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捨てる
今年ももう終わりが近づいている。
この時期になると、ある一つの厄介事が浮上する。
それは『生産調整』である。
確かに年末調整とか確定申告も厄介事で似ているけどそういう事ではない。
生産調整とは、平たく言えば搾った牛乳を捨てるのだ。
なぜか。
要らないからだ。
この時期は学校も休みに入る。ほとんどのお店は閉まり、牛乳を必要とする業者が減る。
それなのにいつもと変わらない量を搾っても使わないので、捨てるのだ。
具体的に言えば、お上からの指示で
『あんたの所の牧場は平均1日1000L搾ってるから、29日~31日までの搾乳量がこれ以上だったら、要らないので買い取りませんよ。
あ、ちなみに1000L越えすぎたら罰金取りますね』
と言われるのである。
私は初めでこれを旦那から聞いた時、意味がわからなかった。
なんで?牛乳要らないの?
バターは?チーズは?あんなに値上げしてたのに、それでも要らないの?なんで?
なんで排水溝に流さないといけないの?
(ちなみに排水溝に流しすぎても環境汚染で怒られるのだ)
解決方法は無い。
捨てるか、知人にあげるしかない。
牛は1日でも搾らない日があると、乳が張りすぎて乳房炎になってしまうので搾らない訳にはいかない。
捨てられようがどうなろうが、搾るしかないのだ。
しかも買い取ってくれないということは、収入も減るということだ。
手間と作業量は変わらず、収入だけが減り牛乳は捨てられる。
それが生産調整なのだ。
事前に記した通り、止める方法は無い。
誰かが死ぬほど牛乳を消費するしか無い。
でも少しでも飲んでくれる人が増えると。
必要としてくれる人が増えると。
もしかしたら捨てる量は減り、買い取りもしてくれて、酪農家さんはもっと楽になるのかもしれない。
まぁそんな日は来ないので憶測だが。
旦那は年末年始休みなく働く。
今年は雪が多いので、手足と頬に霜焼けを作りながら働いている。
なんとも報われないものである。