湧いてしまうのは当然のことです。そうなる自分を責めないでくださいね。決してあなた自身の人格が否定されたわけではありません。私は前職で、シェアオフィスのコミュニティマネジメントの仕事をしており、新サービスで新しい挑戦だったため、毎日のようにクレームがくる職場でした(笑) 次第にお客様のご不満に共感するようになり、「クレームは改善のチャンス」と捉えるようになっていきました。もちろん中には理不尽なお客様もいらっしゃいます。しかし店側の落ち度が0%ということはありえません。サービスを提供している以上、「お客様を不快な思いにさせてしまった事実」に関しては、店側に落ち度が存在すると私は考えています。クレームを受けた時は、「客の考えが悪い」「変な客だった」と考えるのではなく、何がお客様を不快にさせたポイントだったのかしっかり分析しましょう。そして対策を打てば同じクレームは繰り返しません。また、クレーマーほどファンになりやすいというセオリーがあります。一般的には頭を悩ませるクレームですが、私は「こんな時こそ改善のチャンス」と捉えて、しっかりと向き合うようにしています。(時間をかけても改善を諦めないのは私の長所かもしれません。)ましてやお客様の悪口を口外なんてしたら、自分の品格を落としてしまうことになるので、絶対に辞めましょうね!人に話したらどこで漏れてしまうか分からないので厳禁です!改善してる姿、けっこうお客様は見てくださっていますよ。


●ありがとうございます。に+ αをつけよう

「ありがとうございます」は接客業としては息をするように使うフレーズですが、それ、雑な「ありがとう」になっていないでしょうか?私は「なぜありがとうを伝えているのか」をできる限り表現すると気持ちいいコミュニケーションになると思っています。
よくある例としては、雨の日にご来店していただいたお客様に対して「お足元悪い中ご来店いただきまして、ありがとうございます」と表現しますよね。私は以前、マッサージ店のスタッフの方に「このとても暑いなか、ご来店いただきまして誠にありがとうございます。」と迎えいれていただいたことがあり、「そうなの!すっごい暑い中、歩いてきたの!疲れてるの!」と、気持ちをわかっていただいたようで嬉しかったことを覚えています。暑い日の移動って雨の日と同じくらい大変ですよね。どんな人でも、家を出てお店に向かう行為って何かしらの苦労が発生しているんです。お客様がどんな状況でご来店されたのかを想像して「ありがとう」を伝えることができると、ひとつ上のホスピタリティにつながるのではないでしょうか。ちなみにそのスタッフの方は他にも細やかな気遣いが行き届いていて毎回晴れ晴れとした気持ちになるので、リピートに繋がっています。


●お客様が謝ってきたときは、逆に感謝に繋げよう

予約時間に間に合わず遅刻をしてしまったお客様が「遅くなってしまいすみません」と申し訳なさそうに謝られるケースは頻繁にあります。そういう時は明るくこんな感じに答えましょう。「いえいえ、この時間帯は道が混んでいて大変でしたよね。このような道が混んでる日にわざわざご来店いただきましてありがとうございます😊全然お気になさらないでくださいね〜」といった具合です。「道が混んでいる」などお客様がコントロールできない要素を持ち出すとGoodです。そして、(実際は困っていたとしても)全然気にしてないかのように明るく振る舞うのがポイントです。お客様がバツが悪い状態では食事体験も良いものにはなりません。謝罪を受けた時は逆に謝っていただいたことを感謝につなげて、お客様の気持ちが軽くなるように。少しオーバーなくらいの言葉がけをして気持ちよくお食事を楽しんでいただきましょう。


●他店の悪口は絶対に言ってはいけません&賛同してはいけません

お客様との会話の中で他店の評判の話が出てくる事は多々あります。その時に、本心ではネガティブなイメージをもっていたとしても、決してネガティブな反応をしてはいけません。例えば、お客様の方から「あの店はイマイチだった」といったようなコメントがあったとします。もしそれに賛同してしまうと一緒に悪口を言ったことになってしまいます。他のお客様が聞いて気分を害されるかもしれませんし、「あの店がこの店の悪口を言っていた」など変な噂が立ってしまうこともあり得ます。接客に限らず、悪口は褒められた物ではありませんよね。お勧めのスルーの仕方は「はぁ〜そうなんですね〜(笑顔)」と反応だけして、「はい〜!」と裏に呼ばれたふりをしてその場をすぐに離れます。とにかく関わらないのが正解です。
*なお、客側のマナーとして、飲食店の店主に向かって他店の話をするのは、それが良い内容でも悪い内容でもマナー違反と言われています。そのお店に入ったからには、そのお店の料理と時間に集中することが楽しい食事への一歩と心得ましょう!


●お客様のお見送りは、お客様が見えなくなるまで

これは比較的スタンダードな接客ではありますよね。そんなことしなくていいよって思う方もいると思います。ちょっと面倒な慣習にも思えますが、なぜお見送りが大事なのか考えてみました。私の体感では3割のお客様がお見送り後に振り返ってこちらの様子を確認されます。お客様の立場に立って考えてみましょう。店から離れて店の方を振り返ったときに店主がいなくなっていた時、少し寂しい気持ちになりますよね。せっかくお食事で満足されたのに、最後にお客様に悲しい思いをさせてしまうのはもったいないんです。コミュニケーションは最初と最後が肝心。どうしても次の回転があって急いでいる時は「すみません。今日はこの後もお客様がお待ちでして、こちらにて失礼いたします。本日は誠にありがとうございました」など一言添えてお見送りをすると、最後までお見送りができない事情が伝わって良いですね。私は最初こんな風に言い訳めいたことを言うのは余計かなぁ?と悩んでいたのですが、食べログ全国1位のお店に伺った時、最後に大将が気持ちよく「すごく楽しい時間でしたが、実はこの後もあるんです。今日はほんとにご来店いただきましてありがとうございました!」と締めの言葉で区切られていて、実質は店を追い出されてるんだけど気持ちよく感じました。このような事情がない限りは、最後まで油断せずお見送りをする心構えでいましょう。


●落ちたものをお客様に絶対に拾わせてはいけません

これは高級飲食店では必ず徹底していることですが、その理由を考えました。例えば、お客様が箸を落としてしまったとします。お客様は焦って箸を拾い、またテーブルの上に置いたとしたらどうでしょうか?…シンプルに衛生的に良くないんです!これは人によって感覚に差異があるのですが、テーブルの上は神聖で清潔な場所です。テーブルの上にバッグを置いたりするのもマナー違反ですよね。つまり、お客様が下に落ちたものをテーブルの上に戻す行為は絶対に阻止しましょう。それを見た他のお客様が不快になられるかもしれません。また、物を拾う格好はあまり格好いいものではなく、お客様に恥ずかしい格好をさせてしまうことにもなります。お客様が何か落ちた物を拾おうとした時はすぐにこちらから「そのままで結構です。すぐに新しいものをお持ちしますのでそのままでお待ち下さい」とお声掛けをして拾わせないようにしましょう。拾えそうな時はすぐに拾いましょう。ポイントは、お客様が行動する前に声をかけることです。何か異変が起こった時にすぐさまアクションできるようアンテナを貼っておくのが一流の接客だと思います。最後に…箸などを落としたお客様は少しバツが悪い状態になっていることが多いです。にっこりと笑顔で「こちらをご利用ください😊」と新しい箸を渡してお客様を安心させてあげましょう、お客様が気持ちよく最後まで食事体験ができるように。

まとめ


以上、女将が考えるホスピタリティの極意①でした。パッと思いついたものを言語化したので、言葉足らずな部分もあるかと思います。このシリーズは定期的に続けたいと思ってます。感想・ご意見大歓迎です🌈

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