ポール・サイモンの HEARTS AND BONES ㊼「The Late Great Johnny Ace」後篇(第197話)
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2019年9月19日
スナックふかよみ
では、いよいよ3番に行こうか。
ここまで引っ張りに引っ張ったポールが、ようやく本題であるジョン・レノンについて、その重い口を開く…
ゴクリ…
あらあら。そんなに硬くならなくても(笑)
もう一度ジョニー・エースのメロウな歌でも聴いて、リラックスした方がいいんじゃない?
ふぅ…
やっぱりジョニー・エースの声っていいですね…
力がフッと抜けるというか…
あのユルさはクセになるわ。
それでは、改めて『The Late, Great Johnny Ace』の3番を聴くとしよう。
2番が終わる3分10秒あたりから、ポールの視線は泳ぎ出し、どこか落ち着かない様子になる。
まるで宙の中に、亡きジョン・レノンの影を追っているかのように…
出だしはこんな歌詞です。
On a cold December evening
I was walking through the Christmas tide
とある12月の寒い晩
僕はクリスマス気分の街の中を歩いていた
なんだかこの歌を思い出すわ…
SIONの『12月』…
ふたりに疲れてはひとりに戻り
まただれか恋しくてまた繰り返す
いきなりこんなフレーズから始めちゃうんだから、SIONという人はすごい。
天才的なソングライティング、真のストーリーテラーだ。
そこまで言うほど凄い歌詞かしら?
カップルが別れたり、くっついたりを繰り返す、と言ってるだけでしょ?
そんな単純な話じゃないんだよね。
どういうこと?
「ふたり」は元々「ひとり」なんだ…
は?
長い間「ふたり」に分かれていたけど、それはとても疲れることだった…
そして、しばらくの間だけ「ひとり」に戻るんだけど、愛のためにまた「ふたり」になる…
だから、あちこちから思い出したように「ジョンの声」が聴こえてきたんだよ…
わけわかめ。何言ってるのか全然わかんない。
それじゃあ単刀直入に言おう。
そもそも「12月」というのは「嘘」だ。
これは春の歌。
嘘? 春の歌? まさかそんなはず…
クリスマスの時期に…
屋根の上に猫がいるかな?
あっ…
うふふ。SIONの話はそれくらいにしておきましょ…
今はポール・サイモンとジョンの話。
そうでした。
「12月」の寒い晩、クリスマス・ムードの街を歩いていたポール・サイモンは、見知らぬ人物に声を掛けられる…
When a stranger came up and asked me
If I'd heard John Lennon had died
その人はポールにこう言いました。
「聞いたか?ジョン・レノンが死んでしまった」
そして、こう続く。
And the two of us went to this bar
And we stayed to close the place
そうして僕たち二人は
このバーへやって来たんだ
そして僕たちは過ごした
この場所が閉まるまで
ん? なんか変ですよね…
どこが?
たまたま道で声を掛けてきた見知らぬ人物と一緒にバーに行き、閉店まで二人で過ごした?
ポール・サイモンほどの大スターが、そんなことします?
あ、確かにそうだわ…
しかもジョン・レノンは、同じように見知らぬ男に声を掛けられ、言葉を交わした後に撃たれた…
そんな夜に、これはあり得ない…
そう。あり得ないよね。
「this bar」というのも妙です…
いきなり「このバー」と言われても「どのバー」なのかわかりません…
「このバー」で通じるほど有名なバーなのかしら?
銀座の「ルパン」とか「ガスライト」みたいに…
その通り。とても有名な「bar」だ。
誰でも知ってる。
知らない人なんていないだろう…
え? どこ?
ここだよ。
は? シナトラの『ワン・フォー・マイ・ベイビー』のバー?
というか、このバーはスタジオ内のセット…
本物じゃなくて、嘘のバーでしょ?
そうだよ。これは「嘘のバー」だ。
そしてポール・サイモンが、見知らぬ男と一緒に入った「このバー」も、嘘のバー…
は?
ポール・サイモンは「このバー」について、一言も「飲み屋」だとは言っていない。
え?
もう忘れたのかい?
天才作詞家 Johnny Mercer(ジョニー・マーサー)が仕掛けた『One For My Baby (and One More For The Road)』のトリックを…
あっ… Road は Lord…
そして「close」する「bar」とは?
cross する bar…
十字架…
そう。
だけどこの歌一番のトリックは、歌詞の冒頭にある。
この『One For My Baby』という歌の凄いところは、冒頭で「もうすぐ3時だ」としか言っていないのに、聴く者が勝手に「午前3時」だと決めつけてしまうところにあった。
本当は「昼なのに夜みたいに暗かった日の午後3時」なのにね。
その後の歌詞も全てイエス・キリストの十字架刑の説明なんだけど、聴く者の頭の中が「午前3時」モードになっているから、全て「閉店間際のバーでの話」に聞こえてしまうというカラクリ…
本当に凄い歌だよね。歌詞を書いたジョニー・マーサーは、本当に凄いソングライターだと思う。
しかも「Johnny Ace」と「Johnny Mercer」って似てますね…
そう。よく似ている。
そしてポール・サイモンは、明らかにジョニー・マーサーの『One For My Baby』を意識して3番の歌詞を書いている。
だからこんな言い回しをしたんだよ。
And the two of us went to this bar
And we stayed to close the place
つまり「このバー」に向かった「僕たち二人」とは…
「この場所」で「クロスされたまま」になった「僕たち二人」とは…
イエスと共に十字架に掛けられた二人の罪人…
ディスマスとゲスタスだね…
『磔刑図』
アンドレア・マンテーニャ
なんてこった…
そして3番はこう締めくくられる。
And every song we played was for
The Late, Great Johnny Ace, yeah, yeah, yeah
僕たちがジュークボックスで流した曲はどれも…
ダメだよ、脳内補正してストーリーを勝手に作っちゃ。
正確に訳してごらん。
はい…
僕たちがプレイした曲はどれも…
そう。
今は亡き、偉大なジョニー・エースに捧げたもの…
違うよね。
え?
every song we played was for The Late, Great Johnny Ace, yeah, yeah, yeah
僕たちが奏でた歌はどれも「The Late」と「Great Johnny Ace」と「Yeah」に捧げたものだった…
でしょ?
あっ…
どういうこと?
「Yeah」は「神」のことでしょ?だけど「The Late」って何?
キリストのことですよ…
え?
洗礼者ヨハネは、キリストの「Forerunner」、つまり「前駆」と呼ばれます…
後から来る救世主、つまり「The Late」であるイエス・キリストの道を整えることが役割だったから…
あ、そっか。なるほど…
歌のタイトルでありサビのフレーズでもある「The Late, Great Johnny Ace」は、1番と3番で意味が異なる。
これがこの歌のトリックであり、アルバムのオチにもなっている。
アルバムのオチ?
ポール・サイモンは、アルバム最後の曲の、最後の最後にこう言った。
今夜「このバー」でプレイした歌はどれも「The Late」と「Great Johnny Ace」と「Yeah」のための歌でした
これは、このアルバム『HEARTS AND BONES』の、すべての曲のことを指している。
ここまで全10曲を解説してきたけれど、どんな内容だった?
あっ…
すべて「The Late」と「Great Johnny Ace」と「Yeah」についての歌…
だよね。
もしかして、これって…
ジョン・レノンのジョークと同じじゃない?
ジョン・レノンのジョーク?
ビートルズの最後のアルバム『LET IT BE』で、最後の曲『GET BACK』が終わった後に、ジョンはジョークを言ったでしょ?
"I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, I hope we passed the audition.…"
「バンドを代表して皆様にお礼申し上げます。このオーディションに受かるといいな」
あっ…
アルバム『LET IT BE』のオチは「全ての曲は、オーディションの演奏だった」というもの。
それをポール・サイモンは「全ての曲は、あの夜にバーで演奏されたものだった」に置き換えた。
そして…
『ライフ・オブ・パイ』のオチとも同じですね…
その通り。
パイの物語とは「聴く者が神を信じるようになる話」だった…
劇中でパイは二通りの話をする…
虎と人間の共存という、どう考えてもあり得ないけど、なぜか聴く者を惹きつける「動物との漂流話」と…
人が人の肉を喰い血を飲むという、思わず目をそらし耳を塞ぎたくなるような「人間だけの漂流話」の2つを…
そして最後にパイは、聞き手にどちらがいいか選ばせ、聞き手は「YES、動物と共にある話」と答える…
これは「イエス(キリスト)、神と共にある話」という意味になっていた…
パイの言う「虎」とは「神」のことで、パイの物語とは自分を「キリスト」に置き換えた聖書のストーリーそのものだったわけだ…
つまり観客や読者は…
最初から「神の話」を聞かされていたというオチ…
まさにポール・サイモンがこのアルバム『HEARTS AND BONES』でやったことと同じだよね。
このアルバムは、やはり当初の予定通り『THINK TOO MUCH』というタイトルにすべきだったと思う。
そうしたらアルバムのコンセプト「考え過ぎ」がもっと理解され、全然違った結果になっていただろう…
「Maybe You think too much…」
まあ、そうかもしれませんけどね(笑)
何がオカシイの?
だって今「君は考え過ぎかも」って言ったでしょ?
誰が?
え?
空耳じゃ、空耳。
いちいちそんなこと気にせんでもいい。
ですね(笑)
しかし本当にポール・サイモンがジョニー・エースのブロマイド写真を取り寄せたのは「作り話」なのでしょうか…
ウィキペディア英語版には、こんなことが書かれています…
ポール・サイモンはライブで語った。人生で最初に買ったレコードは、ジョニー・エースの『PLEDGING MY LOVE』だったと。
それならブロマイドも本当かも…
これもおそらく嘘だね。
嘘?
ポール・サイモンは、2000年から2001年にかけて行われたコンサート・ツアーで、『The Late Great Johnny Ace』を歌う前に、ジョニー・エースの『PLEDGING MY LOVE』を歌っていた。
え? あの曲をポールも歌っていたの?
そう。メドレーみたいな感じで、間に「語り」を入れてね…
その「語り」の中でポールは「この曲は僕が最初に買ったレコードなんだ」と紹介するんだけど、それがどうもアヤシイんだよ…
アヤシイとは?
まあ、聴けばわかる。
ん?大晦日?
間奏でポールはこう語っている。
「この曲を書いたのはジョニー・エース。彼は1954年のニューイヤー・イブにロシアンルーレットごっこをしていて亡くなった」
これって…
正しくは、こうだよね。
「この曲を歌ったのはジョニー・エース。彼は1954年のクリスマスにロシアンルーレットごっこをしていて亡くなった」
人生で初めて買ったレコードの思い出を、こんなふうに間違うかな?
しかも、アドリブでも何でもない、曲紹介のMCの中で…
「歌った」と「書いた」は言い間違えるかもしれないけど…
「クリスマス」と「ニューイヤー・イブ」は…
絶対に言い間違えない…
だよね。
明らかにポール・サイモンは「意図的」に嘘をついている。
意図的?
ジョンの「この曲」を想起させるためだよ。
また『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』?
8曲目の『Rene and Georgette Magritte with their Dog after the War』の時もそうだったじゃん。
そうだよ。
すべてはラストソング『The Late Great Johnny Ace』のためだった。
確かに「メリー・クリスマス、アンド、ア・ハッピーニューイヤー」と歌われますが…
しかしなぜこの曲なのですか?
簡単なことだよ。
ジョニー・エースの『PLEDGING MY LOVE』と、ジョン・レノンの『HAPPY XMAS(War is Over)』が、よく似ているからだ。
は?
男女のデュエット版だとよくわかる。
ダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイの歌う『PLEDGING MY LOVE』を聴いてみて欲しい。
あっ… 確かに…
ダイアナ&マーヴィンのこの曲、今まで何回も聴いたけど、ぜんぜん気がつかなかった…
「Maybe You think too much…」
そんなことないって。よく似てるじゃん。
ラッコとカワウソくらい似てる。
何言ってるんですか?
だって今「あなたは考え過ぎ」って言ったでしょ?
言ってませんけど、誰もそんなこと。
え? そうだった?
・・・・・
ポール・サイモンは、これが言いたかったんだよね。
ジョニー・エースの『PLEDGING MY LOVE』があったから、ジョン・レノンの『HAPPY XMAS(War is Over)』があったんだと…
ジョニー・エースが「Forrunner」で、ジョン・レノンが「The Late」だと…
いったい、どういうことでしょう?
なぜポールはそんなことを?
では説明しよう。
ジョン・レノンはビートルズ時代に『COME TOGETHER(カム・トゥギャザー)』という曲を書いた。
ビートルズの「最後」のアルバム『ABBEY ROAD(アビイ・ロード)』に収録されている曲だ。
さすがにこれは知っています。青盤にも入っている名曲ですね。
しかしこれに、チャック・ベリーの曲の版権を持つ人物が噛みついた。
ベリーの1956年のヒット曲『You Can't Catch Me』の盗作だとね…
確かに、似てるといえば似てるけど、これはほとんど言い掛かりでしょ…
そう。単純な構造のロック音楽でこんなこと言い始めたらキリがない。
多くの人が聴いて「カッコいい」と思えるコード進行のパターンなんて、数限りがあるからね。
そもそもチャック・ベリーの『You Can't Catch Me』だって、昔から歌われていた曲に少し手を加えたようなものだ。
ちなみに、チャック・ベリーの最初のヒット曲は何だったか覚えてる?
1955年の『Maybellene(メイベリン)』です。
この曲なんて、カントリーソング『Ida Red』のタイトルを変えただけ…
その『Ida Red』も、昔から歌われていた曲を、少しアレンジしただけのもの…
フォーク、カントリー、ブルース、ロックンロールの名曲なんて、ほとんどがこのパターンだといえる…
そっくり…
誰が最初に歌ったかなんて、ハッキリ言って誰にもわからない。
大昔に誰かが歌っていたものを、誰かが聴いてマネをして歌い、それを誰かが聴いてマネをして歌い、さらにそれを誰かが聴いてマネをして…
さまざまな世代、さまざまなバックボーンをもつ人々を経ることで、最初に歌われていたものが少しずつ変化していく…
だけど根っこの部分、人を感動させる原理は不変だ。
その繰り返しを延々と続けた結果が「音楽の歴史」といえる。
まあ、これは音楽に限らないことだけどね…
そんなことを考えながら、ポール・サイモンは『The Late Great Johnny Ace』を作ったの?
おそらく。
だからこの歌を最初に発表した1981年のセントラルパーク・コンサートで、『The Late Great Johnny Ace』の次にこんな「メドレー」を演奏した。
自身のソロ時代のヒット曲『Kodachrome(コダクローム)』と、その元ネタであるチャック・ベリーの『Maybellene』のメドレーを…
自分で手の内をさらけ出している…
だって、隠す必要なんて無いでしょ?
憧れの存在を模倣すること、真似の積み重ねが、ロックンロールの歴史、そして人間の歴史である…
ポール・サイモンは、そう言いたかったのね…
「Maybe You think too much…」
そんなわけなかろう。これは真理じゃ。
え?
今「あんたら考え過ぎちゃう?」と言ったじゃろ?
言ってませんけど…
はて? わしの空耳か?
ポール・サイモンが言っていることは、何も目新しいことではない。
「巨人の肩に乗る小人」という言葉として、古くから繰り返し語られてきたことだ。
アイザック・ニュートンの言葉ですね。
友人に宛てた手紙の中で、ニュートンは自分の功績について、こう評しました…
If I have seen further it is by standing on yᵉ sholders of Giants.
私が遠い彼方を見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです。
これ自体も「巨人の肩」だ。
元ネタはジョン…
え?
12世紀の哲学者「ソールズベリーのジョン」が書いた本『メタロギコン』の中の言葉なんだよ。
メタロギコン?
しかも元々は、フランスのシャルトル大聖堂付属学校校長のベルナールが、生徒たちの前で口にしていたフレーズだったらしい…
金八先生の「人という字は」みたいに…
私たちは巨人の肩の上に乗る小人のようなものだとシャルトルのベルナールはよく言った。私たちが彼らよりもよく、また遠くまでを見ることができるのは、私たち自身に優れた視力があるからでもなく、ほかの優れた身体的特徴があるからでもなく、ただ彼らの巨大さによって私たちが高く引き上げられているからなのだと。
ジョンも「又聞き」だったの?
そう。ちなみにシャルトル大聖堂は別名ノートルダム大聖堂とも呼ばれる。
この前、火事になっちゃったところ?
あれはパリのノートルダム大聖堂。
ノートルダム大聖堂と呼ばれる教会はフランス各地にあり、10ヶ所のノートルダム大聖堂が世界遺産になっている。
フランス旅行する際は間違わないように。
そんなにあるんですか、ノートルダムは...
さて、話を戻そう。
ジョンが本の中で紹介したベルナールが「巨人の肩に乗る小人」の話をしたことには理由がある。
彼の勤務していた大聖堂には、有名なステンドグラスがあったからだ。
まさに「巨人の肩に乗る小人」のステンドグラスが…
真ん中の絵で抱かれてるのは「幼子イエス」よね…
その他の4つの絵は誰? 誰が誰を肩に乗せてるの?
4人の巨人は、旧約聖書の中の偉大な4人の預言者、イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル、だ。
そして、その肩に乗っている4人は、新約聖書の4人の福音書記者、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ…
つまり、イエス・キリストの物語は「旧約聖書の預言者たちの言葉の上に成り立っている」ということを表している。
こんな絵が描かれるってことは…
「巨人の肩に乗る」は、昔から有名な言葉だったってこと?
だね。
ベルナールと同時代に記されたユダヤ教のラビの問答集にも、こんなものがある。
おそらく相当昔から、各地の様々な人によって、言われ続けてきた言葉なんだろう…
博識な賢者にかく問う者があった。「先人は我々自身よりも賢明であったことを我々は認める一方で、先人の見解を批判し、しばしば否定し、真実は我々とともにこそあると主張する。これ如何に。」賢者答えて曰く、「矮人と巨人、いずれが遠くまで見渡せるか。無論、目が矮人よりも高くに位置する巨人である。しかし矮人が巨人の肩の上に乗せられたならば、いずれが遠くまで見渡せるか。 … つまり我々もまた、巨人の肩にまたがった矮人である。我々は彼らの知識から学び、さらに先へと進む。彼らの知識により我々はより多くを学び、言うべきことを言えるようになるが、これは我々が彼らよりも優れているからではない。」
なるほど…
もっともすぎて、返す言葉も思い浮かびません…
これがポール・サイモンの言いたかったことであり、『ライフ・オブ・パイ』という物語の核心だ…
ずいぶんと長くなってしまったけど、これにてQ.E.D…
深読み終了。
パッ
あっ、 照明が…
んもう。今頃になって…
もうすぐ閉店なのに。
・・・・・
さあ皆さん。ラストオーダーよ。
ジョーは片付けを始めちゃって。
はい…
閉店時間っぽい曲でも流したらどうじゃ?
終わりの気分がグッと盛り上がるぞ。
いいですね。『蛍の光』とか?
せっかくだから今日は、この曲にしようかしら…
『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』のB面の曲…
ヨーコの歌う『Listen, The Snow Is Falling』で…
いいね。
へえ~
あの『ハッピー・クリスマス』のサイドBは、こんな曲だったのか…
初めて聴きました。
あまり知られてないからね。
隠れた名曲じゃ。
ところで掘ったイモいじんな?
えーと…
うわ!?もう7時15分前…
めちゃくちゃ明るいですよ、外はきっと…
カランカラン♫
(ドアを開ける音)
ああ、眩しい…
あっ!見てください!
どうかしたの?
雪だ! 雪が降ってます!
ゆ、雪? まだ9月なのに?
あっ… 違いました…
んもう。ビックリさせないでよ(笑)
羽です…
羽?
白い羽が…
空一面に、雪みたいに舞っている…
え?
つづく
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