なぜの暴力
こんにちは青楓館高等学院の岡内です。
いきなりですが、
「なぜの暴力」って聞いたことありますでしょうか??
なぜ?と問うことで、相手を攻撃してしまうことを指します。
アクティブラーンニング、ディスカッション、コーチング、1on1など。最近の教育トレンドは「なぜ?」を問う機会が増えてきていると思っています。
社会人の方だとピンとくると思いますが、リクルートさんの影響もあって「お前はどうしたい?」「なぜ?」を問うことが美学だと捉えられている風潮もあり、「なぜ?」を問う機会が増えてきています。
だからこそ「なぜの暴力」があることを主張したい。なぜなら、言葉の通り【暴力】だから…。
「なぜの暴力」にやられない人を増やすためにも、このnoteを書いております。よろしければご覧ください。
1.人は簡単に潰れる
「人は簡単に潰れる」と、強い表現をしてしまいましたが、結構ホンネです。むしろ教育者として、【人は簡単に潰れる】ことを理解していないと、危ないとすら思っています。
どういうことか?
例えば、教師と子供の会話。子供が「宇宙飛行士になりたい」と言ってきたとします。
「宇宙飛行士は運動神経も学力も、かなり必要なんだぞ。」
「お前にできるわけがない。」
「まず、そんなことより宿題やれよ。」
【良かれと思い】子供を否定します。
宇宙飛行士を目指していることをイジれば、クラス(他の生徒)は盛り上がると思い、【良かれと思い】クラスでその子供をいじります。
先生にいじられた子供を見て、「あいつはいじられて良いんだ」と思い、周りの生徒も【良かれと思い】いじります。
ああ、僕の居場所はここにないんだ….。孤独を感じた子供は、家に帰り、親に助けを求めます。しかし、親も「現実を見せてくれた先生に感謝ね」と【良かれと思い】伝えます。
それだけで終わりません。
翌日、いつものように学校に行くと、いじりがエスカレートしています。「おーい宇宙飛行士〜!宇宙飛行士ならこれ取れるだろ!えい!」鉛筆が飛んできて、子供に当たります。
いじりがイジメに変わり、子供も日に日に表情が暗くなっていきます。
「もっと明るく振る舞わないからダメなんだ」1週間後、教師がその子供に伝えます。心の中では(なんて辛気臭い子なんだ…だからイジメられるんだ。ああ面倒。)と教師自身が仕事を増やされた被害者だと自己認知し出します。
結果、周りが子供に対して否定し続ける構図が生まれ、子供は自分を肯定できなくなります。最悪の場合、「死にたい」とすら思うかもしれません。
このように些細なことで、人の心は潰れます。
2.「なぜ?」と問うことは暴力なのか
人は簡単に潰れる可能性がある。ということをお伝えさせていただきましたが、では次になぜ、なぜと問うことは暴力なのかについてお話していきます。
結論、「なぜ?を問う」=「否定になる」可能性があるからです。
みなさんも一度は経験したことはありませんか?例えば欲しいものがあり、それをご家庭で相談する時。
(ここでは美顔器だと仮定して)「美顔器買っていい?」と家族やパートナー相談したとします。すると開口一番「なんで?」が返ってきたこと。
この「なんで?」には「否定」が入っているように感じるのわかりますでしょうか。もちろん、聞いた本人は否定の気持ちがなかったとしても【伝え方次第】で否定に感じることが大いにあります。
なんで?=なんで買うの?いらないでしょ
この構図が成り立ちます。つまり否定。否定される相手を心地よく思う人はいないわけですから、この会話はストレスがかかるわけですね。
コーチングとして「なぜ?」を問う場合
美顔器のケースは、(=否定、いらないでしょ)が隠されていたパターンでしたが、中には
なんで?(=意図を聞いてみたい)
で、なぜ?を問う方もいると思います。
上司と部下の会話でよくあるのが
部下:「今月はこの目標値でいきます」
上司:「なんで?(まずは意図を聞こう)」
部下:「○件見込みがあるので、成約率○%の場合、〜〜〜だからです」
ここで終えれたら問題はないです。しかし、ここで終わらないから「なぜの暴力」が生まれるんです。
上司:「なんで見込みだと思っているの?」
部下:「えーと、来月になったら買うよと言ってくださっているので…」
上司:「なんで買うよと言っていたら、見込みなの?」
(この深掘りが大事なんだろ?と思っている)部下:「えーと…。すみません。見込みではないです。」
(面倒だ、もう謝っちゃえ。と思っている)
上司:「嘘をついたってこと?なぜ、嘘をついた?」
部下:「えーと、えーと、、、、」
「甘読をしてしまいました。すみません」
上司:「なぜすみません、って言うの?」
部下:「…………….」
僕自身がこのマネジメントされてきたのでわかりますが、生産性0の会話ですし、メンタルもかなりやられます。
上司は、意図を問うことが目的で「なぜ」を使ったにも関わらず。です。
教師と生徒の関係で見てみましょう。
子供:宇宙飛行士になりたいんだ!
教師:なんで?(意図をまずは聞こう)
子供:だってカッコいいじゃん!
教師:なんでかっこいいと思う?
子供:え〜〜わかんない
教師:わかんないなら、宇宙飛行士になりたい訳ではないってこと?
子供:え〜〜。やっぱりなりたくない(面倒になった)
教師:なんで?
(生産性0の無限ループ)
結構あるあるな会話だな、と思っていますがいかがでしょう。「なぜの暴力」は身近に存在しているんです。
3.じゃあどうすればいいねん
なぜの暴力が身近にあることはご理解いただけたかと思いますが、じゃあどうしたらいいねん、って話ですよね。お伝えします。
①「なぜ」で深ぼるには限界があるってことを知る
さっきの教師と生徒の会話。
かっこいい、好き、など感情には「なぜ」はいらないんです。
好きだからやる。かっこいいと思ったからかっこいい。それ以上でも、それ以下でもないんです。
「宇宙飛行士になりたい」に対して
「いいね!なんでそう思ったの?」
「かっこいいから!」と返ってきたら、全力で肯定してあげてください。
「宇宙飛行士めっちゃカッコいいよね!!!」と。
「なぜ」で深ぼるには限界があることを知っておいてください。
②「なぜ」以外の深掘り方を押さえておく
深堀り方は、「なぜ」以外にもあることを知らない方は少なくない気がしています。
シンプルに【5W1H】が有効です。
いつ?
どこで?
誰が?
何を?
なぜ
どのように?
これでかなり深ぼれます。「なぜ」で深堀るのが限界だと思えば、助け舟を出す。これも上に立つものの役目です。
例えばこんな感じ。
子供:宇宙飛行士になりたいんだ!
教師:お、いいね!ちなみになんで?(回答しやすくする)
子供:だってカッコいいじゃん!
教師:カッコいいよね!!!どんなところがかっこいい?
子供:う〜〜ん全部!!!
教師:いいね!!いつなりたいと思ったの?きっかけがあったの?
子供:うん、このまえ宇宙兄弟って漫画見たんだ〜!そのときに思った!
教師:宇宙兄弟、面白いよね!!特に誰が好きなの??
子供:ムッタが好き!!諦めないところがかっこいい!!
教師:そっか、ムッタみたいな大人をかっこいいと思うんだね!
子供:うん!!!!
教師:よし、ムッタになるためにどうしたらいいか一緒に考えよう!!
このように【5W1H】を使って話を広げることで、最終的に知りたかった「その生徒の価値観」の言語化ができました。
このように、なぜを使う立場にある人は、助け舟を出すことは義務なんだと心がけて欲しいです。「なぜの暴力」を撲滅したいのです。
4.「悪意なき悪」が一番厄介
冒頭でお話した、「人は簡単に潰れる」の事例もそうですが、良かれと思って人を攻撃している人が多いんです。
良かれと思っているから、
反省できない。
気づかない。
やり続ける。やめない。
最悪の構図です。そして、「なぜの暴力」は身近に潜んでいます。だからこそ「なぜの暴力」と言う言葉があることをもっと多くの人に知って欲しいんです。
ぜひ、このnoteが少しでも参考になれば、「なぜの暴力撲滅」を目的に広めていただけませんか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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