E59:大人がすっ転んだ時の正解とは
(エピソード1)
職場で、先輩が腕をさすっていました。
「会議でプレゼンをしようとしたら、思いっきりコードに引っかかって、派手に転んだの」
それは大変!
「でも悲しかったわ。誰も笑ってくれなくて」
……ん?
身体は痛いわ、室内は静まり返るわで、
彼女はどうしようもなく悲しかったそうです。
「ああいう時、笑ってくれたほうが気が楽なのに」
と先輩。
「いやいや、そんなの笑うわけないでしょ!」
と僕。
みんな、バツ悪そうに(見なかったこと)にするべく、視線を逸らしたそうです。もちろん何人かが「大丈夫ですか」と言って気遣ってくれたそうですが…。
それ、みんなの反応としてごく自然だと僕は思います。でも先輩は、気まずい雰囲気が流れるくらいなら、むしろ「もう、何やってんですか!」と言って、ゲラゲラ笑ってくれる方がマシだと言うのです。
そんな状況でゲラゲラ笑う大人、います?
この会話から思い出したのですが、昔タモリさんが『笑っていいとも』で おっしゃってました。
「さっき、アルタ(=スタジオ)の玄関のとこで派手に転んじゃってさあ、みんな気まずそうにしちゃって、誰も何もリアクションしてくれないわけ。こっちはもう恥ずかしくて恥ずかしくて…。」
(エピソード2)
「転ぶ」と言えば、以前、うちの(※)ツレに
軽く、いやそれなりに不満をぶつけたことがあります。
(普段はとても仲良くやっております)
ある日、2人で買い物に出ていて、僕が何でもないフラットな道で思いっきりすっ転んだんですね。
すると
ツレの口をついて出てきたのは
「え? なんで?」
僕は猛然と抗議しました。
「あのさー、そういう時はふつう、大丈夫?って聞かへんか?」
「だって、わけわかんないところで転ぶから!」
「いやいや、昔はこういう時……もうええわ!」
笑笑
心配して欲しかったわけじゃないんです。だけど、「なんで?」て、それはないだろうと…。
こっちだって、何でか知りたいよ!
(エピソード3)
実は、うちの母も、高校生の頃
思いっきり地元の商店街ですっ転んだそうで。
ひっくり返った娘を見て
祖母(=母の母)は冷静に言ったそうです。
「あんた、そこで何しとん?」
母は「見たらわかるやん。転んでるのよ!」
と抗議したそうですが…。
これはあくまで僕の個人的意見ですが、
この3つのエピソードに共通する理想の返しは、
やはり真剣に、心配そうに、
「大丈夫?(ですか)」
と返す、気遣う、これが正解ではないかと。
でもね。
人間は、時に
「どうしたの?」
「なんで?」
「何してるの?」
というような反応を、真顔でする時がありますね。
コケた人間からすると、それはツライですわな。
では最後に。理想の返しが通用しないパターン。
(エピソード4)
先日、大阪駅にて。
僕の真横を同年代のサラリーマンが猛スピードでエスカレーターをかけ上がって行ったんですね。
電車に乗りたかったのでしょう。
気持ちはわかりつつも、
危ないなぁ、と思いながら眺めていたのですが、
すると、4段先くらいで
その方、思いっきりすっ転びまして
(ほら、やっぱり!)
ところが、その方がなかなか立ち上がらず、さすがに心配になって、
「大丈夫ですか?」
と声をかけたら、
「すみません、見なかったことにしてください!」
なるほど。下手に気遣って声をかけると、その人の羞恥心を倍増させることがあるのですね。
無視する、って
ちょっと冷たいと思っていたのですが
改めて考えさせられました。
じゃあ、正しい声かけとは、正しいリアクションとは、何なのでしょう? 本当に難しいと思います。
一昨日、テレビで
マツコさんと有吉さんが話してました。
「大人がコケると、本当にツライよね…」
皆様、足元にはお気をつけ下さい。
(2月19日 86.2kg)
※注• 我が人生のパートナーのことを、
「本人の希望により」このnote上では
原則、ツレと表記しております。