〖新世代農村〗の開拓!
私は2021年12月に約20年間の中国生活に終止符を打ち本格的に日本に戻ってきました。
そして今日に至るまで約2年半、「失われた25年」と言われる日本の状況を目の当たりにし、この悪しき状況を何とか改善したいと思い過ごしてきました。
最近では時々思い余って知り合いや近所の人に愚痴をこぼすこともありますが、それも逆効果で、ほとんどの人が同調することも無く、逆に妬みのような反発をくらいます。
日本人はこの約25年間で精神的にもずいぶんしょぼくれてしまいました。
しかしそんなことを言ってみても何の解決策にもならないし、とにかく自分の信念に基づいて頑張っています。
さて、前置きはその程度にして、私は「失われた25年」の処方箋は「地方の活性化」以外に無いと考えています。
中国では「世界の工場」と言われた沿岸部の工業化の時代はすでに終わり、最近ではより地方の方向に産業の中心が移動しつつあります。まさに都会から地方へと人口大移動が進行しています。
習近平主席が最近最も注力している産業が「農業」です。
日本人の感覚では、都会から地方への人口移動なんて考えられませんが、確かに今の政策でそのまま地方への移住を進めることはほぼ不可能です。
今回の記事では、中国での状況を参考に、今後の日本を牽引する主役である地方の有り方、方向性について、私の考えを提案します。
中国における「地方の生活」の実態
中国人の農村の生活は、日本の農村と比べると非常に豊かです。
私の故郷は兵庫県北部の農村ですが、時々帰省し近所の人たちと話しますと暗い話ばかりがでてきて気持ちが塞いでしまいます。「限界集落」という言葉もしばしば出てきます。
なぜ中国の農村とここまで違うのかと残念でなりません。
さて最近の中国の農村での生活の状況ですが、一世帯5人程度の家庭ですと、毎月の生活費は円換算で3万円程度です。
なぜそういう生活が成り立つのかということを以下に説明します。
(1)まず生活インフラの費用ですが、地方への優遇策として、土地代、上下水道代、家屋の固定資産税は無料です。
また、光熱費は贅沢をせず、薪や炭で賄っていますし、電気はテレビの電気代ぐらいです。
(2)毎日の食料は、穀物や野菜はほとんど自給で、足らない野菜や肉や果物等は村に少なくとも1ヶ所は写真のような市場があり、何でも安い値段で手に入ります。
(3)ほとんどの家庭は鶏を飼っており、購入する肉類は主に豚肉で、まれに牛肉を買って食べます。
(4)果物は、各家庭で柑橘類、琵琶、ゆず、桃、栗等々を植えていて適当に食べています。
(5)魚貝類は、近くの川や湖で適当に獲ってきます。
このように、中国での地方の生活は、生活インフラの負担が殆ど無く、食料はほとんどが自給です。
つまり、「国民負担率」が極めて低いため、都会に出ていった若者は目標のお金を貯めた後はよろこんで故郷に帰っていきます。
日本のように地方にUターンすることを毛嫌いする傾向は全くありませんし、むしろ早く地方に帰ってゆっくり余生を楽しみたいと思っています。
したがって、日本のような、地方の過疎化や少子化の問題はありません。
理想の〖新世代農村〗とは!
中国の例をみて解るように、現在日本が抱えている少子高齢化や貧困化を止める処方箋は、地方の自律化による活性化以外にありません。
以下、私の故郷である新温泉町照来地区をもとに、具体的に目指すべき新しい世代の農村をイメージしてみました。
前提として、この新温泉町照来地区は東西約5km、南北約2kmの盆地になっており、7つの集落で合計の人口1600人、500世帯です。
(1)現在はスーパーも無ければ小売店も無い寂れた農村地帯になっていますが、中心部にフリーマーケットのような市場を開設する。もちろん主な目的は食料ですが、衣類や日用品の販売や物々交換も行えるような市場とする。
(2)各農家は基本的に何を作ってもいいが、できるだけ年間を通じて楽しめるように多くの種類の野菜や果物を生産する。大量生産指向から多種少量生産指向へ。
(3)農法は環境に配慮するとともに、無農薬、無肥料の生産を徹底する。
一つの例として協生農法を指向し、昔の生態系を復活させる。
またアグロエコロジー(農業生態学)の視点で農業そのものを小農で有機的な循環型に変革する。
(4)現在は田畑とも休耕地が多いので、できるだけ休耕地も活用し、余った農作物は域外への販売拠点を設置し一般販売する。また、この販売拠点を利用し日用必需品の一括購入や重点的購入も行う。
(5)肉類確保のため農家に養鶏を復活させ、品種改良も行い、地鶏化まで格上げする。
(6)基本的には無耕起、無肥料、無農薬とするが、一部肥料として鶏糞と米糠を活用し循環型農業も併用する。
(7)山林を低木の果物主体でかつ協生農業に切り替え、下の写真のようにな生態系を構築する。
(8)米は水田方式から乾田方式に切り替える。
(9)子供と老人が「食べる生態系」の環境の中で共生する「照来盆地」に変革する。
(10)上記に加え、広く移住編入を歓迎し、人口の増加と共に教育や医療を充実させ、「新世代農村」を創り上げる。