神津島 神社旅(一)
神津島へ
一夜、夜航船のさるびあ丸に乗って神津島へ向かう。船は出帆五分前を告げる銅鑼の響音のあと、深夜二十三時きっかりに竹芝を解纜した。特二等の小さな個室で熟睡する。
翌朝四時半、船内放送に起こされた。寝足りないくしゃくしゃ顔でデッキに上がると、さるびあ丸はすでに大島岡田沖に在り、港に向かってゆっくり航行していた。水平線に、日の出が朝焼けて美しい。岡田港を出ると、利島、新島、式根島に寄港し、神津島には九時前に着くだろう。海は凪ているが、宮古島付近に停滞する台風六号の影響で海面には波高一・五メートルほどのうねりが発生し、穏やかに揺れて心地よい。式根島の野伏港から泊の岬をまわり込めば、神津島はもう目と鼻の先だ。
下船して前浜の突堤から集落に向かって歩いてゆくと、左手前方の丘に鳥居が見える。あれは物忌奈命(ものいみなのみこと)神社にちがいない。島の北部にある阿波命神社に祀られる三島大社の本后阿波神の御子神が祭神として祀られている。
物忌奈命神社は、たいそう立派だ。参道は海岸と集落からの二筋がある。いずれも路程は長く、鬱蒼として幽玄である。時間はたっぷりある。細部まで、ゆっくり見て歩こう。
X-E1+NOKTON 40mm 1.1.4
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