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⑳オカメサブレのホッペ

 ぜんぜん続きませんでしたが「オカメサブレのホッペ」というタイトルのポッドキャストを初めたりもしました。気になる人にインタビューがしてみたかったのでゲストを呼んで30分番組のときもありました。わたしはお菓子やさんだけど全然違う仕事の人にほど「自分と似ている」と思うことが多いからです。オカメサブレの販売をはじめたばかりのころ、1羽1羽にホッペをつけながら「わたしはこれを仕事にしようとしてるんだな」とかんがえて心のなかで大笑いしてしまいました。同時に大真面目でしたので、ホッペのことを本当に大事に思っています。焼き上がったホッペなしオカメサブレを冷ましてからホッペをつけます。焼き上がった熱々のサブレはすばやく冷ました方が良いと経験で感じています。ホッペが乾くとき凹んでしまうことがあるので穴埋めするようにしてぷっくりホッペに直してゆきます。それを90℃のオーブンで10分焼いて乾かしています。乾き足りないときはさらに焼きます。クッキー全般にいえますがこれ以上の焼色はつけたくないが水分を飛ばしたいというとき100℃以下をよく使用しています。「芸術は生活の過剰である」と芥川龍之介さんが書いてるのを読んだことがあります。さらに「人間を人間たらしめるものは常に生活の過剰である」と続きます。オカメサブレは芸術ではありませんが生活の過剰かもしれないと思います。なくても困らないもの、その全てがなくなった世界はほんとうにさみしいところだと思うからです。オカメサブレにホッペをつけているのもそういうことからです。ない方が早くできるし簡単ですが、なくても困らないものは必要ないものではないのです。ぷっくり赤いホッペをぜったいにつけたいです。ごくごくたまにオーブンから出したオカメサブレにホッペをつけ忘れている子を見つけます。そんなときは「ごめーん!」と思わず叫んでしまいます。

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