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口を挟むオジサン・指摘するワカモノ

今回のnoteは 人材育成 に関してです。

もくじ
1. 世の中に蔓延するハラスメント
2. ハラスメント・ハラスメント
3. もっと褒め合おうよ!

1. 世の中に蔓延するハラスメント

「あ~。なんでそうするかなあ~。違う違う、そうじゃなくて・・・」多くの家庭でよく耳にする言葉です。親が子供に、奥様がご主人に、何気なく言っている言葉。そうです。「口を挟むオジサン・オバサン」です。肩身の狭い既婚男性諸君の中には、せっかく洗濯物畳んでいるのに、奥様から上記の言葉を言われたら気分が滅入ります。逆のパターンでは、奥様がアイロンがけしているのに、隣で見ているご主人から、こんな事言われたら奥様はもう二度とアイロンがけしない!ってなります。これら、いわゆる口を挟むってこと。どうしてしちゃうんでしょう。

大人同士に対して、子供が親から注意を受けた時、逆にこうやって言われたことはないでしょうか? 「そうやって言うけどさ、母さんだってこの間同じようにしてたよ」「そうやっていう父さんだって、この間同じようなこと母さんに怒られてたよね!」・・・。子供だっておバカじゃないんですから、負けないように必死で言い返します。

さて、これらのことから分かることは何でしょうか? 社会組織にもこれらの「口挟み」や「居心地の悪さ」みたいなものを垣間見る場面があると感じます。塵も積もれば山となって、いつしか大問題と発展してしまう、それが「ハラスメント」という行為でしょうか。

ハラスメント。この言葉で何を連想するでしょうか。有名なものとしては、パワハラ、セクハラです。

パワハラの定義とは『同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう』と示しています。

このパワハラを始めとして、どうしてハラスメントという言葉が流行ってきたのでしょう。

ある本にはこのように示されています(以下に紹介します)。

『いじめや嫌がらせを意味するハラスメントという言葉が日本で市民権を得たのは、1989年に流行語になった「セクシャル・ハラスメント」(セクハラ)からだと言われています。さらに同じ年に、福岡県で訴訟された日本で初めてのセクハラを理由とした裁判も影響したとみられています。…(中略)…。結果として、ハラスメントという言葉が、会社や上司を震え上がらせる言葉として非常に有効であることを多くの人が学習しました。

なぜ口を挟みたくなるかという理由は一旦さておき、ハラスメントが時代の流れで流行ってきた(認知されるようになってきた)ことが良く分かります。

万が一ハラスメントが生じた時、適切にハラスメントを指摘し、適切にハラスメントを認定する事は、社会においては非常に重要な事です。しかし、前述したように、親から指摘を受けた子供のように、反抗心からの逆切れの様であっては、スマートであるとは言えません。

ハラスメントをする人はもちろんもってのほかですが、だからと言って指摘する側は、神様ではないということを少しだけ理解すべきです。


2. ハラスメント・ハラスメント

管理者は自分の胸によく手を当てて、日々反省する必要があるハラスメント問題。しかしそうとは言え、何でもかんでも「それってハラスメントですよ!」って言われたら、上司は何も言えなくなってしまいします。管理職を経験された皆さんでは一度は思ったことではないでしょうか? 以下にご紹介する本は、そんなやり場のない気持ちを抱えた管理職の皆さんの気持ちを代弁してくれるような本です。必ず共感できるはずです。

野崎大輔 ハラ・ハラ社員が会社をつぶす 講談社+α新書 2016

この本によると、『ハラスメントという大義名分を武器に、言いがかりに近いことを言って周囲を困らせる行為をハラスメント・ハラスメント(ハラ・ハラ)と称す』と示しています。

つまり、何でもすぐに「それってハラスメントですよ!」って言う社員に対して警鐘を鳴らしています。以下のようなことで安易にハラスメントって言ってしまっていませんか? 発言するには冷静に判断してからが良さそうです。しかし、以下のように、これじゃなんでもかんでもハラスメントですよね。管理職は本当に辛いんです。

遅刻を注意しただけで「パワハラです」
職員に今日も頑張ろうって肩をポンと叩いて「セクハラです」
相談したのに真面目に相談に乗ってくれないと「セカンド・ハラスメントです」
妊婦さんを気遣い早く上がったら?と言ったら「マタニティ・ハラスメントです」
香水・タバコのにおい・加齢臭で周囲を不快な思いにさせて「スメル・ハラスメントです」
まだ経験が浅いからねと言って「エイジ・ハラスメントです」
酔った姿を見せたら「アルコール・ハラスメントです」
歌を強要したら「カラオケ・ハラスメントです」
その場の空気を悪くしたとして「エアー・ハラスメントです」
女性だから・男性だからと指摘して「ジェンダー・ハラスメントです」
飲み会の席でたばこの煙で迷惑をかけて「スモーク・ハラスメントです」
未婚者に対する配慮をして「マリッジ・ハラスメントです」
SNSで友達申請したり、書き込みしただけで「ソーシャルメディア・ハラスメントです」
IT関連用語のように専門用語の使用をしただけで「テクノロジー・ハラスメントです」
個人の容姿や癖をとりあげて「パーソナル・ハラスメントです」
あーあなたはB型だからねと血液型指摘で「ブラッドタイプ・ハラスメントです」

この本の中でも冒頭にきちんと解説していますが、ハラスメントを肯定するものでは決してありません。私もまったくの同意です。しかし、このままでは世の中の課長職や管理職の皆さんが疲弊し、古き良き時代の日本のように、温かみのある組織の再現が出来なくなってしまうのではないかと危惧されます。そういう意味で、行き過ぎた「ハラ・ハラ」行為は注意が必要と思うのです。

この本には以下のようにも記されています。
『ハラスメントという言葉は、彼らハラ・ハラ人間にとってはまさに魔法の言葉であり、「かよわき自分」を守るための最終兵器なのです』


3. もっと褒め合おうよ!

ハラスメントって、人間が勝手に作り上げている心の中の上下関係が原因していると考えます。上の立場と思っている人が、下の立場にある人に、相手の気持ちを察しないで、偉そうに口を挟んだり振舞うから起きるんです。言わば自業自得だと考えます。ハラスメントだと言われて当然なんです。一方、いつまでも理不尽に怒られる、圧力を受け続ける、これ対する最低限の抵抗、指摘するワカモノ、それが「ハラ・ハラ」だと思います。自分だってかつて若い頃、辛い時代がありましたから。でも言えなかった。それもまた時代です。

人間って悲しいです。上下を作りたがるし、勝ち負けを決めたがる。そんなことより、まず一旦互いを認め合って、仲間意識をもって働いたらどうでしょう? どうしてけなすのですか? どうして馬鹿にするのですか? そうした方が組織も社会も個人にも有益に事が運ぶと本当に真剣に考えていますか? 真剣に考えているという管理者がいたら、私は正直その人が心配になります。何故なら、アドラーの知恵を借りれば、この様な考えをお持ちの管理者は、自尊心が低いかもしれません。相手をけなしたりバカにしたりという行為は、たとえ悪気はないにしても、その行為そのものが劣等感の表れです。優越コンプレックスの持ち主である可能性が高いです。

これに対して、部下だったり、いつも指摘を受けることが多いような人、ハラスメントだと感じやすい人にも多くの劣等感が存在していると考えられます。いわば劣等コンプレックスの持ち主の可能性が高いです。これらの人が、優越コンプレックスを持っている人に対して、一発逆転を狙えるのが「ハラスメントという魔法の言葉」であり、「ハラ・ハラ」という行為なのです。

もういい加減にやめましょう。ハラスメントする方も、指摘する方も。もういい加減にしませんか。もっと褒め合いませんか? もっと認め合いましょうよ。少しくらいの失敗、みんなで助け合いましょう。上司から部下へ、部下から上司へ、歯が浮くようなわざとらしい褒め言葉でもいいじゃないですか。そこから笑顔を拡げていきましょうよ。今さら照れくさくてそんなこと言えない!っていうあなた。一番危ないです。

古き良き時代の日本を取り戻しましょう。多少不器用でも味があっていいじゃないですか。本当の家族になれないからこそ、家族より強い絆が必要だと思いませんか?真の家族では、親から子へのみ指摘は入りません。子供から親に対してだってダメなものはダメとはっきり言うことができるはずです。喧嘩しあっても泥臭くても、そんなコミュニケーションを重ねながら強い絆の家族が育まれます。そんな組織を目指したいものです。

褒め合う事を強要された。ホメ・ハラだ!
そんなことをいう世の中ではない事を僕は信じています。

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