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好きすぎて思わず裁判傍聴デビューをしてしまった『贖罪の奏鳴曲』等 オススメ本紹介

毎年「年間100冊読めたらいいなぁ」とぼんやり思いながら本を読んでいます。そんな中で「これは面白かったなぁ〜!」「これは興味深かった」と印象に残った本たちをご紹介するコーナーです。

私は気になったものなら小説でもSFでも学術書でもライトノベルでもBLでもなんでも読みます。面白ければなんでもOK!
なるべく毎回小説、学術書チックな専門書、ラノベ等を幅広くご紹介しようと思っています。

この中で少しでも興味を引く本があれば嬉しいです。

▼前回の記事はこちら



好きすぎて思わず裁判傍聴デビューをしてしまった 『贖罪の奏鳴曲』



『どんでん返しの帝王』の異名を持つ中山七里先生の弁護士御子柴シリーズです。
なんかもうね、好き過ぎる。私的には二作目のラストが一番唖然とし、三作目で泣いた。シリーズ六作品の全てが面白い。全てがどんでん返しになります。最高です。また裁判風景が絶妙。

主人公の御子柴が作中で「裁判を傍聴しに来る奴らなんか下衆(意訳)」と傍聴人を見下す描写があったので「それなら行ってみるか!」と近くの裁判所へ裁判傍聴デビューを果たしてしまいました。好きすぎて。

嘘だと思うだろ?本当に行ってきたぞ大阪地裁!

生の裁判は裁判官、検察官、弁護士さん達がカッコ良すぎて衝撃でした。「意義あり」って本当に言ってた。また行きます。
証人として法医学者さんも来てたりしていました。それはもうアンナチュラルなんよー!(裁判傍聴レポのnoteも書きたいとしたためているのですがいつ公開できるだろう…)


もう二度と読めそうにありません完敗です 『正欲』



これは、これは───。
読んでる間にこんなに精神を抉られる作品はなかった。
なんでだ、なんでなんだ。
別に自分が経験した訳でも無いのに読んでいるとキャラクターが感じる羞恥がこちらにも来る。共感性羞恥のレベルが高すぎて気が狂いそうになった。

この作品はやばいです。
どうやばいのかと言うと、なんだろう。生きていて少なからず「恥ずかしいな」と感じる人の隠したい感情や事実を赤裸々にぶちまけてくる。顔を背けたくなる、そんな感情が押し寄せてきます。

正常な精神を保つことができずに、この本を読了するまでにラノベ五冊は間に挟まないと我慢できませんでした。これは長男でも無理やで炭治郎。
ここまで読者の精神に作用する作品を作り上げた朝井リョウ先生に感服します。すみません、もう二度と読めそうにありません。完敗です。


Netflixで一躍バズワードになった単語 『地面師』



Netflixドラマ『地面師』の人気から一躍バズワードとなった言葉。この本はドラマの恐らく元ネタになったであろう積水ハウスから五五億円を騙しとった地面師詐欺事件を追ったルポルタージュです。

私はNetflixのドラマが始まる前に本書を読み終えていたので、ドラマが始まると聞いて「タイムリー!」と喜びました。ドラマの完成度が想像以上に高く、非常に楽しめました。

『地面師』とは土地の所有者になりすまし不動産屋に土地を売る詐欺を行う詐欺集団の総称です。
本書で紹介されている積水ハウスが実際に被害を受けた際には他社から「それ詐欺だから取引中止した方が良い!」と積水ハウス宛に四通も警告文が届いたのに、彼らは怪文書としてスルーしてしまったりと色々とアタタな実情が赤裸々に書かれています。(ドラマでもその描写がうっすらアリ)

指紋をつけないために指にマニュキュアを塗る詐欺の手口や、東京出身の土地所有者のはずが「私の田舎も桜が綺麗なので今度帰って見たい」という会話で偽物と気付いた不動産屋や、生年月日の干支の書き間違いに気付いた司法書士など色々と濃い内容で一冊の本としても緊張感ある内容です。西暦を書き損じることならまだしも干支を間違えることはほぼ無い為必ず疑うのが司法書士の間では有名なんだとか。
『地面師』のリアリティを更に楽しみたい(?)方にはオススメです。


もう全部こいつ一人でいいんじゃないかな 『フランクリン自伝』



「もう全部こいつ一人でいいんじゃないかな」
「お前のようなジジィがいてたまるか」

こう私が本気で思えたのはレオナルド・ダ・ヴィンチとベンジャミン・フランクリンの二人です。
色々功績がありすぎて何を言えばいいのか分からない。100ドル札のおじさんで、アメリカ建国の父の一人で、独立戦争の軍資金を他国から引っ張ってきた人で、避雷針発明した人でもう意味が分からない。
功績があり過ぎて「こいつは人間じゃないのかもしれない」と本気で恐怖を感じます。妖怪か?

そんな偉大なフランクリン先生が自身で綴られた自伝です。なんてパワフルなおじいちゃんなんだと閉口してしまう。
自伝と言えば「私もこんな風な人になりたい!」と淡い願望を抱いて読む本だと思うのですが、この本というかフランクリンはダメだ。うっかり真似したら本気で死んでしまう。波乱万丈でメンタルが強すぎる。お前のようなジジィがいてたまるかばかやろう。

そんなフランクリン先生でもほっこりエピソードがあるんだよ。
友人に影響されて殺生はやめようと一時期ヴィーガンに目覚めるも、魚が大好きで「タラ食べたい。あれ?よく考えたら魚は魚を食べて共食いしてるよな?なら人間が食べてもいいよね?じゃいいか!」と速攻でヴィーガンを辞めた逸話がクソ好きです。

変人のように書いてしまいましたがフランクリン先生は本当に偉大な人です。尊敬してます。100ドル札にも書かれているもの。これだけ覚えて帰ってください。


大爆笑した。 『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』


読んでいて手を叩いて大爆笑した。マジである。

考古学者ってどんなことをしているの?
発掘ではどんなことがあるの?
もしかして怖い体験とかしたの?

そんな素朴な疑問について考古学者が実体験を面白おかしく語ってくれているのが本書です。

発掘前のお祓いで羊を生贄に捧げることに傷心してたらその場でマグロならぬ羊の解体ショーが始まり「こ、こてっちゃんだ──!?」と肉への歓喜と渇望で解体屋の兄ちゃんとウヘヘ言いながら肉を切った話やら、発掘途中で見つけた鎖骨の骨に誘惑された話やら、荒れ狂う船の中でのゲロの四重奏とかなんか、もう、ほんとダメ。(肩を震わせながら咳き込む)

ただ発掘現場の内情は中々書けないのか、『海外やらかしネタ』『ディープな海外飯ネタ本』にも思えなくはないですが、海外旅行記読むならこれ読んだ方が絶対面白い。
考古学者も大変な思いをして日々発掘されているんだなぁ...!と労いの言葉を思わずかけたくなる、そんな本です。


アンナチュラルを観てたら思わず 『生きるための法医学』



『アンナチュラル』というドラマを観て、初めて「法医学」という分野を知ったので知りたくなり読みました。

亡くなった方のご遺体から生前に何があったのか、なぜ亡くなったのか、殺人事件であれば凶器はなんなのか等分析・解明していくのが法医学です。
私が実際に殺人未遂事件の裁判を傍聴した際には、証人として法医学者の先生が証言台に立って遺体から判明した死亡理由や凶器について解説されていました。すごかった。

しかし私が想像していたよりも法医学が司る分野が広い。それにまず驚きました。

例えば、2021年の東京五輪で「もし大規模自然災害が発生し、各国の来賓及び旅行者に死者が出た場合のエンバーミング(遺体衛生保全)と遺体引き渡しのオペレーション」が法医学者を交えて策定されていたこと。素直に「そんなことまで考えなくてはいけないのか」と驚愕。

「イスラム教で火葬は冒涜だから土葬ができるように速やかにご遺体を引き渡せるように」
日本のように自然災害が多い国は世界規模の催し物となると「そういう配慮もしなくてはいけないのか」「そういう視点は無かった」と己の視野の狭さを殴られました。そうか、遺体の防腐処理とか、そうかぁ。来年開催される大阪万博でも同様なことが考えられているのだろうと感じます。

他にも死体解剖をしていて「この人は事故死ではありません、他殺です」と判って警察に連絡したりと刑事ドラマであるようなことが実際に起きますと書かれていて「そ、そりゃそうだよなぁ…」と呆然することも。

専門家ってすごい。
新しい世界を垣間見ると見えてくる世界が一変します。
これが学びの面白さなのだと久しぶりに感じさせてくれた一冊です。


あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!(泣き崩れる) 『烏は主を選ばない』の八咫烏シリーズ



NHKでTVアニメ化された『烏は主を選ばない』の八咫烏シリーズだ!
アニメ12話を観て絶句したみなさん!安心してほしい、シリーズが進むにつれて「あの展開はまだ可愛いほうだったな〜」と笑えるようになってくるぞ!地獄はこれからだ、ようこそ八咫烏シリーズへ!

個人的には『精霊の守り人』や『十二国記』と並ぶ濃厚ファンタジー作品です。

もう面白すぎて愕然とする。
しっかり作り込まれたファンタジーなのに必ずラストで怒涛のどんでん返しが待っているミステリー小説でもあります。毎巻ラストは鳥肌になる、烏だけに。

特に二部が始まったときは「あ?」と放心しました。
何が起こっている?え、これ二部?二部だよね?と何度も表紙を確認したよ。
間違いなく面白いのですが、シリーズが進むにつれて物語が壮絶になり最新巻を読了するたびに膝から崩れ落ちて泣き叫びます。鬼畜だ、くそぉ面白い。

私の心の拠り所は澄尾だけだ、良い男だよ澄尾。


アニメ化おめでとう! 『サイレント・ウィッチ』



まずはアニメ化おめでとうございます!やったー!
登場人物が全員愛おしくなるライトノベル作品『サイレント・ウィッチ』です。

実は前述した『正欲』を読破するのにラノベ五冊読んだ、と言って読んだのがこのシリーズです。あの時は本当にありがとう、この作品のワイワイ楽しい雰囲気がなければダメだった。

魔法や精霊が存在する世界で、人見知りで人と上手く話せない小さな魔女さんが奮闘する物語です。とにかく登場人物の全員が魅力的で可愛らしい。すべてが愛おしく「がんばれー!」と応援したくなります。読んでて癒される作品です。疲れたり、何かに頑張りたい時にそっと背中を押して気持ちを軽くしてくれるので読んでて笑顔になれます。
何か読みたいけれど、重いものは読めない!という方にオススメです。

アニメ化楽しみ。できれば外伝までやってほしい。トゥーレとピケを侍らすシリル様が見たい。


オーディオブック、オススメですよ


読書はなるべく幅広い分野を。
そして月に一度は読書会に行くことを目標に本を読み続けています。

紙の本が読めない、読む時間がないという方にはオーディオブックもおすすめです。私は家事しているときに聴いて楽しんでいます。
私は紙の本だと数カ月に一冊程度しか読みなかったのですが、思い切ってオーディオブックに移行したら月に十冊程読めるようになったので「紙の本は苦手」という方にオススメです。


これからも良い作品と出会えますように。
本はいいよね!

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Okaki
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