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植物を這わせる棚

レナード・バーンスタインとその妻フェリシアについて描いた映画『マエストロ』には、とても印象的なシーンがある。

セントルイス・ブルースが流れる白黒で描かれるパーティーのダンスシーンの途中から、セントルイス・ブルースだけがフェイドアウトし、代わりにマーラーの5番の第4楽章がフェイドインしていく。

音楽はそのまま流れ続けながら、庭で子どもを抱くバーンスタイン。また音楽はそのままで画面が切り替わり、指揮をするバーンスタインの影が舞台の袖のカーテンに映り、その奥の暗闇に妻のフェリシアの姿が小さく浮かび上がっていく。

再び、庭のシーン。子ども達とフェリシアとバーンスタイン。幼い子どもは長女だろう。《植物を這わせる棚》の中を子どもは奥の方へと駆けていく。

植物を這わせる棚?。それは何? しかも通路のようになっているもの。藤棚? まぁ、確かに藤棚がそういう細長い構造をしていることもないわけではない。でも、藤棚は、フジの棚なのだ。違う。モヤモヤする。


最近は困ったときはChatGPTに尋ねる。先日も小説のタイトルが思い出せなくて、ChatGPTに尋ねた。1回ではピンとくるものにならなかったので複数回尋ねた。

・千葉の海まで歩く小説があったと思うのだけど、タイトルはわかる?
・海まで知り合いの女の子と歩く小説なんだけど。
・女の子はサッカーボールを持っていて、二人は川沿いを歩いていく。
・著者は男性で、小説はここ10年以内に書かれた小説。

ChatGPTへの質問

4回尋ねて答えが得られた。ポイントは質問の中身が若干間違っていても正解が得られたこと。歩いたのは千葉の海までではなく、鹿島の海、つまり茨木の海だった。

得られた答えは、乗代雄介『旅する練習』。それそれ。それが言いたかったの。

歳をとってくると、単語や名前が出てこなくなる。「ほら、なんとかっていう映画の主役と以前結婚していて別れちゃったあの女優」。

こういうとき夏目漱石はエライなぁと思う。『吾輩は猫である』の中の例のやりとり、「天璋院さまの御祐筆の妹の御嫁に行った先の御っかさんの甥の娘・・・」とは、このことの一般化だったのかと。違うけど。

いずれにせよ、最近は、ChatGPTに尋ねる。たとえばこんな感じ。

ゲームでさ、ルール自体がなく、ルール自体を作っていくゲームがあったと思うのだけど、名前がわからない。なんだっけ?
  => ナシュード(Nomic)です。

すごいよ、ChatGPTくん。学校の先生は、ぜひ夏休みの宿題に「ChatGPTの面白い使い方を考えてくるように」なんていうのを出してほしい。


で、例の《植物を這わせる棚》についても聞いてみた。

藤棚のように植物を這わせるために作った庭にある構造物の名前は何?
  => 「パーゴラ」または「トレリス」です。

確認のためにGoogleで検索してみよう。そう、これこれ。

で、ふと思ったんだ。「ChatGPTで検索して回答を得て、GoogleでWikipediaを検索して検証する」ってすごくいいなと。しかも、そのうちWikipediaの内容もChatGPTが生成するようになるだろう。再帰的にね。でも、そうなると、その答えが正しいかの検証もChatGPTの中でループすることになる。

うーん、それはちょっと心配。でも、たぶん止められない流れだ。

ということで、とりあえずは、単語や名前が出てこないときに、私は便利にChatGPTくんを使おう。

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