⑦お墓がほしい
ひと月くらいまえからお墓が欲しいと思うようになり、海の見える墓地を見学に行きました。雨のなか東京から3時間かけて車で出かけました。早く死にたい訳ではないのですが家はずいぶんまえに買ったし次はお墓かなとふと思いついてそれが消えずどうもそうらしいなと思うようになったからです。車で到着すると社員さんが出迎えてくれてゴルフカートに乗せて広い墓地を案内してくれます。トクトクに乗ってアンコール・ワットに行ったときみたいだ、と思いました。食事するときトクトクドライバーを待たせておくのがどうしてもできずいつも一緒に店に入って喋りながら食べた。いま、雨は止んでいて遠く相模湾の青さが空の青に溶ける。伊豆急行の走る音と鳥たちの鳴き声が響く。もう私ここでいいやと思った。生前契約、永代供養、一代供養、知らない単語が続々とインストールされていき新しい学問を学ぶときのような喜びがあった。「ご見学はもっと年配の方が多いので二見さんみたいに若い人初めて来ました」と言われました。「思い通りに行かないことの方が多いから、決められることは決めておいて、仕事に打ち込みたいんです」と答えていました。へー私そんなこと思ってたんだ、と思いました。取り除ける不安は取り除きたいと思ってるようだった。そんなことできないのかも知れないけど今日、わたしは楽しかった。