マガジンのカバー画像

読書の記録

9
運営しているクリエイター

#エッセイ

ボクと正義と「アンパンマン」

小学生のころ歌っていた「手のひらを太陽に」はやなせたかし先生の作詞だとこの本を読むまで知らなかった。アンパンマンだけではない所でも影響を受けていただなんて。そういえば、ご近所の子ども(当時2才)の好きなキャラクターもアンパンマンだった。私が生まれる前から、生まれて大人になるまで、そしてこれからの子どもにまでたくさんの愛と勇気をくれる存在、その生みの親のエッセイ集。 やなせ先生は大器晩成で「自分には才能はないけどコツコツ続けていたらいつの間にか周りが居なくなり先頭に来ていた」

「モネ」がもっと好きになる

昨年、京セラ美術館のグッズコーナーで原田マハさんのこの本が目に止まって購入した。外出や旅行の際には必ず本を一冊持って行く私が、たまたま京都旅行に本を持ってくるのを忘れてそわそわした気持ちになっていたこともあったからだ。東京でも買えるよね?て一瞬思ったけど、買ってよかった。おかげで鴨川で読書ができたし、やっぱりいつだって本は必要なんだ。 原田マハさんの本はいろんな美術館に置いてあって、美術系のエッセイや小説を書かれている人だとは認識していた。作品を鑑賞するだけではなく、今亡き

なぜ「五感のラグジュアリー」なのか

読了2回目のお気に入りのエッセイ本。文筆家:塩谷舞さんのまとう空気感がそのままこの本の空気感になっているのだろうな、と思わさせられる本である。冒頭のはじめににもある通り「異なる視点を持つ友人が一人いる」という感覚で読みすすめると「友人の視点がすごすぎる、、」とつい(良い意味で)溜め息が出る。 身近におこる出来事から世界を取り巻く社会情勢にまで話は及ぶのだけど、その視点が塩谷舞さんの素晴らしさなのだ。様々なことについて調べて、落とし込んで、文章を書かれているのがよくわかる。な

「82年生まれ、山田裕子」も絶対いる

ベストセラーだけあるのは共感が共感を呼んで広がったからなのだなと思った。映画よりも小説のほうがより生々しく憤りが感じられる描写が多く「どうして我慢するの!」と思わず怒りが込み上げてくることも何度か。でも、我慢しないといろんな周りの状況・人が壊れてしまうから、今まで努力してきたものが無駄になってしまうと思ってしまうから、我慢という選択になってしまう。ハラスメントを受けても、恐怖心や羞恥心から何もできずに過ぎ去ってしまったことが世の中にはきっと数限りなくある。そして、そのハラスメ