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製造業の中小事業者が売上V字回復、オリジナル商品を百貨店で売るようになるまでの軌跡。アトツギ社長の社内改革【オカビズセミナー開催報告】事業承継・ビジョンミッションバリュー

こんにちは!
岡崎市が運営する完全無料のビジネス相談所、オカビズです。

オカビズでは3/12(火)にあのビジネス誌「Forbes」さんとご連携した公開インタビューセミナーを開催しました。
その名も「カラッポの缶が、なぜ3,000円でとぶように売れるのか?」

愛知県大治町で製缶業を営む、側島製罐(株)社長の石川さんをゲストスピーカーとしてお招き、オカビズ秋元もスピーカーとして加わってForbes督さんにインタビューしていただくという試み。
実はオカビズセミナーで秋元がスピーカーとしてお話しするのは、オカビズ10年のなかで初めてなんです笑

このセミナーは岡崎市役所のファンづくり推進事業の一環として開催。岡崎で事業を営む方限定でしたが定員を大きく上回る方からお申し込みをいただき、盛況となりました。

ここでは、長時間のセミナーの中から、中小事業者さんが明日から役に立つエッセンスを一部お伝えします!

側島製罐(株)石川さんの取り組み

石川さんは政府系金融機関でお勤めされたのち4年ほど前に家業である側島製罐に入社、昨年事業承継したアトツギ社長さんです。

実はオカビズにも3年前にお越しいただき、秋元を中心に自社商品づくりをお手伝いさせていただきました。

当時のご相談風景

石川さん入社当時、会社は外国製品に押され売上の減少と利益率の低下に悩まされていました。
石川さんはそこから新規事業として自社製品づくりなどに取り組み、売上はV字回復を達成。さらには斬新な経営改革が大きな話題を呼び、今や敏腕若手社長としてビジネスメディアに引っ張りだこ!
新商品「Sotto」は大手百貨店でも大きなコーナーで取り扱われ、3000円で売れています。

愛知県は製造業の盛んなお国柄。以前の側島製罐さん同様のお悩みを抱える事業者さんはとても多いはずです。石川さんはどのようにして苦境を乗り越えたのでしょうか。

社員を巻き込み社内意識・風土の改革を進めた

石川さんは入社してすぐ会社の先行きに危機感を持ち、自社商品開発の新規事業を進めますが、社内の反応は冷ややかだったそう。
これまで売り上げは一貫して横ばいから右肩下がりが続き、「頑張っても報われない」という意識が社内にまん延していました。

このとき石川さんは、社内の意識改革を模索するも、その起点となるはずの「経営理念」がないことに気づきます。

「なぜこの仕事をするのか」
「どうしてチャレンジが必要なのか」

これらは会社の目指すべき方向から導かれるもの。
そこで、石川さんは経営理念となる「ミッション・ビジョン・バリュー」を策定するプロジェクトを立ち上げます。

ここで特筆すべきは、
「社内の約半数のメンバーが参加するプロジェクト」にしたこと。
社内の意識を統一するうえで社員の参画は欠かすことができないということですね。

実は当初、石川さんは一人でビジョンミッションバリューを考えて社内会議に提案することにしていたそうなんです。でもそれじゃうまくいかない…と悟った石川さんは社内会議で「助けてほしい」と頼み込んだそう。
そうした姿勢が社内の協力に繋がったのかもしれません。

こうしてできあがった側島製罐さんのビジョン・ミッション・バリューは「SOBAJIMA BOOK」という小冊子に。これならいつでもだれでも、会社の経営理念にアクセスできますよね。
経営理念を整えたい!という事業者さんはきっと参考になるのではないでしょうか。

SOBAJIMA BOOK(側島製罐さんHPより)

新商品開発が売上だけでなく社内活性化のエンジンに

石川さんは経営理念の策定と並行して、新規事業の創出も積極的に取り組みました。
すると、オカビズでお手伝いした「ガンガン焼き」缶が話題を呼び新聞に掲載されたり、カラフルな缶が「推し活」市場でヒットしてバズリまくったりと、チャレンジが徐々に目に見える形で成果としてはね返ってくるようになったのです。

こうした外部からの反応が見え始めると、新規事業に対する社内の雰囲気や評価が変わってきました。特に、会社歴が長い社員からも、このような取り組みを肯定的に捉える声が上がり、社内全体のモチベーションが向上したといいます。

新規事業の創出の第一歩は日常の観察から

とはいっても、どうやって新規事業のアイデアを思いつけばいいのか?
ここからはオカビズで数多くの事業者さんの新規事業創出をお手伝いしてきた秋元の出番です。

岡崎の老舗花火メーカーさんの往年の商品復刻に向けたクラウドファンディング高齢の姉妹が営む写真館の弱みを強みに変えた「生前遺影撮影」サービスなど、大ヒットしたサポートを例に、アイデアのヒラメキ方を解説していきました。

そもそもヒラメキは「ゼロからイチを創り出す」ものと思われがちですが、実はそうではないんです。
これまで見たもの、経験した記憶の中から、2つやそれ以上のことを「組み合わせる」ことから生まれます。

さきほどの「生前遺影サービス」なら、当時、元気なうちに死後に備えておく「終活」が社会トレンドとして注目されていたタイミング。秋元はじっくりとお話を伺う中で瞬時にこの終活市場を思い浮かべました。
終活で遺影を撮りたいニーズは必ずあるはず。そしてそんな高齢者にとって、キッズやファミリーターゲットの写真館より、同世代でじっくり自分の魅力を引き出してくれる熟練カメラマンに撮ってほしいはずです。

こうした複数の情報の組み合わせからヒラメキは生まれるんです。
そのためには、日ごろからたくさんの情報を収集することが必要。

秋元は、何もたくさん本を読んだり勉強しなきゃいけないわけではない、といいます。それよりむしろ、日々目にすることに興味を持って「観察」を欠かさないこと、そして観察したものをSNSでタグづけるように「分解・連想」すること。
見ているようで素通りしてしまっている毎日を、興味を持って観察することで、得られる情報量は圧倒的に変わります!

社内を巻き込んでチャレンジしていくこと

石川さんの成功事例の裏には、「経営理念」の確立、さらにそれを社内を巻き込んで進めるという地道な取り組みがありました。
さらに、社会のトレンドを踏まえて新たなチャレンジを起こすことが売上だけでなく社内のモチベーション向上にもつながるという正の循環にもつながっていました。

「うちの会社でもできるのだろうか?」
とお悩みの方、オカビズでご一緒に取り組みましょう!
お気軽にお問い合わせください。

登壇者

側島製罐株式会社代表取締役 石川貴也氏

日本政策金融公庫、内閣官房への出向などキャリアを進め
2020年に側島製罐に入社/愛知県出身

リンクタイズ株式会社Forbes JAPAN編集部 督あかり氏

中日新聞岐阜報道部で刑務所取材に注力
若者向けページ「popress」編集長を経て、18年9月より現職

オカビズチーフコーディネーター 秋元祥治

在学中の2001年、起業家人材育成と地方創生をテーマにG-netを創業し、03年法人化
2013年「売上アップ」に焦点を当てた岡崎市の公的産業支援機関「オカビズ」 センター長に就任
現在はチーフコーディネーター

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