水道料金と民泊
民泊を合法でおこなうには、住宅宿泊事業法に基づく届出、または、特区民泊の認定を受ける必要がある。このふたつは、建築基準法では、住宅等の用途のままである。
それに対して、旅館業は、建築基準法では、特殊建築になり「ホテル・旅館」になる。この場合、住宅で建てられた建築物なら、用途変更をおこなって「住宅」から「ホテル・旅館」にする。筆者は、これを「民泊」と呼ぶのはちょっと違和感がある。
これを踏まえて、水道料金の話をする。
水道は、地方自治体が担っており、自治体により料金体系が変わってくる。
大きくわけると「家庭用」と「事業用」に料金体系が分かれている。
例えば、神奈川県箱根町 5つにわかれている「家庭用」、「業務用」、「浴場用」、「別荘用」、「臨時用」である(箱根町Webページの計算ページ、ここでは税込み表示あり)。ただ、料金表ページには、2つ(家庭用と業務用)しか記載がなく、消費税も込みか別か記載なし。
例えば、使用水量が20㎥までで、
家庭用 1,512円 業務用 2,160円 (2ヶ月、消費税等の額は不明)
長野県長野市 3つに分かれており、「一般用」、「公衆浴場用」、「別荘用」で、口径と使用量で料金がかわる。また、消費税等はしっかり表示されている。
東京都23区 2つに分かれており、「一般用」、「公衆浴場用」で、口径と使用量で料金がかわる。また、消費税等は計算例よりわかる。
ここからが、今日の本題である。
民泊の水道料金は、「家庭用」か?「業務用」か?
最初に書いたように、建築基準法からみると、住宅宿泊事業法に基づく届出、または、特区民泊の認定の場合、住宅等の用途のままなので民泊といえ、この場合、水道は家庭用とも業務用ともいいがたい運用もあるのと思う。旅館業の場合、用途変更をして、初めは住宅だったが、「ホテル・旅館」にして1年を通して営業するわけだから、当然に、家庭用から業務用への切り替えを行う必要があると思う。
業法からみると、旅館業法はいうまでもないだろう。ところが、特に住宅宿泊事業法に基づく届出は、通年で最大180日、宿泊させることができるが、それ以外の期間は通常の住宅の用途での使用となる。また、住宅宿泊事業法に基づく届出を出したからといって、実際の宿泊が1年を通して30日もない場合もあるだろう。それは、案件ごとにかわってくる。
そこで、住宅宿泊事業法に基づく届出をおこなったから、水道を「家庭用」から「業務用」に一律に切り替えさせる必要はあるだろうか?
ここに、今までの前提としての考え方と違う考え方があることに気がつく。
「家庭用」と「業務用」が混在し、その時々によつて、変わるのである。
これは、いままで、「日本のお役所」が想定してこなかった事態である。
今までの「日本のお役所」は、縦割りで家庭用(住民)と業務用(営業用、企業)とわけ様々な施策を決めてきた。その枠組みでは、民泊に代表されるライドシェアは対応できない。ところが、前提の考え方の転換をはからず、そこに押し込める対応を行うことしかできないのである。
水道料金に関しても、箱根町では、住宅宿泊事業法に基づく届出をおこなう場合、「事業用」に切り替えを行い、そのチェックを経ないと、消防の適合通知書を渡さないという運用を行い、適合通知書がないと、民泊の届出書類を受け取らないという流れで対応している。
この運用に関してもいろいろ書きたいことがあるが、それは稿を改める。
話が、ちょっとそれたので、水道料金に戻る。
民泊は、通年を通して営業できるなら、「事業用」へ切り替えさせるべきだと思うが、最大でも180日までの宿泊で、これは可能日数でしかない。家庭用が混在するのである。結局、ここにライドシェアの新しい考え方を持ち込めず、「1日」でも使うならと「業務用」と押し込んだに過ぎないのではないかと思う。
そして、業務用のほうが、料金が高く設定されている。
様々なサービスで、個人と企業の垣根が融解し、サービスを提供する側と受ける側が場面により入れかわる新しいサービス形態が登場している。そこには、新しい考え方が必要になる。なのに、時代に合わせて、バージョンアップを図らず、既存の考えに押し込んだ結果、魅力的なサービスは大きく育たず、尻すぼみになっていく。
サービスを提供するにも、高コストで、人件費を買い叩くことによって、他の高コストを吸収して、チキンレースをおこなっているような気がする。
*最後のほうは、この話をまとめきれませんでした。ご容赦ください。汗汗