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サンタクロースはお父さんだと教えてくれたのはプリントゴッコだった。
メリークリスマスイブ。
名古屋は朝から雪が積もっていた。
寒いのは嫌いだけど、雪が降るとちょっと嬉しいのは、本当の雪国を知らないからかもしれない。
少し前にSNSで「子どもに『ママがサンタさんなんでしょ?』と聞かれた(汗)」という投稿を見かけた。
そのあと「みんなは、どのタイミングで本当のことを伝えてますか?」と続いていた。
逆も気になる。
みんなは、どのタイミングで「サンタさんは本当はいない」と気付いたのだろうか。
私は子供の頃から「サンタさん」を信じていなかった。
別に「クリスマスにプレゼントをもらえなかった」とか、そういう悲しい理由ではない。
おかげさまで、毎年25日の朝には枕元にプレゼントが置いてある、温かい家庭に育った。
でも、物心ついた時から「親がサンタさんなんだろう」と気付いていた。
なぜかは分からないけど、そう思っていた。
確信を持ったのは、小学校に入る頃だっただろうか。
プレゼントに添えられていたサンタクロースからの手紙の字が、明らかに「父の字だ」と気付いたからだった。
誰の字にもクセはあると思うのだけど、うちの父の字にもまあまあなクセがある。
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この字で「サンタより」と書いてあるのを見た時に「やっぱり、お父さんなのね」と思った。
ていうか「サンタより」て。
「サンタクロースより」でしょ(笑)
だけど私は、さっきの子どものように「お父さんがサンタさんなんでしょ?」とは言わなかった。
いや、言えなかった。
言っちゃいけないと思ってずっと、騙されたフリをしていた。
そんな我が家にも、カミングアウトの時がやってきた。
確か、小学校4年生の頃だったと記憶している。
家族3人で、近所のショッピングモールに行った時のことだった。
ちょうど12月に入り、年賀状を書く時期だった。
当時大流行していた「プリントゴッコ」が売られていた。
私が「お父さん!プリントゴッコ欲しい!」と言うと、父は言った。
「よし分かった。そしたらもう、今年はサンタさん来ないけどいいか?」
なぜ、今プリントゴッコを買ったら、25日にサンタさんが来ないのか。
おかしな話だったけど、深く追求することなく、私は「うん。いいよ」と言った。
父は「まあ、そういうことだ」と言った。
その日、プリントゴッコの黄色い箱を抱えて家に帰った。
すごく嬉しかった。
せっせと年賀状を印刷した。
その年のクリスマス、本当にサンタさんが来なかったかどうかは記憶していない。
でも、小学校卒業するまで、枕元に置かれるプレゼントは続いた。
6年生の時にはCDラジカセが置かれていて、めっちゃ嬉しかった記憶がある。
その頃はもう、サンタクロースじゃなくて両親からのプレゼントという認識がお互いにあったので、起きてすぐ「ありがとう!!」と言いに行った。
両親も「嬉しいか。よかったなあ」「大事に使うのよ」と嬉しそうだった。
我が家はそんな感じで、プリントゴッコのおかげでカミングアウトは終了した。
もしあれがなかったら、いつまで騙されたフリをすればいいのか、私もつらかったかもしれない。
プリントゴッコに感謝である。
ちなみに、私が気づくきっかけになったクリスマスカードだけど、本場のサンタクロースから送ってもらえるサービスがあるらしい。
ちゃんとフィンランドから届くらしいよ。
日本語と英語が選べるっていうんだから、本場感すごい!
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まだサンタカミングアウトしたくない親御さんは、使ってみるのもいいかもですよ。
まもなくクリスマス当日。
今頃、世界中のサンタさんは、子供たちの枕元にプレゼントを置いたりしてるのかな。
いいなあ。
私も明日起きたら、何か届いてないかなあ。
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