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結婚詐欺の被害で2000万円超!正直すぎる被告人の供述に謎が謎を呼ぶ #138(詐欺)

「裁判で真実を明らかにしましょう」なんて言葉を聞いたりするけど、別に裁判はそんな場でなくて、取調べられた証拠によってジャッジを下すだけ。
…なんか、こんな書き出しどっかでした気がするけど、まぁいいか。

なので、裁判傍聴ではモヤるポイントはそのままで、それはそれとして話が進むという展開には慣れてこざるを得ないんですが、とは言え「いやいや、これははっきりさせてよ!」と感じることだって当然あるわけで。

今日はそんなお話。


はじめに ~この人がどんな騙す行為を?~

罪名 :詐欺
被告人:40代の男性
傍聴席:平均10人(傍聴した2回)

被告人は毛量が豊か過ぎる羨ましい男性。受け答えはしっかりできるけど、流暢というわけでなく、目も少しうつろな感じ。身柄拘束されていることによる憔悴ってのもちょっと違う、なんか疲れていそうな感じ。

どうしても詐欺という言葉を聞くと「騙す」というイメージがあるけど、どうにもこの被告人からは、そういった巧みな言葉が出てきそうなイメージはわかない
しかし、食い逃げだったり、タクシーの無賃乗車も相手を騙す行為として詐欺罪になるし、てっきりその手の事件なのかなと思っていたんですが。


事件の概要(起訴状の要約)

(起訴状聞けてないので後の情報を含め想像)
被告人は、出会い系サイトで出会った女性に対して、その気のない結婚の可能性をチラつかせ、結納金として2,400万円を交付させた。

マジで?
そんな大掛かりな詐欺をする人に見えなかったのと、結納金で2,400万円?
メッセージのやりとりだと巧みなのか、他にアイデアマンがいるのか、いろいろと想像は尽きないところ。
顔は誰もが認めるイケメンさんってことではないけど、まぁ普通にしていれば、普通にモテるだろうなくらいの方。

この後の情報が気になるところ。


採用された証拠類 ~夫が結納金を払うのは庶民の感覚だ~

検察官証拠
被告人は大学中退後、稼働歴はない。事件直前に数年だけ生活保護を受給していて、事件期間中からは受給していない。
北海道にて、妻と生活している。

あ、ごめん、ちょっと待って、ちょっと待って。

冒頭陳述の身上経歴でストップかけたくなったの初めてかもしれない。40代で稼働歴がないのも気になるけど、まぁそれは色々事情もあるでしょう。
だけど、奥さんいて(稼働歴0で結婚にも割と驚き)、それで結納金詐欺(あんま聞かんけど一応詐欺の種類としてはある)をしたの?
急に預金が2000万増えて、奥さん何も思わなかったのか、それとも関わっているのか。

あ、すみません、検察官、続きどうぞ。

平成31年、出会い系サイトにて被害者と出会う。
被害者に自分は「サトウグループ(仮、被告人名字+グループ)」として、銀行、ホテル事業などを手掛けている実業家である、結婚したいなどと伝える。騙すために、部下のような振る舞いをする人物を日雇いで雇うなどもした。
その後、「結納金を払うように。夫側が結納金を払うというのは庶民の感覚」などと伝え金銭を支払わせる。被害者が騙されていることに気付いて返還を求めると、暴力系組織との関係を匂わせてきて事件発覚。

被害者の供述調書
ペットが亡くなり、不安定な私に嘘を重ねた被告人を許さない。
夫と別れて結婚を決意したのに。

生活保護関連のNPO法人の関係者
被告人から1,100万円を法人の買収代金として受け取る。買取を示唆されたときの所持金写真には2,000万円くらい映ってた。

騙していた期間中に被告人が妻に送ったメール
「もう少し待っててね、可愛い妻へ」

さぁて、何から突っ込めばいいんだろか。自分で書いててなんだけど、無駄な箇所が無さ過ぎる。焼き魚をキレイに食べきったみたいな充実感すら覚える。

被害者のことを責めたくはない。
夫と別れてまで何をしてるんだ、とは当然思うけど、さすがに夫婦仲が冷めていたんじゃなかろうか。ってか、冷めていてくれないと説明がつかない。人の夫婦仲が冷めてて欲しいと思ったのは初めてだ。

そして生活保護関連の会社の買収というのもいったいなんなのだろう。1,100万円で会社って買収できるの?
受給してた間に何かビジネスのニオイを感じ取ったのかな?これに関しては、後の被告人質問でも、買った事実だけ確認されて、その理由とかはさっぱりわからなかった。
なお僕が、1,100万円で買収されたら傍聴マシンとして、せっせと傍聴と記事を発信し続けますが。興味ある方どうぞ。


というか、これからの被告人質問でも、わからないことだらけなんだけど。


被告人質問 ~弁償を考えたのは裁判始まってから~

被告人質問の前に、弁護側書証として反省文が取調べされました。

「被害者の気持ちを裏切ることをしてしまった。被害者のことを思うと後悔の気持ちでいっぱいです

買った会社をあげろ。

という訳で被告人質問
最初に、被告人が自律神経系の病気を患っていることが判明。中学時代から今も続いており、虚言癖、妄想癖などがあるとのこと。
特に診断書とかの証拠提出はなし。

弁「今も通院していますか」
被「はい」

弁「最後に通院したのは」
被「平成31年です」

弁「…なぜ通院を辞めた」
被「症状を押さえられるようになったので」

う~ん…。

被害者と出会い系で出会った後は、一旦途切れたり、また出会ったり。2人でホテルで食事をしたときは「結婚前提で付き合いたい」とも言ったそう。

弁「あなたは、令和元年に被害者に指輪を渡していますね」
被「はい」

弁「でも、その翌月にあなた今の奥さんと結婚していますよね」
被「はい」

弁「それはなぜですか?」
被「家庭的で明るい女性だからです」

ノロケを聞いてるんじゃねぇんだわ。そんな、翌月に結婚を控えているような身なのに、指輪を渡すようなことしてんだってこと。
それに対して被告人は「結婚する気はあったけど、被害者が既婚だったので無理と言われた」と。離婚して欲しいとも言ったことあるらしい。

とは言え、翌月に被告人自身も結婚しているし、送付年月日は不明だけど奥さんに待っててねというメールは、何か大金が入ることを匂わせている気がするし、よくわからん。

その奥さん、証人尋問などでの出廷はなし。まぁ、必ずしなきゃいかんものでもないし、北海道から来るのも大変だろうしとは思っていたけど、

弁「奥さんはあなたが行った行為を知っていますか」
被「はい」

弁「証人として出廷しない理由知ってます?」
被「複数のペットを飼ってて手が離せないからと」

妻…。
2000万超えの詐欺事件なんて、実刑待ったなしだけどいいのか。とはいえ、そういう感覚の持ち主だから、弁護人があえて呼ばなかったという可能性も否定しきれないから、まぁこのくらいで。

検「とても多額ですが、今後どう弁済しますか」
被「資金力のある叔父を頼ります」

正直者め。

続いて検察官から。

検「なぜ金銭を要求したのですか」
被「被害者に経済力があったので甘えたく

検「結納金という名目にしたのは」
被「将来結婚したいつもりはあったので」

検「男性が女性に払うのが一般的だと思うのですが」
被「純粋に金銭が欲しかった

正直者め(2回目)

検「お金を受け取っていたとき、どんな気持ちだったんですか」
被「その後も交際が続くと思っていたので、悪い気はしなかったです」

検「あなたが結婚したことも黙って受け取ることに罪悪感は」
被「全くないではないですが…」

検「弁済の意思はあるようですが、その思いはいつからあるんですか」
被「第一回公判が始まってからです」

正直者め(ラスト)

個人的にすごく気になっていた、人を日雇いで雇って部下のように見せかけて、実業家っぽく振る舞っていた話を聞きたかったんですが、一切話題に出ず。でも、文面ではともかく、実際の被告人を見ると、そんな振る舞いを見せられるタイプではないと思ったんだけどなぁ。

自律神経を患っているということで、どう書いたものかとは思ったのですが、その思いを大きく超える犯行結果の重大さなどにその思いもどこへやら。

求刑は懲役6年。判決は傍聴できていません。
いろんな人物を絡ませるこういう詐欺手法を「劇場型詐欺」って言うようですね。この手法を自ら思い浮かんだのか、誰かに伝授されたのかも不明。

こういう日雇いもどこで募集するんだろ、今ならタイミーかな。
っていうか、日雇いを雇う金はあったんだな。奥さんに借りたのかな。そう考えると、当時の生活状況を知る意味では、やっぱ奥さんに証人に立って欲しかったな。

言ってくれればこの前、僕、北海道行ったから、代わりにペットの面倒くらい見てあげたのに。


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