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演劇をドキュメンタリーで撮ることは可能か?/演劇/微熱少年『料理昇降機/the dumb waiter』

加藤真史さん演出による『料理昇降機/the dumb waiter』のDVDが販売となった。加藤さんとは、彼が作・演出を担当した前橋文学館のリーディングシアター『わたしはまだ踊らない』での撮影をきっかけに、以後演劇/微熱少年の第一公演となる舞台『縁側アロハ』、この第二公演『料理昇降機/the dumb waiter』、そして第三公演『「小医癒病」中医癒人大医癒世』の撮影・編集を担当させていただいている。

演劇の映像記録は一筋縄ではない。が、不幸にも僕は生の演劇よりは、若い頃深夜にテレビで放映された平田オリザさんの青年団や、ナイロン100℃や阿佐ヶ谷スパイダースなどの舞台映像に驚愕した口なので、つまりは生の演劇を見る経験に乏しく(群馬県の田舎に生まれて、親も友達も接点がない生の演劇に触れられる機会は皆無だった)映像から演劇の魅力を知った口なので「撮ってみたい」という気持ちは前々からあったのだと思う。だが、断言できるがどんなに高画質や凝りに凝った作りで映像に収めても、生の演劇に勝るものはない。

『料理昇降機/the dumb waiter』は、イギリスの劇作家・ハロルド・ピンターが1957年に発表した作品で過去様々な劇作家や俳優がこの舞台を演じてきた。演劇/微熱少年は会場を館林美術館とし、それは館初の本格演劇の上演にもなった。本作も、青年団の舞台美術も手掛ける濱崎賢二さんによるゴシックな舞台装飾が映える。そして2人の男役には、青年団の大竹直さんと、映画『キリノシロ』などの映画出演もしている加藤亮佑さん。常にビターに、特にコミカルに、シンプルなれど奥が深いこの劇を体現している。

何が起きるかわからないこの劇のリハーサルを見た時、「これは三脚固定のフィックス撮影ではなく、カメラの目そのものが、その時その時の状況に反応する手持ち撮影で行った方が、よりこの世界観が描けるのではないか?」という直観を得た。加藤さんは、映像化については僕を信頼してくださっているので、それはそのまま本番でも実行する運びとした(もちろん、手持ち以外にも複数の固定撮影による映像も入れている)。

冷静なベンに感情を露わにするガス、どんな表情で向き合っているのかわからない2人の顔、そして2人の時間を遮断するかのように現れる料理昇降機・・それらをドキュメンタリーとして撮影できないか、というのが僕のこの映像に対するトライである。それは、生の演劇に勝るものではないが・・というか、「演劇」そのものと比較する必要はない「演劇を主人公としたその瞬間瞬間の記録」である。であるから、というか僕以外の演出・役者・舞台・その他諸々が素晴らしいから、僕はこのDVDを胸を張ってお勧めしたい。

※今、下のリンクからこのDVDを購入すると、初回特典としてFullHD版ネット視聴コードと、全編をモノクロで綴る【質実黒白オリジナル版】のネット視聴コードを得られるとのこと。この初回限定のモノクロ版も、僕の直観を具体化させていただいたもので、観ていただけることがとても嬉しい。

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前橋文学館リーディングシアターvol.13 わたしはまだ踊らない

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