パソコン繋いでエンジン起動し車の窃盗?大胆さとITスキルが用いられた事件の話(窃盗、覚醒剤取締法違反) 傍聴小景#91
窃盗と覚醒剤取締法違反という、刑事裁判の件数のツートップ。しかし、この2つが同じ裁判で並ぶことは決して多くはありません。
どちらも、自分の意思を止めらなかったことに起因しやすい犯行ですが、窃盗の欲と違法薬物の欲ってのは、また別なのでしょうね。しかし、この2つが重なり、かつ欲にまみれた犯行であれば、それはなかなかに強烈になるわけで。
はじめに ~裁判が10ヶ月にも及んだのは~
裁判は約10ヶ月にも渡りました。傍聴したのは6回でしたが、見逃したのも何度かありました。長期化したのは何かを争っていたからではありません。むしろ、何一つ争っていませんでした。
ただ、ひたすらに審理の対象となる事件の数が多かったのです。
被告人は小柄なおじさん。悪そうな感じというより、「へい親分!」とか言いながら悪そうな人についていきそうなイメージ。最初に法廷で見たときは、こんな数多くやっている人には到底見えなかったのに。
事件の概要(起訴状の要約) ~缶ビールを段ボールごと~
起訴された窃盗の事件数は合計で9件だったようです。
それにしても、盗るもののスケールがデカいっすよね。車そのものもいってますし、缶ビールをケースごといくって、なんかアメリカの強盗団みたいな大胆さです。共犯者の名前も多数出てきましたし、さらなる証拠が気になります。
採用された証拠類 ~新しい車が手に入ったから古いのは川に沈めた~
傍聴したときも思ったのですが、改めて書いてて「いやいやいやいやいや」って声を出してしまいましたよ。
何に、ってことでなく全体的にすごい話です。個人的には「コンピュータ部分を取り換えてエンジンをかけて盗んだ」ってとこの詳細が気になって仕方がないです。漫画とかだと、グループの中に太って眼鏡かけてて戦闘力はないけど、パソコンのことは任せておけ!みたいな人がいるけど、そんな人がいたんかな?
そして歓迎をするために、ビールを8箱も。転売目的もあるでしょうが。それをそのまま車に積み込んで持っていくなんて、日本でやる所業ではありません。防犯カメラを逆再生したら、業者が納品に来たように見えるのかな。
被害者は、処罰感情として「厳重に処罰してください」って言ってるみたいだけど、被害金額だけでなく、こんな舐めた犯行されたら「犯人をぶっ〇してください」って言いたかったんだろうな。
さて、こんだけたくさんのことがありましたが、起訴事実や請求された証拠に対しては一切の争いはなし。出す先が多過ぎるというのもあるかもだけど、反省文の類も一切なし。
証拠の精査や被告人との接見などに尽力されているはずなので、楽しているなどと言うつもりは毛頭ありません。でも「起訴状に争いはありません」「甲乙ともに同意します」「(スケジュールを)お受けします」以外の弁護人さんのお声を聞いたのは、初公判から9ヶ月経ったときのことでした。
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