㊿ゴーイング・オカメサブレ
ここまでお読みいただいて本当にありがとうございます。特別編がありますが、あとがきは書きませんのでこれが最終話です。ゴーイング・コンサーンといって会社というのはずっと続いていくのが大前提という考え方があるそうです。であるからこそ資金も調達できるし赤字の年度があってもいいということなのでしょうか。株式会社キビズがはたしてそうなのかどうか分かりません。わたしのために作った仕事ですから、これを誰かに引き継いでも意味があるといまのところ思えず、それよりはその人にとってのオカメサブレを見つけるほうが良いと思っています。それに、すべてのものには終りがあるという方がもっともっと根源的大前提ではないかと思います。正直にいえばこれまでなにかがうまくいったことがひとつもないのに今回だけうまくいくなんてやっぱり思えないときもあります。がんばることはうまくいくことの十分条件ではないからです。それ以前の問題もたくさんあります。ただこれだけ夢中でがんばったのもはじめてだったので堰を切ったように書いていた「オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするまで日記」は「これだけがんばったんだからもうやめていいよ」と自分に言ってあげたいための記録なのかも知れないと思うようになってきました。へんな客観性がわりとあるのと実際はこの仕事をいますぐ辞めるわけには行きませんのであと1年はやるのではないかと思っています。数年前のわたしがお菓子屋になるとは思っていなかったのと同じように、今のわたしがほんの少しも思いつかないことが待っていて欲しいです。そしてその前に、今年も夏休みを取ろうと思っています。