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装画塾(JILLA主催)にて
11月から、JILLAさん主催で開講された「装画塾」に参加しておりました。
先生は、装丁家であり日本図書設計協会長でいらした宮川和夫氏です(現在は退会されています)。
たいてい、このようなイベントに気づいた時には定員オーバー、あるいは申込期限を過ぎていて、参加できない人系なのですが、かなり早い時期に気づいて参加することができました。ラッキ~!
企画から何からデザイナー&イラストレーターの竹本明子さんがお世話をしてくださっています。
久方ぶりの(30年くらい?)、長机をならべた教室風に「学生時代に戻ったみた~い」と喜んで、後ろを振り向いてしまいましたが、若い女性で苦笑いされました(笑)。
あ、noterさんも、参加していらっしゃいました。unagiさん、とても誠実な水彩を描く方です。
さて塾の内容は、先生がご指定の課題図書の表紙を描き、先生のご指摘を受けブラッシュアップ。最後に、図書のカバーとして先生が装丁してくださる、というものです。
課題図書はというと。
宮川和夫先生が装丁された、内館牧子さんの『老害の人』でありました。
装画は、丹下京子さんが描いていらっしゃいます。
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イラストレーターさんであれば(「私は違うわ!」という方もいらっしゃると思いますが…)、「装画」を描くことには、特異な感覚を抱くのではないかな、と思います。
そして、「装画」を描きたい、と思うのではないか、と。
挿絵は、本を開いてもらわない限り決して見てもらうことはできません。
でも、一場面を描けばよい挿絵と違って、「装画」は物語の世界観、著者の伝えたい事・表現したい事を、たった1枚の絵で表さなければならない責任を負います。
私は、常々、「自分にはそれができない」と、分かっていました。
それはそうと。いざ!
まずは本を読みます。(当たり前!)
もともとの丹下京子さんのイラストの印象が、かなり強いので、そうとう引っ張られました。
どんな主人公を考えても、丹下さんの描いた主人公ほどの強さにならず、逃げに逃げて色々くだらないラフを考えました。
が、結局、この話は、主人公を描かなきゃダメだなと観念し、下の絵のような人物を描きました。
私にとっての主人公でいいじゃないか、と。
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<人物像>”かつては、海外企業と渡り歩いた80代半ばの2代目社長。今は義理息子に社長の座を譲っているが、自分の居場所を確保し会社に居座っている。実際に、自分に用などなく、毎日「つまんねーなー」と思いながら過ごす。鳴らない電話を待ち、お茶を持ってきてくれる社員を相手に自慢話、昔話をするのが楽しみ。”
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「めのまえに・なぜにピンクの・さかなかな?」(五・七・五)
最終てきなものではないので、「こういうの描くとなんて言われるの?」と、試してみたかったのです。
だって、なかなか無い機会ですから!
宮川先生:「ん?これは何?」
私:「若鮎です。」
「つまらなすぎて、この人の妄想の中に若鮎が出てきたので、つまんね
ーよなー、と会話しているんです。」
宮川先生:「おもしろいねー」
「でも、無くていいかなぁー」
そりゃ、そうだ(笑)。
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でも、私にとっては、この本の中に出てくる”若鮎”に、
「内館先生。ここで”若鮎?”唐突すぎやしませんか!?」と、やや違和感を感じたのです。
なんの伏線もなく「なんで”若鮎?”」と、思いました。若さを表現するなら、文脈上”青葉”、”青嵐”も、アリなのに…。
しかし、内館さんは「若鮎」としたのだから、何か意味があるのかな、と。
とはいえ、表紙にはたぶん”全体的”とか”普遍的”なものが、いるのかなと思い、最終的に描いた原画はこうなりました。
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上の絵で、宮川先生が褒めてくださったポイントは
・左上の余白的な空間
・ワイシャツの白
思わず、「へぇ~」と言っちゃいましたよ(笑)。
まあ、何もないところを何事もなく塗るのは実は一番気を使うので、喜ぶべきでした。
そして、出来上がったもの。
比較すると、こうなります。
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オンデマンド印刷のちゃんとしたいい紙で、実際の体裁と同じ装丁でした。感激。
宮川先生曰く「文芸書らしい佇まいだよね」。
もともとの書籍の方は、「目立つ」を第一に考えたそうです。
タイトルと著者名の入る位置が、間逆になったのがびっくりでした。
まあ~地味です(笑)。
でも、私はこの本を読んだとき「文芸書」の体にしたいな、と思いました。
「地味なのも悪くないんだよ」とも、宮川先生は仰ってくださいました。
あー、とにかく自分の思考力を鍛えねば。
久々に、新しい出会いがあり、いい時間を過ごせました。