電気料金は政府の「ネゴ」できまるのか
6月1日から家庭向け電気料金が改定される。また値上げかと思ったら、実質負担はそうでもないらしい。東京電力の場合、今年1月に申請した値上げは29.3%だった。それを政府が査定して減額したという。加えて今年1月からの政府の負担軽減策(月2800円)をあわせると、支払額は昨年11月より減るのだそうだ。
電気料金支払額が減るのに文句を言うつもりはない。が、よくわからないのだ。値上げの内訳と経緯が。それが困る。なぜなら、原材料が下がった時にどれだけ電気料金が下がるのかがわからないからだ。
ウクライナ情勢が影響して、原料高によって電気料金は約20%上がった。電気料金だけではない、原料高はすべての産業に影響を与える。原材料のコストアップは売価に連動させる、これが基本だ。だから、電気料金が上がるのも仕方のないことだ、と思う。
ところが、原材料費のコストアップの電力料金へのインパクトがわからないのだ。加えて、値上げ申請を政府が「査定」する。これも詳細がわからない。経緯がわからないから、「ネゴ」としか見えない。
それが困るのだ。
原材料費の増、固定費の増、利益の減、これが一般の商品値上げの理由だ。公共料金だからといって、政府が価格決定に関与することでコストが見えなくなる。
電力会社は、値上げを政府の「ネゴ」前提で申請する。首相が変われば人気取りに公共料金をいじくる。選挙が近くなればなおさらだ。電力会社も民間企業だ。政府関与をなくし、コストの透明性を上げること、これが電気料金をリーズナブルなものにする前提だと思う。