コンビニと自販機
「あのね、映画作りは、自動販売機にコインを入れてジュースを買うようなわけにはいかないんだよ。毎日毎日、目の前にある仕事を一生懸命やる。そうするといつの間にか終わっているんだ」
黒澤明監督が若き日の山崎努さんに言ったことだそうだ(私の履歴書:日経新聞)。このときの映画は「天国と地獄」1963年の作品です。まだ自販機の時代なんですね。そう、セブンの豊洲1号店は1974年です。
いまじゃ、こうなりますか。
「そこらのコンビニで売ってるのを買う、そんなモノじゃないんだ」
黒澤さんの挿話、たいへん意を強くしました。じつは、上のコンビニ話はウチの営業メンバーとのミーティングによく出る言葉なんです。
時代はDX、乗り遅れまいと取引先のメーカーがDX推進にむけて舵を切った。販売は代理店のルートセールスだったのを、HPを充実させ、YouTubeもつかって今まで届かなかった客先へダイレクトにPRをする、これがA社のDXだという。
商品は工場の製造工程のなかでつかうもの、だから使用法や条件をその工程にあわせこむのがふつうだし、避けてとおれないこと。だから客先、とくに研究や製造関係の人との情報交換がかかせない。モノやカタログだけだと「使いこなし」や「カイゼン」には足りない。
そう、ウチの営業は「ご用聞き」スタイルにこだわります。
「毎日毎日、目の前にある仕事を一生懸命やる。そうするといつの間にか終わっているんだ」
自販機がコンビニに代わっても、やることは変わりません。ひとつひとつ、シーンを積み重ねないと映画はできないでしょうし、モノづくりもまた同じです。道具がよくなって、人手不足や時短の代役をつとめてくれれば重宝だということ。それだけのこと。