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Photo by
inagakijunya
E106:一休源太、の前
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清楚な感じのお嬢さんが
料金不足で、改札を足止めされ
舌打ちをしていた…。
「懐かしい…」
と、私は思った。
………………………………………………
ゲッゲゲッゲゲッゲゲッゲ ゲッゲゲッゲゲッゲゲッゲ
ゲッゲゲッゲゲッゲゲッゲ ゲッゲゲッゲゲッゲゲッゲ
「……早よ、歌えや!」
CDラジカセに向かって
僕がたまらずツッコミを入れたら
隣にいたヒロキが笑い転げた。
「源太、お前、やっぱり待たれへんのやな…」
「なんやねん、この曲!」
「いや、そういう曲やねん…」
歌い出しまで1分33秒
…あの頃は
それが、果てしなく長く感じたんだ
………………………………………………
元々のんびりした子ではあったと思うが
高校時代の僕は結構いらち(=せっかち)だったと思う。
カップヌードルの3分も
フライングしてしまうことがあった。
でも、いつの日だったか。
エレベーターのボタンを連打している人を見て、
せっかちをやめようと、決意した。
連打した途端、
「あ、あんた、急いではるんでっか? えらいすんまへんでしたな!」って
エレベーターが特急運転を始めたら、
それはそれで面白い世界が広がる。
相変わらず、変な妄想をしている…。
今は
基本的にのんびり歩くことにした。
のんびり待つことにした。
もし、今も
私がエレベーターのボタンを連打していたら、
それは
誰かの命がかかっている時か、
「漏れそう」な時、
のどちらかである。
見逃してほしい。
雨の日曜日、静かに葉桜でも眺めて過ごそう。
【66日の21日目】