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【個人的感想】ちょっと今から仕事やめてくる

感想:それがたとえ懺悔だったとしても、人を救えるのは結局人なのだ。
あと、人は死ななければなんとかなる。本当にそうだと思う。人生いつからでもどこからでもやり直せる。生きてさえいれば。

まずは簡単にあらすじから。

ブラック企業で働く青山(工藤阿須加)は、ノルマ・長時間労働・上司のパワハラで精神的に追い詰められていた。疲労のあまり意識を失い電車にはねられそうになったところをヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男に助けられる。幼なじみだという彼に心当たりのない青山だが、ヤマモトに出会ってから前向きになり、仕事も順調に進むように。ところがある日、ヤマモトが3年前に自殺していたことを知り……。

※ネタバレ含みますのでご注意ください。

前半は面白かった。

「こんな会社、いまどきあるの?!」なブラック企業で働く青山(工藤くん)が、「パワハラ上司」の要素を全てを詰め込んだような部長(吉田鋼太郎氏)に、とことん虐められる。

この部長が、すぐ大声で怒鳴ったり物を蹴ったりするんだけど、その声が腹から出ててめちゃくちゃ怖い。さすが吉田さん。舞台俳優の本領発揮である。

そしてなんと言っても、この会社の社訓がすごい。
「有給なんていらない。体がなまるから」
「上司の指示は神の指示」
「心なんか捨てろ、折れる心が無ければ耐えらえる」

これをみんなで朝から読み上げる。そんなバカな。

上司から無茶振りな仕事…毎月150時間超えの残業…でも残業代はつかない…体が鉛のように重い…パトラッシュ…なんだか眠くなって来たよ…(違)

そんな時に爽やかな笑顔と、どぎつい関西弁で颯爽と登場する「ヤマモト」こと福士蒼汰くん。

「久し振りやな!俺や!ヤマモトや!小学校以来ちゃうん!」

救いの神登場である。
がしかし、我々は予告編で知っている。
ヤマモトは3年前に自殺していることを。

予告編が映画本編の邪魔をすることは本当によくある話なんだけど、この映画でも同様で「青山はいつ『ヤマモトは死んでいる』ってことに気づくんだろうか」「じゃあこのヤマモトは幽霊?…じゃなさそうだから、双子?もしや双子オチなの?」という疑念を頭の隅に置いたまま見なければいけない。
予告を見なければ、もう少し驚いたりできたかもしれないのに。

物語はその後、タイトル通り「ちょっと今から仕事やめてくる」と青山が会社を辞める…のだけど、あれ?この時点でまだ残り40分もあるよ?どういうこと?長くない?

と思ったら、ここからとても残念なエンディングへ進む…。

カフェにヤマモトを呼び出し「ちょっと今から仕事やめてくる。だからここで待っててほしい」と青山が言うのだけれど、戻るといなくなっているヤマモト。その日から連絡が取れなくなる。
青山はなんとか連絡を取ろうとヤマモトを探しまくり、彼がいた児童養護施設を訪れる。そこでヤマモトが双子だったことを知る青山。

ああやっぱり、双子だったのね…。

そして、施設の園長先生が言う。
「あなたが来たら、これを渡してほしいって。あの子、あなたが来るのを待ってるわ」

え。
じゃあなんで姿消したん…
さっきカフェで伝えたら30分前に終わってたやん…

これまでのネタバレをするためとはいえ、謎すぎる展開。
さらに、エンディングはバヌアツ。
景色は最高に美しいけど、バヌアツである意味って。一体。

という感じで、前半は「ヤマモトは誰なんだろう」とか「目的は?」とか「青山かわいそう」とか「なんだこの会社」とか「吉田鋼太郎すごい」とか「黒木華ちゃんがやったんでしょ」とか「青山死ななくてよかった」とか、色々推測したり怒ったり悲しんだり面白かったりしたんだけど、後半がちょっと残念だったかなあ。

でも、仕事で死んじゃいかんよ。
死ぬほど辛かったら辞めればいいんだよ。
それができなくて苦しんでる人たちが多いから、本当にこれは声を大にして言いたい。

「そんな仕事やめちゃえよ!」

私も過去、ここまでじゃないけどブラックぽいところで働いていて、毎日地下鉄からの階段を上りながら「落ちて骨折したら会社行かなくていいのかな…」とか思ってた。

そんなに嫌なら、とっとと辞めればよかったのに、その頃の私には「ここを辞めたら行くところなんてない」って思ってたんだよね。
そんなことないよ。あるある。どこでもあるんだよ。

だから思う。
山本ほど明るく能天気じゃなくてもいいから、誰か一人でも心の支えになる人が、みんなにいるといいな。
結局、人を救えるのは人なんだから。

以上、つらつらと感想でした。
次は何を見ようかな。

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オカダトモコ 旅が好きなライター / カメラマン
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