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⑦ばんじゅうをオーダーする
なにかを突き詰めていくとき、誰もが通る道を進んでいるときもあれば完全オリジナルの出来事を自分で起こすこともあると思います。私はことの初めから、どこか知らない街角でお盆を手にして「オカメサブレはいらんかね」としている自分のイメージを強く持っていました。そのイメージに突き動かされてここまできています。実際にそれをするためにいいかんじの「お盆」をとにかく探していました。インターネットやメルカリや、とにかくたくさん探しました。品物としていいと思ったのはアンティークな木のお盆で、スタイルとしていいと思ったのはひと昔前の駅弁売りが首から紐付きのばんじゅうをぶら下げてるものでしたが、食べ物を乗せるのであまり古びたものでないほうが良いと思いました。探しまくったすえ既存のものでは無理だと分かったのでオカメサブレを並べるためのばんじゅうをオーダーすることにしました。わたしは長野県の松本が好きでよく小旅行に出かけていました。そのときたまたま知り合いになった方がご夫婦でデザインから制作まで行う家具ユニット「QUIET SPACE TOOL & FURNITURE」をされていました。東京のカフェや店舗の什器なども手掛けていてとても忙しそうなので無理かもしれないと思いつつホームページのお問い合わせから依頼のメールを送りました。その時お伝えした予算は今思うと信じられないくらい失礼な額だったと思います。にもかかわらず、ありがたいことにデザインと製作をご快諾いただきました。大きさを見ていただく意味と、もちろん味も知ってほしかったのでオカメサブレ10枚入りの箱を巣山夫妻へお送りしました。プロから届くデザイン画と仕様書にはじめて触れてショックなくらい感激したことを覚えています。オカメサブレが箱に入れたときと同じような傾斜で横に3羽、それを5列、全部で15羽がぴたりと並ぶばんじゅうができあがりました。しかも仕切りは取り外し可能で必要があれば違うかたちのものを乗せることもできます。首から下げるための紐はコットン素材のしっかりしたものでアジャスターがついているので長さも調節できます。さらにばんじゅうの正面にはキビズベイクショップのロゴマークがレーザー彫刻で刻印されていました。練習で彫ったというロゴ入りの小さな木切れもいただきました。こちらはいまでも看板代わりにしています。事業の途中でばんじゅうをオーダーすることはそうないことかも知れませんが、わたしにとっては「欲しいものがなければプロにつくってもらう」というなかなか核心をついた出来事でした。