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被害者を傷つけたくないプロわいせつ犯(公然わいせつ) 傍聴小景#66

やはり定期的な運動を心がけたいということで、トレーニングジムへ通っています。もともと運動部ということもあり、行ってみると楽しいのですが、そのためだけに外出するとなると少し足が重いんです。

なので、だいたい「裁判所のついでにジム」というパターンになりつつあるのですが、裁判という完全インドアなもののついでに、ジムもまぁインドアですがアクティブなものをくっつけるということに面白くも感じています。

さて、今回の事件。
被告人は生活保護受給者だったのですが、「生活保護を受け取るために外出すらならば」と、とある犯罪を実行してしまいます。こんなの再犯防止として、生活保護の受給停止とするしかないじゃん…。


はじめに ~同い年の被告人は毎度辛い~

罪名 :公然わいせつ
被告人:30代後半の男性
傍聴席:7人(計3回)

年齢が僕と一緒というか、一週間しか誕生日が変わらない被告人。やはり、同い年というのは気持ちが少し落ちるんですよね。
「この人と僕との間に、どんな差があったのか」というと僕が偉そうですが、とはいえいつでも何かを一歩間違えたら過ちを犯す側に行く可能性があるという緊張感はある程度常に持っておいた方がいいと思うのです。

事件の概要(起訴状の要約)

被告人は、ショッピングモール内にて計5回、自身の陰茎を露出した

すみません、さっき同い年でいろいろと思うところがあったの無しでお願いします。何をしんとんねん、何を。
しかし、公然わいせつの裁判もいくつか見ていますが、ショッピングモール内での露出って初めて聞きました。そんな、周りに人が多くてすぐ取り押さえられる可能性がある場所でやるってどういう心境なんでしょう。

まぁ、でもこの記事のように渋谷の路上で昼1時ってのもいますしねぇ。
夜道でコートをバッとする犯行が多いように想像もするのですが、意外とそうでもないんですよね。まぁ一種の指向だと思うので、一般の人になかなか理解しようと思っても難しいのかもしれませんが。

検察官が提出した証拠類 ~僕がこの被告人を「画角さん」と呼ぶ理由~

被告人は同種で、20年前に1回の逮捕、10年前にも逮捕、起訴され執行猶予判決を受けている。店や公園などで露出をしている。
家族と呼べる人物はおらず単身で暮らしており、無職で生活保護を受給している。

生活保護を受け取るときに外出をするならば、どうせなら遠くへ行こうと、自宅からは遠いショッピングモールへ行って、おもちゃ売り場などで子どもを撮影しながら露出していた。

子どもと陰茎が同時に写る画角を探しながら動画撮影をしており、警察が押収した携帯電話には何回か撮影している様子が残されている。
取り調べに対して「二度としないと言いたいが自信はない」と供述している。

「子どもと陰茎が同時に写る画角を探しながら動画撮影」というワードが出た瞬間に、自分の中で記事に採用が決まったことは言うまでもありません。昔で言うアイコラ的なものでしょうかね。
警察も証拠の差押えとして、動画データをチェックしていたときどんな気持ちだったんでしょうかね。「なんだ、この動画は真っ暗だな?」とか思ったら、実は被告人の陰茎が近過ぎるだけでしたとかなって、「・・・」ってなったりするのかな。

被告人質問 ~裁「なんで1回目はセーフって認識なんだよ」~

ご家族もいない、働いている職場もないということで、特に更生に尽力できる方もいなそうということで、即被告人質問が始まってしまいました。
こういうときも、やはり同い年としては辛い気持ちになります。これからもまだまだ生きていかなきゃいけない中で、どうしていくのでしょうか。

ちなみに被害店舗へは謝罪文を出したようですが、わざわざ見つからないよう遠くに足を伸ばした末の店舗なので、警察などに「もう行くなよ」と言われても、別の店を物色するだけかと思います。

弁「1回目逮捕されてから、次に逮捕されるまで10年近く空きましたが、我慢できたのは何故ですか」
被「他に打ち込むことができたので」

弁「その打ち込むことというのは」
被「カードゲームです」

性欲を紛らわすのがカードゲームというのも不思議な気がしますが、まぁ確かに同じ欲で解消しなければいけないわけじゃないですもんね。運動だったり、仕事に集中したりとか。
そう考えると、再犯をしないために職場を探すというのはかなり有効な手立てのように感じます。もちろん、むしろストレスが溜まって逆効果ということもあるでしょうが、勤務という1日の大部分を他の人の目に触れられて何かするというのは犯罪抑止力にかなり有効に感じます。

弁「じゃあ前回、裁判にかけられてしまったのは何故?」
被「性癖が我慢できなくなってしまい」

弁「でも、裁判以降、今回まで10年ほど我慢できたのは何故?」
被「執行猶予中は何がなんでも我慢というのと、姉が厳しい人で」

弁「そして、今回犯行を行ったのは」
被「姉が亡くなってしまい、誰も僕を叱れなくなってしまい」

弁「注意してくれる知人はいなかったのですか」
被「友人がいたのですが、コロナ禍で会えなくなってしまい」

この犯罪でも、コロナって影響してくんのかよ。
まぁでもコロナっていろんな形のコミュニケーションを提示したとは思う、よく捉えるならばだけど。オンラインのコミュニケーションが急速に広がったから、人と直接的に支え合いながらって人はきつかったんだろうね。

それにしても、公然わいせつを注意する知人ってどんなんだろう。そういう癖があることも理解してくれていて、注意してくれるのであればいい仲ですね。公然わいせつの同業者としての意気投合者とかじゃなきゃいいですが。

弁「今後、同じことをしないためには」
被「正直、今までこの罪を甘く見ていたのですが、前より勾留される期間が長く、『こんなことやっている場合じゃない』と、反省の期間をもらったと思っています。」
俺(どこに、甘く見る要素があったんだよ…)

弁「過去、捕まってるときは人に見せていましたが、今回は動画を撮っていますね?」
被「相手に見られるのはよくないと思っているので」

弁「見せて驚かせる気持ちはない?」
被「自身の画角に入れたいだけで、傷つける目的はないので」

プ、プロや…。
驚く顔や声を見たいという、わいせつ犯の方もいますので、今回はまだマシだったんですかね。
捕まえたのも警察官で、被害者が直接見た訳ではなさそうですし。そういう意味では、被害者の証言がない、わいせつ事案ってのもなかなかに珍しいのかなと思ったり。

続いて検察官

検「執行猶予期間が過ぎても、またしたら実刑になるかもとは」
被「認識していました」

検「逮捕までしていた職を失う可能性があるとは」
被「認識していました」

検「それらは歯止めにならなかったのですね」
被「はい、そうです」

検「女性の気持ちを考えたことありますか」
被「発覚したら傷つくと思うので、発覚しないように行いました」

検「そこまで考えるなら、なんとか自分を押さえて犯行しないようにはできないの」
被「今回、触らなくなったのは自信になりましたので、さらに気を付けていきます」

お願いですから、新たに気付かれにくいという手法を生み出すという解決策だけはやめて下さいね。

最後に裁判官から

裁「犯行に歯止めが利かないと言いますけど、仮に今回も執行猶予がついたら甘く見るんじゃないの」
被「さすがに2回目は最後通告だと思うので」

裁「いや、1回目もそうだと思いますけど」
俺(裁判長www)
被「10年我慢できたので、なんとか継続していく」

裁「前の有罪では反省しませんでしたか」
被「逮捕から釈放が短かったので甘く見ていました」

僕自身、逮捕勾留自体が絶対とは思わないですけど、必ずしも外に出ることがいいってことでもないんだろうなぁ。不当な勾留で社会から断絶されるのは、どう考えてもダメージ大きいし、でも起訴されている裁判中にさらに罪を犯すというカブキ者も中にはいますししね。
とはいえ、「じゃあ安全のために施設に入れとく!」って短絡的な判断にならないところからの脱却をせねばとは思います。

判決 ~「10年は我慢できた」に思うこと~

主文
懲役8月(求刑9月)、未決勾留日数中80日算入、執行猶予3年、保護観察処分

期間も相応に空いていることもあるので、執行猶予判決となりました。
ただ、根深い性犯罪との親和性は顕著で、適切な監督者もいないから、執行猶予の期間中は保護観察所のお世話になるようにとのことです。

被告人の口から「10年は我慢できた」という言葉がありました。
これって1度やってる人にしか出ない言葉なんですよね。そうでない人は、無意識に生まれてからやってない期間を更新し続けているので、やった人は意識的に「やらずに10年」という考えになってしまうのが辛いところだと思います。
気付かない内に10年以上経ってたかというのが理想だと思うので、なんとか仕事などに打ち込んでもらって、同い年として真っ当な人生を歩んで欲しいと思うのです。

今回の裁判は動画にもしております。よろしければ、こちらもどうぞ。


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