E171: いろいろ大丈夫…ではない
【連続投稿: 第91日目 ライラン2: 第2日目】
腕がなかなか治らないので
MRIを撮ってきた。
「源太さん、狭い所とか大丈夫ですよね?」
実はこういう時に困る。
「大丈夫」と言うのは、どのあたりまでを言うのか。
私は「やや、閉所恐怖症」である。
45年ほど前、叔母の結婚式で
会場トイレの個室ドアが壊れ
閉じ込められて以来、
狭いところが苦手になった。
ただ、MRIは何回か撮ったことがあるので
たぶん、大丈夫だとは思っている。
今のところ何もないけれど、
ある日、突然
MRIの機械の中で、パニックを発症したら
ご迷惑だろうなぁなんて考えるから、
いつも緊張するのである。
だから「大丈夫ですよね?」
という聞き方は、やめて欲しいんだけど…。
いい歳をして、
ちょっ声が小さくなる。
そんなこんなでMRI室まで行ったら、
受付の女性が、こっちをチラッと見た。
「はい、こんばんは。ああ、暑いよねえ。」
ん?
(どうでもいいが、なんでお前はいきなり患者にタメ口なんだ?)
タメ口は仲良くなってからにしろ。
一瞬イラッとしたけど、まあ、いいや。こちらは緊張でそれどころではない。
すると、その女性
私の体型、特にお腹周りジロジロ見て
「検査着やけど…」
ほう、何?
「ああ、やっぱり大きい方がいいよね!」
彼女の口を、洗濯バサミで止める妄想をしながら、
私は無言で検査着を受け取った。
案の定、ぶかぶかの検査着を履きながら、
MRIの部屋まで行くと、
検査技師の先生は丁寧にお答えしてくださった。
「検査は大体20分くらいです。くれぐれも動かないようにしていただきますように」
この丁寧な応対を、さっきのやつに聞かせたい。
でも、動くな、と言われると、私は動きたくなるのである。人間ドックの前の日に、やったら食事がしたくなる、ああいうのに似ている。
もし、顔が痒くなったら、どうしようかしら。
今回も何とか無事、MRIを終えた。
ほっとして、受付まで戻ると、
先程の受付の女性が、笑顔で
「お疲れ様でした。お着替えを済ませください」
ん?
なんだお前、敬語しゃべれるのか!
選んでくださった検査着、ぶかぶかでした、
って、満面の笑みで言ってやろうかと思ったけど、大人げないのでやめた。
やっぱり、MRIは緊張する。
結果は、来月下旬、
……いや、遅くないか?