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節分なので家族で豆まきをした話。

夕食前に散歩をしていたら、近所の家から「鬼は外!」という声が聞こえてきた。

声の持ち主はおそらく小さな子供で、両親と思われる男女の声も一緒に混じって聞こえてくる。
「鬼は外にいた方がいいんじゃない?」と女性の声がし、「そうだな」と言って外に出たらしき男性に「おにはー!そと!!」と子供の大きな声が追いかける。
多分その声と共に豆が投げられているのだろう。父親の「待て待て!ちょっと待て!」という慌てた声と、女性が笑う声が聞こえてきた。

なんて、平和なんだろう。
思わず足を止めて聞き入ってしまった。


我が家も昔は外に向かって「鬼は外!」と大声を上げて豆を投げていた。
鬼役は特にいなくて、ただ外にいる(であろう)見えない鬼に向かって投げているイメージだった。

でも15年ほど前に今の家に越してからは豆まきがなくなり、年齢の数プラス1つの豆を食べるだけになった。

だけど、なぜかここ数年、また豆を投げる行事が復活しつつある。

とはいえ、窓の外に向かって投げるのは近所迷惑なので、家の中で豆を投げ合う。
食卓に座ったまま、父と母と私の3人で豆をぶつけ合うという大変シュールな豆まきである。

始める前には掃除機をかけて床をきれいにし、豆を3人分に分けたあと、いよいよ投げ合いがはじまる。

父と私は「うわあああ」とか「ぎゃあああ」とか、たまには「福は内いいい!」とか言いながら、豆を投げたり投げられたりしたのだけど、母はただひたすら笑顔で掴んだ豆を顔めがけて投げてくるので、若干の狂気を感じた。

ひとしきり投げ終わったあとの床の上。
豆だらけである。

「いや〜今年は派手にやったねえ」と笑いながら豆を拾った。
思いのほか遠くまで飛んでいて、母の狂気を再び感じた。

よく分からないけど、あれだけ豆をぶつけられたんだから、きっと体の内にある鬼は出ていっただろうし、福が入ってきたんじゃないかと思う。

両親と私の謎の豆まき。
近所の家族に負けず劣らず平和だ。

あと何年続けられるか分からないけど、豆の効果で今年も1年みんなで元気に過ごせるといいなと思う。


最後に。
数え年プラス1個で52個の豆。
無駄にハート型に並べてみた。

幼い頃はあっという間に食べ終わって「もう少しちょうだい」と親にねだっていたのに、食後に食べきれない量になりました。
私、大人になったなあ。

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オカダトモコ 旅が好きなライター / カメラマン
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