①2020年4月開業
2020年のはじめ、私はふと趣味でたまに焼いていた「オカメサブレ」を売ってみたい、と思いました。日本の法律ではお菓子を作って販売するには「食品衛生管理者」と「菓子製造業の許可」のふたつは必ず必要です。前者は申し込みして1日講座を受け試験に受かれば取得できます。費用も1万円くらいです。ほとんどの方が最初にぶちあたり販売を諦めることになる壁が後者の「菓子製造業の許可」だと思います。各自治体の保健所から許可を得る必要があります。ちょっとやってみたい、という段階で何十万もかけてキッチンを改装できる人は少ないと思います。どうしたものかと悩んだとき、カフェや飲食店を経営しているなど関わりのありそうなことをしているあらゆる友人にこんな感じで困ってるんだけどどう思う?と聞いてみました。全員が自分の知っている知識を惜しげもなく教えてくれました。このあと何度も体験するのですがこれは自営業者の生き残るための優しさや寛大さを初めて感じたできごとです。カフェ経営の友人が「いまはレンタルキッチンていうのもあるから調べてみたら?」と教えてくれました。そのおかげで通いやすい板橋区に菓子製造の営業許可付きレンタルキッチンを見つけることができました。キッチンのオーナーは株式会社夢見創の山本蓮理さんで当時はネット販売で低糖質の焼き菓子を専門に販売されていましたが、いまではレシピ本も出版されていて東京や地元山口でいくつかのレンタルキッチンを運営されています。新型コロナウィルスで人に会うことはなくなったころのことです。蓮理さんのキッチンにおじゃまして「作りたいのはオカメサブレです。これしか作りません」というようなことを口にしたとき自分の世界だけに存在してたものが空気にふれて「そこにある」という感じになったのをよく覚えています。ごく普通に「いいですね」って感じの反応だったことはありがたかったです。これ以降、やりたいことが決まってるんだからそれを言ってやるだけだ!と勢いづいて行ったと思います。2020年4月に個人事業主として開業届を出しました。屋号は「KIBI'S BAKE SHOP」、業種は「菓子製造及び小売」。開業届を出すのは税務署で特に費用はかかりませんでした。
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