ニュースで気になる責任能力。「自分はセブンイレブンの創業者だ」の妄想は当てはまるのか(常習累犯窃盗、迷惑防止条例違反) 傍聴小景#56
傍聴というのは電子記録が不可なので、頑張って耳で聞いた情報をメモにして、こうやって記事にするのですが、やはりなかなかに大変です。すごい早口な人、声が小さい人、滑舌が悪い人、なんか難しい話をする人など様々です。
そんな中、一番メモが大変な人というのは、支離滅裂な話をする人です。
一言一句メモできるわけでないので、話の流れや、なんとなくのニュアンスは覚えておいてちょっとずつメモを補完していくのですが、唐突に今回の被告人のように「俺は一億兆円持ってるからな」(原文そのまま)とか言われたりすると、一瞬思考が停止して、裁判の流れに置いていかれそうになるのです。
はじめに ~開廷前から漂う不穏な雰囲気~
被告人は目つきの鋭い、細身の男性。保阪尚希さんを、顔があそこまで整っておらず、目つきを悪くしたらだいぶ近づくと思います。なんかぶつくさ呟いたり、警備員に挟まれつつ傍聴席のことを睨みつけたりしています。明らかに様子が普通ではないです。
事件の概要(起訴状の要約)
これらに対し、被告人はこのように自分の意見を述べます。
痴漢の容疑については確かにこの時点でやったかわかりませんが、万引きについてこのように争うのは初めて聞きました。
そしてそれに対して弁護人の意見として、痴漢に関しては荷物が当たったものだから無罪の主張、万引きについての事実そのものは争わないが、精神状態から心神喪失状態であったと思われるので、責任能力を争うため無罪だと主張しました。
ニュースなどで聞いたことがあるでしょう、責任能力について。決して多くはないですが、やはり裁判では定期的に耳にする言葉なのです。
被告人のボヤきが止まらない
ここから検察官が、裁判で証拠として提出するものの説明・冒頭陳述を行うんですが、その言っている最中、被告人のボヤキがすごかった。ボヤくと言っても小声で何か言うのでなく、法廷全部に聞こえるように、
これだけでもお腹いっぱいですが、これは聞き取れた分のみ、それ以外にも聞いたことない単語と単語の組み合わせが続くので見てる方としても大変なのです。わざわざメモる必要はないかもですが。
じゃあ、こういう不規則な発言がある場合、裁判としてどう進行するかというと、被告人が喋るターンでない限りは基本的に黙らせます。一言二言くらいだったら黙認されますが。
その黙らせ方も、静かになるまでじーっと待ってる人もいれば、1~2回注意してまだ続けるなら退廷させますよと通告する人など様々。
そんで今回の裁判官はどうだったかというと、
と大人の対応。やっぱ場数踏んでいる人は違いますね。抑えつけると反抗しちゃうってのを体験しているんですかね。被告人も「はい」と応じていました。
それにしても、とにかくこの裁判のごたつきは全部書きれないので、先へ進むとします。弁護人が検察官の証拠の取調べに同意したけど、裁判長に「被告人は否認しているんだから、これとこれとか同意しちゃダメでしょ」という怒られていた珍しいシーンもあったのですが、それも飛ばすとします。良かったね。
検察官が提示した証拠等 ~「いい思い出になった」と被害者に親指を立てる~
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