「宿泊者名簿」は、データ保存でOKです。
昨今、コロナ禍の影響もあり、役所関係もデジタル化が進みつつあります。
しかし、日本の法令の面倒な部分が、あります。
[ 結論 ]
表題にあるように旅館業の「宿泊者名簿」は、データ保存が可能です。
役所からの提示や提供が求められた際、
ディスプレイへの表示、プリントアウトが可能な状態になっていれば、
問題はありません。
なお、ディスプレイの大きさは、特段の決まりはありませんので、
文字が判読できれば、かまいません。(社会通念上、一般的な判断)
結論だけを知りたい方は、ここで、読むのを止めて大丈夫です。
ここから先は、細かな根拠です。
紙(書面)ベースの法令
日本の法令は、ほぼほぼ紙ベースを想定しています。
用語としては、「書面」を使います。
そのため、データ保存するために、別途、法令で定める必要があります。
用語としては、「電磁的記録」といいます。
まずは、旅館業法です。
これを見ると、特段、「書面」とは記載されていませんが、
旅館業法は、1948(昭和23)年に制定された法律で、「書面」を前提に書かれています。
*当たり前のことは、省略して記載しません。
この当時、書類の作成と保存は、紙しかありませんので、
あえて「書面」とは記載しません。
そのため、データ保存を可能にする別な法律に規定があります。
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」で、2004(平成16)年に制定されました。
この法律を受けて、管轄の省庁が省令を定めて規定します。
旅館業法は、厚生労働省が管轄のため、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」を2005(平成17)年に定められました。
その中で、旅館業法「第六条第一項の規定による宿泊者名簿の備付け」と「第六条第一項の規定による宿泊者名簿の作成」を、
電磁的記録で行なうことができると、定めています。
この電磁的記録ですが、初めからパソコンなどで作成する場合、紙で作成しスキャナなどで読み込みPDF化しデジタル化する場合の両方で可能となっています。