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僕は「報われない努力」をこの世から無くしたい

僕はスタディーハッカーという会社を経営しています。

2010年に創業して以来、僕たちは「学習の効率化(スタディスマート)」についての研究を続けてきました。

「人はどうやったら効率的に学習できるのか?」について、会社として徹底的に考えてきたのです。

ちょっとした「勉強のコツ」レベルではありません。科学的な研究と、現場の知見を総動員した膨大なノウハウ。それをマニュアルに落とし込んで、全社で共有し、日々改善を繰り返しながら、サービスとして累計2万人以上に届けてきました。

その結果、僕らの提供する英語コーチングサービスでは、独学に比べて3.8倍の成果が出ています。

ここまでやるのは、本気で世の中を変えたいと思っているからです。

僕は「効率的な学習の技術」を広めることで、この世から「報われない努力」を一切なくしたいと思っています。

久しぶりにnoteを書いたのは、改めて、自分たちの使命を言葉にしておきたかったから。「スタディースマート」で世界を変える。その決意表明を、改めて語らせていただきたいのです。

学び続けないと生きていけない時代

人生をよりよくするために「学び」は必要不可欠です。

受験や資格取得、昇進や転職のためのスキル習得……。

とりわけ、現代のビジネスパーソンは大変です。「DX人材にならなきゃ」「生成AIに詳しくならなきゃ」と、学ぶべきことが次々出てくる。

「リスキリング」という言葉が、国の方針にも取り入れられたぐらいです。

学びつづけないと生きていけない時代。

しかも単一のスキルだけでなく、時代の変化にあわせて、さまざまなスキルや知識を身につけないといけません。そのうえで、仕事だけでなく、プライベートの時間もちゃんと確保したい……。

もはや「根性」だけで乗り切れる状況ではありません。

だからこそ、ひとつひとつの学びを効率化して、短時間で習得する「スタディスマート」の考え方が必要になってきているのです。

「効率化」について、多くの人は誤解している

ところが、そもそも「効率化」について、正しく理解している人は少ないと感じます。

「効率化」とは「決められた量を、いかに早くこなすか」だと思っている人が多いのです。「この参考書を、いかに早く終わらせるか?」「いかにスキマ時間を捻出するか?」みたいな感じ。

一方で「量を減らすこと」に対する意識は、みんなあまり持っていません。

そもそもの「やるべきこと」の量を減らす。本来10個ある「やるべきこと」を、7とか8にすることができれば、長期的には大きな差がついてきます。次のステップに行くまでの時間を、大幅に縮小することができる。

たとえば参考書でも「いまの自分の実力と目的にとって、不必要な部分」は、省いてしまっていいわけです。

また、同じ内容でも「学ぶ順番」によって、身につきやすさが大きく変わってきたりもします。英語なら、リーディングのスキルが足りないのに、いきなり英会話をやると、ものすごく非効率だったりする。

せっかくがんばって「早くたくさんやろう」とするなら、やるべきことを極限まで減らしたうえで、がんばったほうがいいはずです。そのほうが「時間あたりの学習効果」は高くなりますから。

効率化とは「早くたくさんこなす」ことではありません。

真の効率化を実現するには、まず「量を減らす」こと。そのうえで「早くこなす」ことで、最も効率よくものごとを身につけられるのです。

たいていの人は「追い詰められれば」できてしまう

ここまで読んだ方は「まあ、あたりまえのことだよね」と思うかもしれません。

でも、実際に「真の効率化」をやれている人って、ほとんどいないんじゃないかと思います。効率化したほうがいいのはわかってるけど、結局「とにかくがんばってやる」みたいになってしまう。

それは僕からすると、みなさんの「めんどくさがり度」が足りないからのように思えます。

「めんどくさい」と言いつつ、なんだかんだ追い込まれたらやれる。そういう人も結構います。けっきょく最後は「根性」で乗り越えられる。だから「効率化」のための工夫は、どこか適当になってしまいがちなのです。

僕は昔から、めんどくさいことは、どんなに追い詰められても絶対にできませんでした。

サボっているわけではなく、本当に体が動かない。放っておいたら生活が破綻してしまうレベルなんです。たとえば大人になっても「寝る前に電気を消す」ことが絶対にできませんでした。だから睡眠の質がめちゃくちゃ悪かった。

勉強や仕事でもそんな調子なので、受験や就活はかなり苦労しました。

「自分は根っからの、頑張れない人間なんだ」「普通にしてたら生きていけないぞ……」と思い知った。だからこそ「めんどくささから解放されること」、つまり「効率化」に対する執念と嗅覚が、人一倍あるのだと思います。

めんどくさい状態のままでは、絶対にやれない。だから「どうすればめんどくさいことをしなくて済むのか?」を真剣に考えます。根本の「めんどくささの原因」を解決して、極限まで効率化するのです。

たとえば、部屋の電気を消せないので、僕は「アレクサ」を導入しました。「立ち上がって消しに行く」というめんどくささを根本からなくしたわけです。

勉強や仕事でも同じように工夫して、効率化することで、めんどくささから脱出していきました。「究極のめんどくさがり」だからこそ、僕はライフワークとして「究極の効率化」を追い求めてきたのです。

世界一めんどくさがりの僕が、効率化の技術を伝えたい

「効率化したほうがいい」なんてことは、みんなわかっているはずです。

でも「どうすれば効率的にできるのか?」を真剣に考えている人は、あまりいないと感じます。結果として、非効率なやり方を選んでしまい、努力が報われにくくなっている。

でも、それって仕方ないことだよな、とも思うんです。

なにか新しいことをするたびに「これってどうすれば効率化できるんだろう?」とイチイチ考えていたら、逆に非効率ですから。個人レベルでは、やれるのなら根性でやってしまったほうが早いこともある。

だから、効率化のことは、別の誰かが考えればいいんです。

そして、世界で一番めんどくさがりの僕が、それをやりたいし、やるべきだと思っています。

効率化の技術をとことん追求して、みんなに伝えていく。そしてこの世から「がんばりたいのにがんばれない人」や「報われない努力をし続ける人」をなくしていく。そのために会社をやっているのです。

受験の業界には「非効率」がはびこりまくっていた

僕はもともと受験の業界にいました。

当時の受験業界には「非効率」がはびこりまくっていたんです。「とにかく頑張れ」「漢字1万回書きましょう」みたいな。そんな指導をしても意味がないのに。
効率的にやろう、戦略的にやろうとしていない。だからそんな根性論がまかり通るんですよね。

でも、受験本番で「がんばったこと」は別に評価されません。合格点を取ったら受かるし、足りなかったら落ちる。それだけです。
このズレによって「がんばったのに、報われなかった」という人が、たくさん生まれてしまう。

努力はたしかに美しいし、めんどくさがりの僕からすると、がんばってる生徒たちは本当にめちゃくちゃすごいんです。

それなのに、非効率なまま努力しているから、報われない。

こんなのは不幸すぎると思いました。

社会人でも学生でも、勉強ばっかりやってられるわけじゃありません。「どうすれば効率的に勉強できるか?」なんてことは、誰かが考えなきゃいけない。

「それ、塾の先生がやらなかったら、誰がやるんだよ!」と思ったんです。

受験には「志望校合格」というわかりやすい「ゴール」があります。だから戦略もかなり立てやすいほうなんです。合格に向けて何をやればいいのか。それを徹底的に分解して、戦略を立てていける。

そんな「戦略的な予備校」をつくろうと思ったのが、起業のきっかけでした。

効率を突きつめたら、独自の勉強法が生まれた

「受験の戦略」というと「どこを受けたら受かりやすい」とか「どの教科で受けたらいい」みたいなことが思い浮かぶかもしれません。

それぐらいまでの戦略は、みんな考えます。

でも、その先の「勉強のやり方」までは考えていない。たとえば「英語と社会と国語で受験しよう」となったとき「漢字を覚える方法」のことはあまり考えていなかったりする。

そういう「戦略の立て残し」があるとよくないんです。

たとえば医学部の受験なら、数学と理科をがんばらなくちゃいけません。その2教科の比重が重いんです。じゃあ、英語は適当にやればいいのかというと、そうではなくて。英語も点数を取らなくちゃいけないし、取ったほうが有利なわけです。

でも数学や理科は時間がかかるので、英語の学習時間は少なくしたほうがいい。

「少なくするにはどうすればいいのか?」と考えたとき、もっとも科学的で効果があったのが、いまの英語事業のもとになった「第二言語習得研究」という学問でした。

英語だけでなく、他の科目にもいろんな方法があります。

たとえば数学は、論理に沿って考えることが非常に重要です。しかし、論理だけを切り出して指導していくことは実はむずかしい。

そこで僕たちの予備校では、数学だと生徒が解いてるところを横で見ながら、適当なところで先生が止め、生徒が立てた式に対して「なんでその式になったのか?」を口頭で説明してもらう勉強法をやっています。

そうすることで、式を立てた後の処理だけでなく「論理そのもの」を見ることができるんです。

結果的に、創業3年目には、京大医学部に合格する生徒がでてきました。

他にも、5浪している子がうちの予備校に来たら、1年で医学部に受かったりと、どんどん結果が出はじめました。

いま、ENGLISH COMPANYで新しく立ち上げた「大学受験部」でも、2年目にして、京大や早慶上智、国立大医学部への合格者が出ています。(詳しい勉強法が気になる方は、書籍にもまとめているので、こちらを読んでいただけるといいかもです。)

ゴールまでの最短距離を考える。そのうえで、ゴールへの行き方を磨いていく。「戦略を立てる」とはそういうことです。

そこまで突き詰めてから努力をすれば、かならず結果はついてくるのです。

それは「スタディースマート的」ですか?

僕は社内でよく「それはスタディースマート的ですか?」と言っています。

たとえば最近「新しいサービスとして、就活生向けにTOEICの教材をつくろう」という話がありました。

その会議で「既存のリソースの中から、使えるものってどれですかね」みたいな話になって。僕は「いや、そうじゃないでしょ」と言ったんです。

考える順番が逆なんです。まずは「どうやったら、受講生にとって最も効率的にTOEICのスコアが上がるのか?」を考えるべきです。

就活生向けのTOEICということは「履歴書に堂々と書けること」がゴールなわけですよね。じゃあ、そのためには何点ぐらい取らなくちゃいけないのか。そのためにはどういう仕組みにして、何ヶ月のプランにするのが一番いいのか。

受講生にとっての「ゴール」から逆算して、戦略的に考えないといけません。

そういう効率化のプロセスや戦略こそが、僕らの価値です。

「スタディースマートの会社」にしかできないサービスをやる。これから先、どんな新規事業をやるにしても、スタディースマートの血が通わないものは絶対に作りたくないと思っています。

スタディースマートの真髄は「減らす」こと

やらなくちゃいけないことを減らす。

僕たちが10年以上真剣に考えてきた「スタディースマート」の真髄はここにあります。

これって、勉強じゃなくてビジネスに当てはめて考えると、けっこう当たり前のことなんですよね。会社の経営状況をよくするには「業務改善」と「コストカット」の両方が必要です。

勉強だって同じです。

無駄をなくすには「減らす」と「早くこなす」の両方が必要。そして減らすために「戦略」が必要なのです。

もしも今、あなたがなにか新しいことを勉強したり、スキルを身につけようとされているなら、ぜひ始める前に「これは本当に、いちばん効率的な道のりだろうか?」「もっとやることを減らせないか?」と考えてみてください。

ただでさえ忙しい社会人が「勉強しよう」「がんばろう」と思うだけでもすばらしく尊いことです。だからこそ、少しの努力も無駄にしてほしくない。

僕たちはそのために、これからも「スタディースマート」を追求していきます。

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