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JR九州は商売上手だ

JR九州の商売上手に乗せられて、今回も西へと飛んだ。3回目の九州地場トレインの旅は、熊本駅と宇土線三角駅間を走る「A列車で行こう」だ。

3月の日経新聞「私の履歴書」は、JR九州相談役の唐池恒二さんだった。「将来安泰だから」と旧国鉄に入社したあと、民営化でJR九州へ。波乱に満ちた同時代の活躍を読ませてもらった。

赤字ローカル線をかかえたままの再生は難しいといわれた。それが、今や、「ななつ星」や「カワセミヤマセミ」などのイベント列車を走らせて、ココロナ下にもかかわらず、2022年の決算は3295億円、営業利益39億円と立派な成績だった。

商売上手なのだ、と思う。

「ななつ星」は、たった1泊2日でひとり100万円近く、3泊4日のコースは150万円を超える。人気で予約がとれないという。そんな豪華なのは敬遠するとしても、「肥薩オレンジ」は昨年秋、「ふたつ星」には今年1月に乗り、今回は「A列車」だ。

名前にひかれた。もちろんジャズの名曲「A列車で行こう」、デューク・エリントンとエラ・フィッツジェラルドと競演がよかった。ハーレムでジャズを聞くなら、地下鉄急行「A」列車に乗って、という意味だ。九州の「A列車」は特急だ。熊本駅から宇土を経て天草「A」の入り口三角駅間の快適ディーゼル列車だ。

行きは各停で三角まで行き、天草「A」をレンタドライブ、帰りは列車「A」だ。16時31分三角駅発、途中、宇土駅に停まるだけ、熊本駅には17時12分着、ほんの40分の短い「A」気分は乗車券をいれて2040円。
2両編成でラウンジ付き。ジャズのBGMとバーカウンターがあるのだけれど、人の行き来が多く、ゆっくり落ち着いて飲むという雰囲気じゃない。指定席でちびちび飲んでいると、もう終点だ。

行きの各駅停車は1時間、こっちの方がいい。座席はリニューアルしてきれいだし、乗り込む人も少ない。乗車券は360円だ。

有明の海、先には雲仙、島原を見ながらとはいうものの、なんの変哲もない田舎鉄道、「A列車で行こう」と言われると乗ってみたくなる。JR九州は商売上手だ。

さて、つぎはどこにしようか。