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㉑コロナとマッチングアプリ

Dくんと別れ、2020年。
新型コロナウイルス感染症の流行が始まった。

これまで経験したことのない
不要不急の外出自粛、外食の自粛、
マスクの徹底などに、毎日翻弄されていた。

当然、出会いどころではなかった


丁度その頃のはDくんと別れたあとで
恋愛はちょっと休憩したかったので
外出自粛のおうち時間期間は丁度良かった。

しかし、その自粛期間中も
せっせと恋愛に勤しんでいた人がいた。

大学の同級生、梨乃である。

梨乃はとにかく出かけるのが好きだった。

というか、家で過ごすというのが苦手なようだった。

新しい出会いがないので
とにかく過去に知り合った男の人に連絡を取っているようだった。

しまいには、ほとんど接点のなかった後輩等をSNSで見つけて
連絡したりしていた。

ちょっと、怖かった。


そして、コロナ時期に梨乃が

「今は皆が出かけたりしてないからSNS見ても心が穏やかなんだよね!
普段、自分がなにも予定ないのに他の人がBBQやフェスにいったりしている投稿を見ると嫌な気持ちになるからさ〜!」

と言っていた。

これもちょっと、怖かった。



梨乃はキラキラしている自分が好きだった。

なので、自分以外が楽しそうにしているのが嫌いだった。

この頃の梨乃はまだSNSを頻繁に更新していた。

捨てきれない若いころの名残で
小さい文字「ぁ」を使った長い文章で。

少しでも自分は楽しんでいる!輝いている!を皆に知って欲しがっていた。

そんな梨乃にとって、自粛期間は皆が楽しそうにしている投稿が少なく、心穏やかにいれたようだった。



そして、その頃から周りで
マッチングアプリをしている人が増えてきた。

20代の間ではもう既に主流となっていたが
私たちの世代は、昔の「出会い系」がチラつき
怖い思いをするんじゃないかと、少し抵抗があった。

しかしコロナの影響で飲み会も少なくなり、
本格的に出会いが少なくなった今
同世代でもマッチングアプリを始める人が増えてきていた。

私と梨乃の共通の友人も
アプリを始めたという話を聞いた梨乃は、

マッチングアプリを全否定していた。


「アプリに頼るようになったら終わりだ」

「アプリだけはやらない」

「そこまで自分は落ちぶれていない」

等など、アプリに恨みでもあるのか?位の否定っぷりだった。


私はこの時はまだDくんのこともあったので
恋愛したいとは思っていなかった。
でもマッチングアプリは今の時代の新しい出会いなんだろうと思っていた。
なので自分はしないけど、アプリを否定はしていない派だった。

そしてはっきり梨乃に言った。

このままコロナが治まらず、出会いが欲しいと思った時に自分も利用するかもしれないし、と。

莉乃はその後も何か言っていたが
よく覚えていない。

そして数ヶ月後、莉乃に久しぶりに会った。


梨乃はガッツリ、

マッチングアプリをしていた。



やるなら、最初から否定したりするなよ。

まあ、予想はついていたけど。

マッチングアプリにはイケメンがいるし
それを自分で選ぶ(マッチするしないは置いておいて)事が出来る。
梨乃にはピッタリではないか。

そして梨乃はいくつかのアプリを同時に利用し
どんどんマッチした人と会っていった。

最初に否定していた事はまるでなかったかのように。

しかし、何人と会っても上手くいかない

そんな日が続いて

梨乃はますます拗らせていった。

 


つづく


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